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カテゴリ:漫画・アニメ
★ 『 恋だの愛だの 』 辻田りり子 (2009年~) 電子書籍無料版およびレンタルにて、既刊9巻中、8巻まで読了。 地味メガネ、幼児体型、趣味が 「人間観察」 で、異常に冷めた性格、 …というヒロインが、中学時代からの 「親友」 のイケメンと共に、部活や生徒会の上級生らの人的葛藤に首を突っ込み、巻き込まれていく高校生活を描くコメディ。 「地味でモテない」 ヒロインが、「学校一モテる」 イケメンに愛され、付きまとわれる …という設定は、少女漫画では珍しくもなく 食傷気味だが、ヒロインが全く自身の 「恋だの愛だの」 には無関心な (…と言うか、自分には 無縁で不必要だと信じ切っている) 為、イケメンによる、普通ならば読者の 「胸キュン」 を誘うようなアプローチが ことごとく空振りに終わる描写に、(お約束とは言え)ついつい笑わされてしまう。 また、いくら笑えても、ヒロインとイケメンの恋模様だけだと飽きるだろうが、クセのある上級生たちが四方八方から絡んできて、人間関係の行方が気になる。 設定的には、「弱小部活動や生徒会を舞台に、地味な男子が美男美女に囲まれる」 タイプのハーレムアニメの主人公を、男子から女子に置き換えたような感じで、ハッキリ言って、余りリアリティは無いが、単なる 「逆ハーレム」 少女漫画とも断じきれず、恋愛・友情の駆け引きや理論に 何かと深みを感じ取れる作品だ。 実は、この 『恋だの愛だの』 の1巻を 電子書籍無料版で読んだ後に、ヒロインらの中学時代を描いた前作 『笑うかのこ様』 (2007~09年) (全3巻) を、先立って読んでみたのだが、センスは感じるものの、まだ作画は拙いし、ギャグが上滑りしている感じで、ちょっと読み通すのがキツかった。 中学卒業までに108校の転校を繰り返した (平均すると1ヵ月おきに転校?) というヒロインは、はなから友達作りに興味がなく、「傍観者」 を決め込んで、クラスメートらのネガティブな心理 (本音) を上から目線で分析するのが趣味。 その可愛げのなさが、逆に少女読者にウケるのは分かるのだが、人気のある美人やイケメンが実は 「腹黒」 …と思わせておいて、最終的には、なんだかんだで 「みんな仲良し」、突っ張っていたヒロインにも友達がデキてメデタシメデタシ …みたいなのは、如何せん 少年少女向け漫画では結構やり尽くされていて、さほど斬新ではない (いじめ問題 真っただ中の小中学生には新鮮かもしれないが)。 ただ、一話完結型で展開がパターン化していた 『笑うかのこ様』 に比べると、この 『恋だの愛だの』は、ヒロインが一つの高校に腰を落ち着け、登場キャラも固定化している為、ストーリーの発展性、期待値が格段に上がっている。 作画もかなり上手くなっているし、何より、ギャグのスキルが向上している。 真に憎むべきキャラクターが余り出て来ないというスタンスは前作と変わらないが、連続的なストーリーで、展開を急がなくなったせいか、短絡的な印象が解消された。 かえって、「安心して読める」 という、作品の長所になっている。 また、学園ラブコメに多い、一つの問題を解決しては次々エピソード (ゲストキャラ) が変わるような展開ではなく、周辺のゴタゴタと、ヒロインの恋愛問題とが並行し 絡み合って進行するので、主人公以外のキャラクターへの興味も、長く温存される。 大まかなストーリーは他愛ないが、8巻時点でも割と飽きない。 この先、無駄な引き延ばしに走らず、「終わり時」 を見極めてくれたら …とだけ、願う。 見た目も成績も完璧なイケメンが地味なヒロインに一直線 …という超ベタな少女漫画設定は、この作品のヒロインが常人離れした感性であるが故に 普通の少女漫画よりは一応納得できるが、ストーリーのテンポやギャグのキレが落ちると 途端に、陳腐に見えてくる可能性が高いので… (つうか、高校時代を 好きな女を振り向かせる為だけに費やすイケメンって、よくよく考えると、どうなんだ)。 <関連日記> 2013.2.7. この子たちの 「停滞した恋愛模様」 をずっと見ていたい ・・・ ろびこ 『 となりの怪物くん 』 2014.9.19. 凡人すぎるヒロインを狙う、無駄に熱いイケメンたち ・・・ 相原実貴 『 ホットギミック 』 2015.4.9. 逆ハーレムを茶化しつつ、男たちの成長を描く? ・・・ ぢゅん子 『 私がモテてどうすんだ 』
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最終更新日
2016年10月10日 22時26分08秒
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