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テーマ:環境問題(4)
カテゴリ:政治・社会・環境
(参考文献:Forbes March 28号 2005)
ネブラスカのブレアーという町にプラスチック工場がある。コーンを原料に年間1億パウンドのプラスチックを生産するNatureWorksという会社だ。 この工場は、2002年に化学製品会社ダウ・ケミカル社と食品会社Cargillがジョイントベンチャー(3億ドル出資)で設立されたが、今年のはじめCargillがすべて買い取った。 会社を運営するのは、元ダウ・ケミカル社の重役を務めたベイダーさんだ。彼女はダウ・ケミカル社で唯一重役となった女性で、4年間で25億ドルの生産コストを削減したこと、コストカッターとして名声を勝ち得た。そして去年、NatureWorksに移り、彼女にとって最大のチャレンジが待ち受けていたのだ。「世界の消費を石油プラスチックからコーンプラスチックに変えていく。」 ■ コーン原料プラスチックの環境貢献度は? さて、そのコーン原料プラスチックはどのくらい環境にやさしいのか。ミシガン州立大分析によると、コーン原料のプラスチックボトル1000本生産は、石油原料の使用を36%減らすことができ、二酸化炭素排出量を44%削減できる。
しかも、コーンボトルは土に戻しすと二酸化炭素と水に分解されるのに対し、石油ボトルは一生分解されないのだ。 ■ 石油へのチャレンジ コーンプラスチックは環境にメリットはあるのだが、ウォルマートやP&Gなどはまだ買ってくれないそうだ。「けっこういいじゃない」と反応はあるのだが、「会社的には、湿度や高温でコーンプラスチックが分解してしまうのではないか」と疑ってしまう。ベイダーさんは「企業は変化を嫌うし、企業の重役はあまり環境問題には関心をもたず時間を費やしたがらない」と嘆く。 しかしながら、原油価格が1バレル50ドル以上をキープすれば、勝ち目があるという。ペットボトル1000本作るのに必要なコーン原料は82パウンド(3ドル)で、石油原料は55パウンド(10.41ドル:1バレル53ドルとして) ■ コーンプラスチックへの流れ 去年でNatureWorks社の顧客は2倍の120社に増えてはいるそうだが、会社の運営はスポンサーの援助金に頼っていることを考えると、お金になる商売とは言えなそうだ。 しかしながら、こうした環境問題の取り組みは少しずつ広がっている。大手化学製品メーカーデュポン社はイギリスのTate & Lyle社を買収し、2006年からコーン原料のポリーマーの生産に着手するそうだ。 NatureWorks社は2008年までに倍の2億パウンドの販売を目指す。がんばれ~! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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