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売り場に学ぼう by 太田伸之

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Nobuyuki Ota

Nobuyuki Ota

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2023.12.19
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齋藤孝浩さんの紹介で、今年9月に訪日中国人アパレル関係者に「クリエーションとビジネスの関係」と題する講演をしました。コロナウイルス前後の日本の消費変容、デザイナー解任劇多発の問題点、ブランドDNA継承の重要性などを話しました。このとき訪日ツアーを企画した金さん(英語ではAaron Jinさん)から、今度は中国に出張してファッション業界に向けてセミナーをやってもらえないかと頼まれ、今回の師弟研修旅行が実現しました。

初日夕刻、上海浦東空港で我々を出迎えてくれた金さんと杭州市中心街のレストランで打ち合わせがてら食事をしていたら「これまで食べた中で印象に残る中華料理はありますか」と質問され、私は初めて香港出張したときに潮州料理店で食べた上海蟹味噌を麺とあえたカルボナーラのようなヌードルと答えました。


初日のセミナー

翌日、セミナー第1部が終わって昼休み、会場すぐ隣の杭州料理店で数人のアパレルメーカー経営者らとランチをしましたが、なんと上海蟹がドーンと大皿に並んで登場したのです。前夜の私の発言を受けてすぐ上海蟹の元締めに連絡して特別に用意してもらった、と。金さんは「私たちの本業はサプライチェーンマネジメントのコンサルタントですから、何事もスピーディーに動きます」と笑っていました。気遣いには感謝しつつも、決して安価なものではなく、前夜余計なこと言わなきゃ良かったと反省でした。が、なんと翌日ランチも上海蟹は登場しました。

初日の講師は私、2日目の齋藤孝浩さんの講演が終わって3日目、杭州市郊外のセミナー会場近くのホテルから何故か観光客に人気がある西湖の「西湖山荘」に引っ越しました。ここはたくさんの木々に囲まれ、鳥のさえずりが聞こえる優雅なリゾートホテル、のんびりするには最高です。西湖の周辺に移動と聞いて我々は湖畔のショッピングセンターでお店を見て回るつもりでしたが、チェックイン手続きを終えると金さんは湖畔の緑地に連れ出し、「仕事ばかりではつまらない。1日くらいはのんびりしてください」と遊覧船にも乗せてくれました。息子のような若者がこの気遣いでした。


格式ある西湖山荘の正面入口で


西湖の緑地を散歩


火が沈む頃の緑地は観光客でいっぱい


日没後は売り場歩き

それぞれ終日セミナーを担当したので金さんなりの慰労の意味だったのでしょう。が、中国に来たからには売り場をたくさん見て回らなきゃと我々はショッピングモール視察を持ちかけ、やっと日が暮れてから中心街のモールや路面店を視察できました。せっかちな我々は湖畔の散歩よりも売り場視察の方がお似合いだと思いますが、この日は金さんの計らいでのんびりと過ごすことができました。

会食中、金さんは私に「私は中国をもっと良くしたいと思って28歳で会社を立ち上げました」、と熱く語ってくれました。その目は真剣そのもの。そして、彼はいつもプロジェクトの背後にいて、一般的なセミナー主催者挨拶のような場面は作らず表には出てきません。記念写真も我々講師ツーショットや通訳さんとの撮影は何枚もありますが、金さんとの写真は今回私の手元に1枚もないことに帰国して気がつきました。

私のPCには9月セミナー後に西新宿のレストラン前で撮影したものがたった1枚あるだけです。起業して8年の36歳、契約している大手精密機器などにサプライチェーンマネジメントをアドバイスしている人物とは思えない若者、東京コレクションを始めた頃の生意気な私をちょっと彷彿させます。


私の左が金さん、右が齋藤さん

金さんは「せっかく中国に来ていただくんですから、企業トップが出てこないような会社の参加申し込みは受けません」と強気でこのセミナー企画を業界に訴求したと聞きます。そして会場では各地から集まった経営者らと話をしながら、今度は我々2人による個別社内研修を勧め、上海に拠点を置く老舗大手ニットメーカーと広州に拠点を置く成長著しい新興製造小売業と話をまとめたのです。

西湖の休養の翌々日、ちょうど私のフライトが成田空港に到着したタイミングで金さんから連絡が入り、春節後の2月下旬の個別社内研修の日程が決まりました。行動力とそのスピード、半端ないです。こういう熱い青年実業家が中国急成長の原動力なんでしょうね。

これまで私は国内でたくさん講演させてもらいました。日本の経営者はセミナー後に「良いお話を伺いました」と声をかけてくれますが、セミナーで指摘した問題点を解決に向けてすぐアクションというのは見たことがありません。ここが中国との大きな違いでしょうか。

9月に訪日団に講演した後すでに東京で中国SPA企業の研修が1つあり、そして今回の杭州があり、来年2月には個別企業の社内研修が組み込まれました。短期間にどんどんセミナーが企画されていく、「中国をもっと良くしたい」と熱く語る金さんならではなんでしょう。彼に刺激され、これから中国講演出張や訪日団セミナーが一気に増えそうです。





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Last updated  2023.12.26 11:05:08
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