『日本、遥かなり エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』門田隆将
日本、遥かなり [ 門田隆将 ]価格:1,836円(税込、送料込) 国家が「命」を守るとは、いかなることか。そして、「エルトゥールルの奇跡」が教えてくれるものは何か。イラン・イラク戦争でのテヘラン脱出など、4つの大きな「邦人救出」をめぐる物語を綴る。 1890年に日本を訪れ、台風で難破したトルコ軍艦エルトゥールル号の乗組員を、日本人は必死に救助し、トルコまで送り届けた。それから95年を経た1985年、イラン・イラク戦争で危機に陥ったテヘラン在住の日本人を、トルコが命がけで救出してくれた。「危険だからこそ、我々が助けに行く」……その気概によって、国を越えて命が救われた事実は、我々の胸を打ってやまない。だが一方で、海外にいる邦人を救い出す法整備は後手にまわり、驚くべきことに、2015年の安全保障関連法改正でもなお、自国民の命を「救えない」状況が続いている。海外で危機に陥った日本人は、いかなる困難に直面するのか? そして、日本の近隣で緊急事態が起きた場合、我々は絶望の淵にある他国の人々の命を救うことができるのか? 本書は、イラン・イラク戦争、湾岸戦争、イエメン内戦、リビア動乱で死地を脱した数多くの邦人たちを取材し、日本が今も抱え続ける「邦人救出」の問題点を抉りだした。エルトゥールル号遭難の舞台となった和歌山県串本やトルコの描写も交え、「恩返しの奇跡」と「緊迫の脱出劇」の真実を明らかにする、魂が震える感動のノンフィクションである。 本書は、トルコ軍艦「エルトゥールル号」の悲劇と、1985年のテヘランでの邦人救出問題を真っ正面から扱ったノンフィクション。トルコ軍艦エルトゥールル号の悲劇については知ってはいましたが、本書では実際に1985年に事件に遭遇した民間人や大使館員など多数に取材を敢行し、危機に陥った邦人たちが、いかなる焦燥と絶望に陥ったのか、脱出のためにいかなることをしたのか、そして救われた時にどれほどの歓喜と感謝に包まれたのかなど、知られざる真実が明らかにされています。更に、トルコ首相を動かした誠実な商社マンの実像にも肉薄しており、エルトゥールル号遭難事件の現場となった和歌山県串本町やトルコの描写も交え、「恩返しの奇跡」と「緊迫の脱出劇」の感動の真実を余すところなく描き出しています。また、湾岸戦争、イエメン内戦、リビア動乱で救出された邦人にも取材し、当時の手に汗握る状況を詳述し、国家が命を守るとはいかなることかについての問題を提起しており、改めて国家の安全保障についても考えさせられる一冊です。【満足度】 ★★★★★(文句なし!)