「アメリカは赤ちゃんに優しい」ということを昨日書いたけども、もうちょっと踏み込んで言えば「アメリカは弱者にやさしい」
ということになるだろう。
(1)身障者用の駐車場に誤って車を止めたほうが駐停車禁止違反よりもかなり罰金が高いし、(2)低所得者には州政府の健康保険や食料の援助を受けられるし、(3)中学生(たしか14歳)までは親が同伴しないと親が捕まってしまう。
(3)は幼児虐待を防ぐための法律で、子供だけ家に留守番させられないし、1人で出かけさせても駄目だ。車に子供を置いて買い物に行ってしまうのも一緒、すべて親の罪となってしまう。もし子供が泣いたりしていると近所の人が虐待を受けていないか子供に声をかける。こんなに厳しい環境で暮らしていると、稜真を1人置いて洗濯にいくのも気をつかってしまう。
■ 1人でいる少年に違和感
このような環境で生活していると、子供が1人で歩いているるととても違和感を感じる。今回の日本出張でもそんな場面があった。休暇の20日(木)に自由が丘から鎌倉に向かっている時だった。
前日は深夜まで飲み自由が丘の友達宅で泊まらせてもらい、朝帰り。朝10時頃に横浜で横須賀線に乗り込んだら、小学校低学年くらいの男の子が車内をぷらぷら歩いていた。僕が電車に乗り込むと、男の子は一旦電車から降りて駅柱の路線図をじっと見つめた。そして扉が閉まる直前にまた電車に乗り込んできた。「迷子なのか?」と不安になりながら男の子を眺めていた。席に一旦座ったと思ったら、すぐに立ち上がり車両の端っこまでプラプラ歩いていった。
親はそばにいるようには見えない。「平日なのに学校は休みなのか?」「お母さんと迷子になってしまって行き場所がないのか?」「家出してきたのか?」など余計なお世話だが、考えれば考えるほど心配になる。それなのに、周りにいる大人たちは無関心で、なにもないかのように落ち着いて座っている。
数分後保土ヶ谷に着いたら、男の子はまた電車から降りて駅柱の路線図をじっと見つめた。「あの子は迷子だ、間違いない」出発のベルが止むと同時に、僕のそばの扉から飛び乗った。「ねえ、大丈夫?」と男の子に声をかけた。
「うん、大丈夫だよ」男の子は不思議そうな顔をして見上げた。
「これからどこへ行くの?」
「鎌倉。。。」
少年はしっかり僕の目を見つめながらしゃべる。「この子は大丈夫だ」と安心しつつ、鎌倉への目的を聞きたくなった。
「なにしに鎌倉へいくの?」
「いや~、おばあちゃんが熱を出しちゃってさー。お見舞いに行くの。 今おじいちゃんだけが看病しているんだけど、もう(83歳にもなる年寄りが病気すると)ヤバイよね。」
迷子ではないことで安心したと同時に、考えてなおしてみれば、小学校3年にもなれば1人で電車に乗れる。迷子になるという話は幼稚園児くらいまでだ。
■ お互いがお互いを監視するアメリカ
でもこの男の子が1人で歩いていることにはとても違和感を感じたことは間違いない。日本は平和だ。アメリカを歩いていて、小学生が1人で歩いている光景は見たことがない。もしそんなことをしていれば、簡単に誘拐されてしまう。そんなことが起こらないようアメリカ人は弱者にたいして常にアンテナを張っている。
3年前にロサンゼルスダウンタウンでの出来事を思い出す。ダウンタウンの9階に住む友達の家に遊びにいき、バルコニーでくつろぎながらしゃべっていた。そんななか下を眺めていたら、激しく口論しているカップルが歩いていた。かなり白熱した熱戦で、9階にいた僕らでも声が聞こえる。
「ファックユー(くたばれ)」
「ユーアーアースホール(くそったれ)」
「マザーファッカー(お前の母ちゃんでべそ)」
とまあ、汚い言葉が次々に出てくる。ついに切れてしまった男性は、女性を殴り倒した。
さて、ここからが本番。これを観た周りの男性人(3人)は、殴った男を取り押さえボコボコに殴った。殴った男性がくたばると、その3人は女性に近づき「大丈夫か」と声をかけていた。女性は礼をいうと、その3人は何事もなかったように去って行った。寅さんでいう「おじょうちゃん元気でな。あばよ!」という感じだろうか。
タレントの島田紳助が女性に対して暴行を起した事件があったが、日本ではどのようにとらえられたか気になる。すでにタレント復帰をしたみだいだが、アメリカだったらこんなに早く復帰するのは不可能だろう。アメリカ人の感覚で言えば、女性を暴行のほうが薬物使用より罪は重い。
いしだ一成の薬物所持と島田紳助の女性暴行を比べてもしょうがないのかもしれないが、いしだ一成と島田紳助の罪はどっちが重いのか?こんなことに違和感を感じてしまうのも、アメリカナイズされたのかな。