社会復帰後

「決裁てなんだろう」
動揺している私を見て イマダさんは言った。
「脅されたんやろう。」
「怖いわ。軍帥直々の決裁受けてもらうって言われた。（涙）」
「脅しよったな～。アホ集団が。やったろやないケ。」
イマダさんは店舗に電話をした。

「〇〇（私の名前）の代理のイマダやけど。さっき電話してきた女おるやろ。
そいつに代われや」「なんや お前 夜遅うに電話してきて 脅しよってからに。何がお前ら軍団じゃ。 ホンマ悪質業者軍団やのう。」
イマダさんは私にシッシッをした。

仕方なく、私は子供部屋から聞き耳を立てていた。

郵便物を二度と送ってこないよう要求しているらしい。
電話を切られたようだ。
イマダさんはまたかけ直していた。
「話は終わってないのんじゃ、何勝手に切りよんじゃ。コラァ！お前 名前言えや。 ハ？伊集院？ アホかぁ！！（笑）ヒカルでもシズカでもどっちでもエエわいや！ふざけた名前付けよってからに。本名言えや。なんや伊集院が本名言うんか！アホか！！ふざけんナヤ」
また切られたらしい。
イマダさんは何度も切られる度にかけ直していて、携帯と家の電話を両耳に当てていた。
しつこさは日本テレビのイマイさんみたいだった。
延々と繰り返し イマダさんは爆笑していた。
「エエか。二度と電話してくるなよ！郵便物も送ってくるなよ。」
女性幹部「分かりました！分かりましたよ！！もう送りませんってば」ガチャ！
「決裁てなんや 殺すっつー意味か聞いたら、〔殺しません！何もしません。〕いいよったぞ。蔵って誰や。」
「幹部…。」
「笑 じゃあ決裁とは何か説明してみぃ言うたら、答えられんかったぞ。」
「へ、へへ…。」笑ってはみたが 幹部の情けなさと意味不明の〔決裁〕に怯えた自分が恥ずかしいやらで しばらく ボーっと立ち尽くしていた。
「大丈夫や。家にも来ん言うたから。」
しばらくしたら今度は督促状が届いた。
私は風俗勤めをやめて婦人科で検査をしてもらい、ほっと一息ついて ノンビリとチビちゃんとイマダさんと過ごしていた。
督促状には「伯魔壬旭軍帥との契約により 速やかに入金すること。じゃないとザインエネルギーがなくなって運命が崩壊しちゃうよ～！」という内容が書いてあった。

イマダさんは笑って今度は 督促状に書かれていた番組に 電話をかけた。

「この間 郵便物送るな言うたやろ！また送ってきよったな！あのハゲタコ坊主出せや！」
また 切られてはかけなおして 挙げ句の果てにはザインが電話に出なくなったので、また携帯でかけ直していた。

「あいつら 〔頼むから百円で良いから払ってくれ〕言うとった。それ、やましい事しているっていう証拠やぞ。闇金と同じ事するセックス教団！最悪やのう。出るとこ出よか言うたら〔勘弁して下さい〕いいよったぞ。もう 来うへんわ。」
本当に督促状も電話もなくなった。

それだけザインはやましい事をしている証拠だと 思った。