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2006/11/19
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カテゴリ:ネパール産
なじみの石屋さんで「アバンダンス・クリスタルって水晶を知ってる?」と
聞かれました。
なんでも、お客様で「アバンダンス・クリスタル」なるものを探してこられた方がいて、
「最近有名なのよ~」とおっしゃっていたのだとか。

結論から言うと、知ってます。
しかし、知っていたのは偶然で、別館サイト私的用語集を作るのに、
勢い余って海外サイトまで覗いていたら、偶然見つけて収録したので覚えていたのです。
収録した頃は国内サイトではほとんど見かけなくて、
最近わずかに見かける……というか、「前より増えたな」と感じる程度です。

もしかして、サイトに紹介されていないけれど、最近の注目株なのか、
局地的に有名なのかは知りませんが、
アバンダンス・クリスタルというのは、
「主となる結晶のまわりを小さな結晶が取り巻いている水晶」のこと。
アバンダンス(abundance)とは「豊富な」というような意味で、
石の意味としては、努力に対して力をもたらすとか、
落ち込みに対して活力をもたらすとか、そんなような解釈がなされているようです。

つまりは、主となる結晶のまわりを取り巻く小さな結晶が、
みんなで支えてサポートしてくれる……というイメージを作り出しているのでしょう。

さて、ここで取りあげたいのは石のネーミングとその形についてです。
今回の「アバンダンス・クリスタル」については、
国内サイトにおいては、

のような、
クラスタータイプで、一つ目立って大きな結晶があるものを指しているのに対して、
海外サイトでは、どちらかというと

のように、ベース(根本)がひとつになった、
スプレー型とか、キャンドル・クォーツの一種を指しているようなのです。
写真で言えば、こちらのアゼルバイジャン産のような感じでしょうか。

私は、石のネーミングというのは、
「他とは目立って違うもの」を「名前を付けること」でさらに区別し、
その形や色からイメージをふくらませ、
それを石のパワーとして意識づけるものだと考えています。

「他とは目立って違う」ということは、
同時に「同じようなものがさほど多くない」ということでもあります。
名前を付けるということは、他とははっきりと区別するということです。
しかし、それが商業ベースに乗ると、ことはいささか様相を異にします。

名前が付くと、そこにはある種の価値が発生します。
他とは違う、特別な水晶としてのプレミアです。
商業的には、そのプレミア分の利益をプラスできるチャンスです。
しかし、その名前の通り「数が少ない」ということは、
それだけ希少価値が付く反面、利益のチャンスも少なくなります。
理想としては、そこそこ数があって、かつネームバリューによって利益がプラスできること。

そのせいかどうかは想像でしかありませんが、
名前が付けられた石が、広くあちこちで売られるようになると、
名前が指し示す形状が、いささかルーズになるようです。

本来、蝕像によってできた「▽」であるトライゴーニックが、
とにかく「▽」であればトライゴーニックとされたり、
「大聖堂のように見える」カテドラルが、
ちょっと複雑な形状であれば「カテドラル」にされていたり。
とにかく「そんな感じ」であればすべてその名前に含めてしまう傾向があります。
しかし、「他とは違う」からこそ「名前を付けて区別」したのだという
当初の目的からすれば、それはいささか逆行しているとは言えないでしょうか。

石のネーミングというのは、元々がイメージですから、
人が「そう見える」と思えばそれでいいのかもしれませんが、
問題は「そう見える」という意識がどこから来るかということです。

アバンダンス・クリスタルを例にすると、
アバンダンス・クリスタルという意味を考え、
なるほどこの形状がそうであるかと意識して、その石に意味を見いだすのか、
「アバンダンス・クリスタル」と名前を付けられて売られている石を見て、
「これがアバンダンスクリスタルという石なのね、
こういう意味なのね、すごい石なのね」と考えるのかということです。

端から見ればどっちもどっちですが、
名前の意味を自分の意識に落とし込み、自分でその石を判断してイメージを重ねるか、
付けられた名前を鵜呑みにして、その名前によって石に意味を見いだすのかという違いです。
細かなことですが、「名前を付ける」という意味を考えると、個人的には前者でありたいです。
何故にその名前が付けられ、その意味が見いだされたのであるかを、
自分の意識の中にちゃんと位置づけておきたい。
石の名前に価値を見いだすのであれば、それは選ぶ方の責任でもあると思うのです。

ま、ぶっちゃけて言ってしまえば、
いい加減なネーミングで、ぼったくられるのはごめん!……ということですが。

アバンダンス・クリスタルに限って言えば、
クラスターの中でひとつだけ大きな結晶が突き出ているだけでは、その名前に値しないでしょう。
大小の結晶がベースをひとつにし、小さな結晶が大きな結晶を支えているような、
あるいは、石の豊かな力が小さな結晶となってあふれているような、
そんな整った石であって欲しい。

……というわけで、KURO的アバンダンス・クリスタル。



ガネーシュ・ヒマール産ヒマラヤ水晶です。
透明度は高いものの、表面の約半分に、細かなクローライトが付着しているせいで
磨りガラスっぽくみえてしまう結晶の根本に小さな結晶がきれいにクラスターのようになっています。
中にはたぶん角閃石と思われる針状結晶入り。
大小の結晶が、きれいな景色を作り出しているこの石を何と呼んだものかと思案していましたが、
考えてみたらアバンダンス・クリスタルの条件にぴったり。
他とはちょっと区別したくなる、そんな雰囲気の石なのです。





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Last updated  2008/09/23 08:17:45 PM
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フォレスト@ Re:”メタ”からアゼツを考える。(09/28) アゼツライトは水晶にもならないただの石…
スターブラリー@ Re:名前を使う、意味を使う(10/08) この写真に掲載されている水晶は、販売予…
spiranthes@ Re:Vサイン!(11/15) 55度24分のベローダ(Belowda)式双晶かもし…
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