終戦記念日
61回目の終戦記念日は、朝から小泉首相の靖国参拝で慌しかった。昨年は中韓の批判ボルテージが高かったので取りやめたが、今年は最後の「公約実現チャンス」ということで挙行したようだ。 もとより中韓の批判は自由だが、外交ルートを通じてのいちゃもんは完全な内政干渉である。中韓の教科書内容についてもし日本が外交ルートで抗議したら、一体どのような事態になるだろうか。日本はそこまで愚かではないからやらないが、他国の内情に軽々しく口を挟んで良いと思っていること自体が未成熟な国家の証である。 では本日の小泉首相の靖国参拝が正しいかというとそうでもない。なぜなら、今日の参拝がはっきり云って全く火急の問題ではないこの案件を蒸し返すことによって、またぞろ中韓との外交関係がおかしくなることは自明の理。なのにこの件を解決するなんら有効な手立てを持たないまま参拝に及んだのでは、無策のまま相手の顔にボールを投げつけるようなものだ。 好むと好まざるとに関わらず、日本は中韓と共存していかなければならない。その為の正常な外交ルートは保持していなければならないし、中韓とは領土問題等もっと差し迫った懸案が数多く存在する。 そんな時に、過去の歴史解釈を巡っていつまでも泥仕合を演じていて良いわけが無い。中韓はメンツを潰されたと感じてまた騒ぐだろう。8月15日に首相が参拝するかどうかは、彼らにとっても重要な問題なのだ。 何回も書いているが、中国に関する限り、あの戦争は明らかな侵略戦争である。ただし、西欧列強の方がはるかに早くから中国への侵略を開始しており、最後に残ったのが地理的に一番近かった日本であったに過ぎない。日本が中国を侵略したのは対ソビエトに対する地政学上の理由と、その頃盛んであった帝国主義的領土獲大によるものだった。 中国からすれば、あの戦争を指導したA級戦犯が軍神として奉られているのは我慢できないだろう。しかしそれは外交問題ではなく、日本の国内問題である。常軌を逸した抗議活動をすべき問題ではないのに、必要以上に国民の敵愾心を煽るのは自国の政権維持の為といわれても仕方あるまい。 韓国の場合は事情が全く異なる。韓国は太平洋戦争が始まる30年も前に日本に併合され、A級戦犯達はその併合劇にはなんら関与していない。日韓併合は国際的に承認されていたし、一度も戦争状態になったことが無いのだ。それ故中国は戦後戦勝国となったが、韓国(朝鮮)は戦勝国の列に加わることを拒否されている。 韓国の抗議というのは殆どが感情的で筋が通らないものが多いが、そもそも日韓の政府レベルで靖国問題など存在しないのではないかとさえ思う。 日中韓が歴史解釈で不毛な泥仕合を演じている間、レバノンでは実際の戦闘で多くの命が失われている。米英の航空路線を狙った空前のテロ計画も明るみに出た。イギリスの閣僚が、「すでに第三次世界大戦の様相を呈している」と語るほど、世界は戦火にまみれている。それは西欧の力の信望が中東諸国と正面からぶつかっているからだ。 せめて日中韓は、同じアジア民族として分かり合えるようになりたいものだ。困難ではあっても、力による対決が何も生まないことを、毎日のニュースが教えてくれているではないか。こちらもクリックいただけましたら幸いですこちらも始めてみましたので、お願い申し上げます