基準電波をもとめて
アナログのテレビ放送があったころは、NHKテレビの映像派のキャリアを使って無線機の周波数を校正していました。NHKの電波の周波数の絶対精度は、推定0.2ppm程度以下で、しかもVHFの強力な電波のため重宝していました。 これに対してデジタルのテレビ電波はキャリア成分のスペクトルには明確なピークがない様子で、アナログ放送が終わって周波数の基準を失ってしまいました。FMの放送所がそばにあるのですが、FMはキャリア成分がはっきりするのは無音の状態に限られるようで、これも無線機の校正には都合がよくありませんでした。 今日安佐南区の祇園にあるNHKの中波放送所の近くに行く便があったため、放送アンテナのすぐそばに行ってAMの電波が校正に使えそうにないか試してみました。 基本波のキャリア、1071kHzはもちろん安定していますが、この周波数は低すぎて、CWモードでサイドトーンとのビートをとるやり方では、0.1ppmのオーダーで周波数を合わせようとすると周期10秒のビートを扱うことになり、使い勝手がよくありません。放送アンテナの近くに行ったのは、高調波成分が使えないか、と考えてのことです。 いくらプロの放送とはいえ、20kWの送信アンテナのすぐそばなので高調波もはっきり受かるのでは、と推定していましたが、10倍の10,710kHzでも、基本波の影響と思われるモガモガにかき消されてか、キャリアの高調波と思われる信号はよくわかりませんでした。VHF帯に信号が出ていないか、と期待していましたが、素人の自作送信設備とはさすがにわけが違いスプリアスの特性はやはりすばらしく良い(良過ぎる)ようです。 ほんの短時間試しただけではありますが、結局どうも中波の放送波も周波数の校正にはあまりよくなさそうです。便利な基準電波探しはさらに続きます。