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WBCに愛があった。 毎日違う選手が、昨日の食事のお礼を言いながら通り過ぎていく。その影では、イチローがチームをまとめあげていた…。WBC日本代表内野守備走塁コーチが綴る、侍JAPANの真実。 本書はサブタイトルに「三塁コーチが見た侍JAPANの知られざる感動秘話」とありますが、WBC日本代表内野守備走塁コーチの著者が、WBCの知られざる舞台裏を書いたもの。ノンフィクションライターなどが書いたものではなく、現場にいた人にしか書けない臨場感が伝わってきますし、選手選考や著者の守備理論、WBCでのコーチ依頼から、連覇となった本大会までを様々なエピソードと共に伝えてくれています。 【満足度】 ★★★★
体温を上げると健康になる 体温が1度下がると、免疫力は30%低下する!米国・EU・日本で認定されたアンチエイジングの専門医が、体温を上げることで、ストレスに強く、病気になりにくい健康な体を維持する方法を教える。 本書は、「体温が1度下がると免疫力は30%低下する」と警鐘を鳴らし、1日1回、体温を1度上げることを推奨し、体温を恒常的に上げていくことで健康な体を手に入れることができると提唱しています。低体温は、放っておくと、血行が悪くなり、免疫力を低下させ、様々な病気を招く確率が高まることから、最近は、体温に関する健康本が増えてきており、本書もその中の一つではありますが、低体温となるメカニズム、低体温を防ぐ理想の生活習慣等についてなど、分かり易く解説されています。 【満足度】 ★★★★
遠くの声に耳を澄ませて 終わらない毎日に奇跡のようにおとずれる、小さな「気づき」の瞬間…。看護婦、OL、大学生、母親など、普通の人たちがひっそりと語り出す、ささやかだけど特別な12の物語。 本書は、雑誌『旅』に掲載された12作品をまとめたもので、どの作品も生真面目な人達の日常と、感情の揺らぎを丁寧に描いていた作品集で、いずれも何らかの形で旅が描かれています。作品同士で繋がりのある登場人物が出てきたりと、短編ながら、うまく作品同士をリンクさせており、淡々とした作品ではあるものの、短編として非常に丁寧な描かれており、心に響く作品も多いです。 【満足度】 ★★★★
ドーン 2033年、人類で初めて火星に降り立った宇宙飛行士・佐野明日人。しかし、宇宙船「ドーン」の中ではある事件が起きていた。世界的英雄となった明日人を巻き込む人類史を揺るがす秘密とは? 物語は、2033年の宇宙を舞台に日本人宇宙飛行士が世界的なスキャンダルに巻き込まれる近未来小説で、その主人公は東京大震災で、息子を失った宇宙飛行士。宇宙船クルーでのスキャンダル、東アフリカでの戦闘、猛威を振るう謎ウイルス、白熱するアメリカ大統領選挙……と、複数の線が一つの点に繋がる作品で、近未来の世界観を見事に展開の中で絡めていて、芥川賞作家にしては非常にエンターティメント性の高い作品ともいえるでしょう。読みながら、先の展開がどうなっていくのか、非常に楽しめながら読むことができましたし、前作の『決壊』も作品的に良かったですが、個人的には、この作品が平野啓一郎の作品の中ではナンバーワンです。 【満足度】 ★★★★☆
中学んとき 人生史上最もスケベで、カッコ悪くて、ダダモレな季節。それが、中3男子! 日本一空気を読まない鷹野。クラスに満ちる負のパワーに彼は…? こよなく愛おしい思春期男子の純情連作集。『野性時代』連載に加筆・訂正。 本書は4つの物語からなる連作小説で、思春期真っ盛りの中学3年の男子を主人公とした作品ではありますが、懐かしい作品というよりも、今の中学3年生を主人公として様々に抱える問題を描いているだけに、中身としてはかなりシビアな現実が描かれ、ここが読み手によって大きく評価が分かれるように思います。 【満足度】 ★★★
追跡 東京都内を運行する列車内でスリと切り裂き事件が発生。集団で取り囲んで犯行に及ぶ「多国籍スリ集団」と女性のバッグをゲリラ的に狙う「切り裂き魔」。鉄道警察隊の小笠原たちの捜査で辿りついた犯人像…それは女性だった! 東京都内を運行する列車内で、スリと切り裂き事件が相次いで発生した。『多国籍スリ集団』と呼ばれる犯人たちは、お年寄りや、女性を狙い、乗客を集団で取り囲み、連携して犯行に及ぶ。一方、『切り裂き魔』と呼ばれる犯人は、女性のバッグを狙い、ゲリラ的に切りつける犯行を繰り返していた。警視庁鉄道警察隊新宿分駐所の小松原たちは、犯人グループを追い、警乗に追われていた。日々拡大する被害、エスカレートする犯行。鉄道隊の威信を賭けて辿り着いた犯人像とは!? 物語は、凶悪な列車内での犯罪に立ち向かう鉄道警察の姿を描いたサスペンスで、警察庁所属であるものの、非常にマイナーな鉄道警察隊の姿を描いています。著者初の警察小説ではありますが、高嶋哲夫らしく凝った展開にもなっていて、ミステリ要素も含んで読みごたえある作品に仕上がっています。できることならば、シリーズ化しての続編も読んでみたいです。 【満足度】 ★★★★
福澤彰之の息子、秋道は画家になり、赤い色面ひとつに行き着いて人を殺した。一方、ひとりの僧侶が謎の死を遂げる。人はなぜ描き、なぜ殺すのか。9.11の夜、合田雄一郎の彷徨が始まる。『新潮』連載を加筆修正し単行本化。 曹洞宗の僧侶・福澤彰之を主人公とした、『晴子情歌』『新リア王』に続く3部作の完結編でもありますが、物語での事件を担当するのは高村作品でお馴染みの合田雄一郎で、仏教と新興宗教、更には仏教でいう殺人の意味は何なのかを上下巻の約400ページのボリュームで問う作品となっています。そして物語の事件を通して、現代社会の闇も描いており、本書の中では2つの事件が描かれますが、その事件の背景も凝った展開としていて、高村薫らしい重厚な作品となっています。 【満足度】 ★★★★
逃亡者 交換殺人に乗り、知人の夫を殺した友竹智恵子は、警察の不手際で脱走に成功する。顔を変え、身分を偽り、日本全国を逃亡し続ける智恵子と、彼女を追いかける警察の執念。15年の時を経た時効の朝、驚くべき真実の扉が開く…。 本書は、殺人犯が時効まで逃げ切ろうとする逃走劇をミステリとした作品で、福田和子の事件を彷彿とさせる物語。社会派的なテーマをうまく折原一のトリックに仕立てていて、これまでの折原作品とはやや異質ではあったものの、ラストのトリックなどは折原一らしさが存分に出ています。 【満足度】 ★★★★
プラ・バロック 埋め立て地の冷凍コンテナから、14体の凍死体が発見された。整然と並んだ死体は、誰の、どんな意図によるものなのか? 女性刑事・クロハが、虚無感と異様な悪意の漂う凶悪犯罪事件の深部に迫る! 機動捜査隊の一員として初めて殺人事件の現場に出場したクロハだが、すぐに所轄の臨港署の手伝いに回されてしまう。臨港署の住民相談係に持ち込まれた事案は、契約者と連絡が取れなくなったレンタル冷凍コンテナの内容物の確認の立ち会いだった。つまらぬ仕事に腐るクロハだが、コンテナから14もの遺体が見つかる。検視の結果、遺体はすべて自殺だった。やがて、中のひとりが県警本部にメールで遺書を送りつけていたことが判明。さらに別のレンタルコンテナからも6人の自殺体が見つかる……。 本書は、第12回日本ミステリー文学大賞新人賞作で、冒頭から14体もの死体が発見され、さぞかしスケールの大きなミステリかと思ったものの、ページを進める毎に、無茶な設定が多かったり、仮想と現実との表現の違いももっと工夫すべきで、非常にスピード感はあるのだが、折角の題材を活かしきれていなかったのが残念。 【満足度】 ★★☆
ひろいもの 対人関係に自信の持てないバイト店員、イベント司会ばかりの売れない女優、喧嘩早い性格で転職を繰り返す元不良…。人生に躓いた5人が「ひろいもの」をしたとき、運命が回転を始めた…。珠玉のハートウォーム・ストーリー。 物語は、販売が苦手なアルバイト店員、夢はあっても売れない女優、転職を繰り返す元不良、ひきこもりの青年、恋人の死から立ち直れない女性……と、それぞれ5人の思うような人生を送れずに悩んでいる彼らが、セカンドバッグ、サングラス、警察手帳、ハンドグリップ、ウオッチを拾い、その拾い物によって、人生が変わっていく様子を描いた5つの作品集。フトしたきっかけとなる拾い物によって、自己変革したり、新たな人生のスタートができたりと、運命の歯車が回る様子をうまく物語とした作品です。 【満足度】 ★★★★ │<< 前のページへ │一覧 │ 一番上に戻る │ |