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カテゴリ:うつ病
「うつ病が治りました!」
というのは、とても希望のもてる言葉です。 自分もいつかは治るのだ、と、思えるからですね。 でも一つだけ注意。 こういう 『私はうつ病でしたが、治りました!』 という言葉を目にしたら 『私は貧乏でしたが、苦労してお金持ちになれました!』 に、置き換えてください。 ・ ・ ・ というのもですね、実は「うつ病が治りました」という人の多くは 『うつ病のおかげで人の弱さを知りました』 『うつ病を通して成長できました』 『うつ病になってよかったです』 みたいなこと、書くんです。 僕も自分がつらかったとき、いろんな本を読んだりネットを調べたりして、こういう言葉を多く見かけました。 そして自分もこうしてほとんど回復して、こう書く人たちとほとんど同じポジションになったから言えますが 『うつ病のおかげで弱さを知れた?うつ病を通して成長?うつ病になってよかった?・・・ふざけるな!!』 と。 たしかにうつ病を経験して、性格はのほほんと、いわゆる『生きやすい性格』となりました。 人の弱さや痛みも理解できるようにはなりました。 でもね、こういう言葉が言えるのは、いわゆる『勝ち組』だからだと思うんです。 『うつ病の回復経験談はこういうポジティブな物言いをする人が多い』というより 『それよりもっと多くの人が、言葉を発することなく倒れていった』というのが正しいんだと思います。 だから目につくのはポジティブな言葉、明るい経験談ばかり。 文頭で「お金持ちになった人ととらえて」と言ったのはつまりこういうことです。 ・ ・ ・ たとえば月収10万の人が苦労して努力して、月収1億円になりますよね。 そしたらその人はこう言うでしょう。 『昔は貧乏だったから貧乏人の苦労はわかる。あのころは苦労したけど、あの苦労があったから今がある。みんな努力すればこんな風に成功できるよ!』 と。 でもね、よく考えてみてください。 月収1億円になったからといって、月収10万円の生活ができないかといえばそんなことないですよね。 9990万円をなかったものとして生活すれば、いつだって月収10万円の頃の生活ができるんですから。 もしもその頃を清貧だった、それでも素晴らしかったと思うなら迷わず9990万円を捨てて月収10万円の暮らしをするはずです。 なのに誰もそんなことをしない。 僕がこんな風に愚痴めいたことを書くのは、僕自身がこういうった物言いをする人たちに支えられて、同時に傷つけられたからです。 うつ病の闘病中にあれだけつらい思いをしたはずなのに、それが『治った』立場になった途端、ある種他人事と思えるほどの言葉を突き付けてきます。 うつ病経験者こそ一番の味方だと思っていたのに、なまじ味方に見えるだけに、こういう食い違いが傷つく原因になり得るのです。 うつ病は十人十色。 誰かの成功例が自分にあてはまるとは限りませんし、その人の最適解が自分もぴったりかなんて決まっていません。その人にとっての『治った!』が、自分にとっての『治った!』と同じ意味かすら怪しいこともあります。 そんなわけで「疑心暗鬼になれ」ということではなくて『自分は自分らしく』というスタンスで自己防衛もしてね、ということを長々と書きました。 ではでは。 にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年06月07日 22時15分00秒
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