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わくわくBOOKランド 今日の一冊

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babiru_22の日記

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February 10, 2010 XML このブログを購読する

『刻まれない明日』三崎亜記
[ 今日の一冊 ]    


刻まれない明日

 「開発保留地区」それは10年前、3095人の人間が消え去った場所。だが街は今でも彼らがいるかのように日々を営んでいる…。失われた時が息づく街を舞台に描く長編小説。

 10年前、ある街で3095人もの住人が忽然と消える事件が発生した。何も知らずにその街に移り住み、図書館で働き始めた麻衣は、ある日、貸し出し統計に貸し出し館不明の大量のデータがあることに気付く。やがて、それらの本は、かつて事件の場所にあって今は存在しない第五分館から貸し出されていることを知る。この街では、事件で消えてしまった人々があたかもいるかのように社会が動き続けていた。麻衣は、街で再会した大学時代の友人・沙弓から、彼女が事件の唯一の生き残りだと打ち明けられる……。

 物語は序章から始まる7つの短編で構成される連作集で、これまでの著者の作品に登場してきた人達も加わって、見事な三崎ワールドが展開されています。本書は『失われた町』の続編的な作品ですが、様々な作品とうまくリンクさせており、この一冊で過去の作品をうまく網羅していたところは、とても新鮮でしたし、魅力ある作品でした。

【満足度】 ★★★★☆


Last updated  February 10, 2010 07:26:18
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February 9, 2010

『螻蛄』黒川博行
[ 今日の一冊 ]    


螻蛄

 羊の皮をかぶった狸・二宮とイケイケヤクザ桑原は、宗宝をめぐるスキャンダルを嗅ぎつける。絵伝を金にと画策するふたりを待ち受けるのは、巨大宗派の蜜に群がる悪党たち。最後に笑うのは? 『週刊新潮』連載を単行本化。

 本書は、『疫病神』『国境』『暗礁』に続く「疫病神」コンビシリーズ第4弾で、桑原のシノギを無理矢理手伝わされながら、成功報酬に目がくらみ、結果的にトラブルに巻き込まれてひどい目にあう二宮との、トラブルだらけのシノギが描かれるノワール作品。今回は巨大宗教団体のお家騒動を舞台に、住職が振出した額面二千万円の手形と絵巻物の交換に成功する桑原だったが、その絵巻物は真っ赤な偽物。しかし、この絵巻物が宗派内の権力争いに必要な重要アイテムであることが判明し、強欲な宗教家や東京のヤクザ、そして疫病神コンビによる宗宝争奪戦が描かれますが、息を付かせぬ展開が続き、最初から最後まで目が離せませんでした。

【満足度】 ★★★★


Last updated  February 9, 2010 00:00:40
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タグ: 黒川博行 , 螻蛄

February 8, 2010

『霧の塔の殺人』大村友貴美
[ 今日の一冊 ]    


霧の塔の殺人

 年商総額30億にのぼる実業家の生首が展望台のベンチに置かれていた。次なる惨殺遺体が発見され、さらに国会議員の殺害予告も…。劇場型犯罪と発展した事件の真相に、普段はクールな若手新聞記者・一方井将棋が迫る!

 岩手県の太平洋岸にある小金牛村から、県庁所在地である盛岡市まで向かうには、いくつかの峠を越えなければならない。その峠の一つ、雲上峠にある展望台の朽ちかけたベンチに、男性の生首が置かれていた。被害者は年商総額三十億にのぼる食品加工会社などを経営する実業家。地元の名士を残忍なやり方で殺害したのは誰なのか? 次なる惨殺遺体も発見され、海辺の村が騒然とするなか、さらには岩手県選出の国会議員を殺害するという予告が。全国へ厳戒態勢が広がる劇場型犯罪へと発展したこの事件は、思わぬ方向に急展開をみせて…。29歳、普段はクールな若手新聞記者の一方井将棋が真相に迫る。

 本書は、事件記者・一方井シリーズの2作目のようで、前作を読んでいないので、シリーズとしての奥行きは感じませんでしたが、猟奇的殺人事件と格差社会とをうまく合わせた作品。ただ、事件の背景が複雑で、展開も動きすぎているため、もう少しまとめた展開にしてほしかったです。

【満足度】 ★★★


Last updated  February 8, 2010 07:52:36
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February 6, 2010

『学校から見える子どもの貧困』藤本典裕・制度研編
[ 今日の一冊 ]    


学校から見える子どもの貧困

 ようやく注目されはじめた「子どもの貧困」問題。子どもの貧困の実態に直面する学校事務職員、そして研究者の立場から、いま学校で何ができ、制度改善のために何が必要かを問題提起する。

 本書は、生徒の経済事情の実態を知る学校事務職員と、研究者らによる現実問題としての貧困問題の現実が書かれています。授業や特別活動などのための「学校教育費」のうち保護者の私的負担は公立小学校で年に5万円、中学校では13万円以上にのぼり、教育費支出における家計負担の割合は22%、特に高等教育では53.4%とのこと。小中学校の子供がいれば、家庭での教育費負担の重さを実感するのでしょうが、教育予算が削減され続ける中で、家庭での負担が年々重くなっているという現状を知ることができました。ただ、問題提議はされているものの、解決策についての意見がもっと多ければとは思いました。

【満足度】 ★★★★


Last updated  February 6, 2010 08:11:19
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February 5, 2010

『県境マニア!』石井 裕
[ 今日の一冊 ]    


県境マニア!

 県境には、日本人が好きな「旅の楽しみ」がいっぱい詰まっている! 定番スポットからとっておきの穴場まで、ロマン溢れる30の県境を徹底ナビゲート。今すぐ使えるアクセスマップ&周辺ガイド付き。

 本書はサブタイトルに「日本全国びっくり珍スポットの旅」ともありますが、県境にスポットを当てた、全国各地の県境探訪を続けた県境マニアによる県境旅行記。秘境あり、ダムあり、酷道ありと、写真とマップ付きで、雑学的で情報源ともなる面白いサブカル本です。他にも著者の旅先での失敗エピソードなども楽しく読むことができます。

【満足度】 ★★★★


Last updated  February 5, 2010 07:05:38
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February 4, 2010

『あ〜ぁ、楽天イーグルス』野村克也
[ 今日の一冊 ]    


あ〜ぁ、楽天イーグルス

 楽天野球とは何だったのか? 最下位から歓喜のCS進出、驚きの解雇通告まで、楽天監督を務めた1500日の真相を明かす。波瀾と栄光の「楽天再生工場」のすべてがわかる。

 本書は、東北楽天ゴールデンイーグルスで監督として采配をふるった1500日間の軌跡、そして進退問題の内幕と経過を、野村監督自らが書き下ろしたもの。当初、楽天の暴露本と言われていたものですが、名誉監督に要請されたことから、首脳陣批判はあるものの、球団内部の暴露部分は少なく、選手達についてなども、これまでの著書と重複している部分が多かったため、新鮮味はそれほど感じませんでしたが、ソフトバンクの孫正義オーナーとの意外な話や、活躍した選手達を褒め称えており、野球ファンなら一読の価値がある一冊だと思います。

【満足度】 ★★★★


Last updated  February 4, 2010 07:31:43
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February 3, 2010

『宇宙で過ごした137日』若田光一
[ 今日の一冊 ]    


宇宙で過ごした137日

 宇宙飛行士・若田光一が、日本初の有人宇宙施設「きぼう」で過ごした137日の行動記録を完全収録。微小重力下での実験、有人宇宙開発のあゆみなども紹介する。

 サブタイトルには『僕の「きぼう」滞在記』ともありますが、本書は日本人初の長期滞在を果たした宇宙飛行士・若田光一さんの137日にわたる宇宙での活動記録をまとめたもので、宇宙から寄せられた本人メッセージや137日間の行動記録の様子を紹介したもの。宇宙実験の詳細など、ニュース報道では細かく報道されていなかった部分も詳しく紹介されており、非常に興味深い内容でした。

【満足度】 ★★★★


Last updated  February 3, 2010 08:01:00
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February 2, 2010

『阿修羅』玄侑宗久
[ 今日の一冊 ]    


阿修羅

 妻は3つの「わたし」を生きていた。そんな妻の交叉する人格に対峙する、夫と医師。それぞれの「わたし」という物語はいかに紡がれたのか? 解離性同一性障害をテーマに、記憶と意識、情念と無意識の深い闇に挑んだ小説。

 物語は、幾つもの人格が解離し同居する「解離性同一性障害」という心の病いをテーマに、3つの人格を持つ27歳の実佐子が、どんな出来事が解離をもたらしたのかを、精神科医の杉本らが実佐子の心の奥底を探りながら解き明かしていく物語で、実佐子の夫知彦の戸惑いや、杉本の亡き妻の記憶なども繊細に絡み合っています。それぞれの人格と過去、新しい人格の解離、そしてタイトルにもなっている阿修羅像の解釈をうまく繋ぎ合わせており、人格の闇を文学として巧く表現しています。

【満足度】 ★★★★


Last updated  February 2, 2010 08:00:42
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タグ: 玄侑宗久 , 阿修羅

February 1, 2010

『あねチャリ』川西 蘭
[ 今日の一冊 ]    


あねチャリ

 引き籠もりから立ち直るために、ママチャリでサイクリングを始めた凛。いつしか「自転車で駆けっこをする楽しさ」に目覚めていく。そして5年後、凛は世界選手権女子ケイリン決勝のトラックにいた…。女子ケイリン小説。

 早坂凛は、16歳のとき引き籠もりから立ち直るために、ママチャリでサイクリングを始めた。いつしか「自転車で駆けっこをする楽しさ」に目覚めていく。元“怪物競輪選手”との出会い。親との諍い。高校退学・自立。競輪学校をめざす少年たちやプロ選手との競い合い。…ひたむきに生きるゆえに挫折も多い。しかし、凛はバンクを疾走すればいつでも自由になれた。そして5年後、世界選手権女子ケイリン決勝のトラックに、凛がいた。世界チャンピオンと並走する凛。ラスト1周のジャンが鳴った。袖の日の丸が激しく揺れる。大外からバンクを駆け下りてフィニッシュラインに飛び込む凛…勝てたのか。

 物語は、女子ケイリンを舞台に、主人公の引きこもりの少女が、サイクリンクをきっかけにして、世界選手権女子ケイリン決勝の舞台までの成長と挫折、そして厳しい闘いを描いたスポーツ青春小説。もう少し展開に幅を持たせてほしかったとは思いますが、マイナーなケイリンの魅力を小説としてうまく表現していましたし、引きこもりから世界選手権の舞台へ駆け上る主人公の成長過程と、師匠を始めとする登場人物達も魅力的に描かれています。

【満足度】 ★★★★☆


Last updated  February 1, 2010 07:21:32
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January 30, 2010

『美しき天然 嘉仁皇太子の修学旅行』田中 聡
[ 今日の一冊 ]    


美しき天然

 若かりし大正天皇が、鉄道に乗り巡る明治の日本…。高崎、長野、新潟、桐生など、近代化に沸き揺れていた日本各地を旅する皇太子を軸に、さまざまな人々が暗中飛躍する歴史伝奇小説。

 皇太子時代の大正天皇は、日本国内のみならず、朝鮮半島にまで視察旅行に出かけるなど、厳重にスケジュールが決まっているにも関わらず、一人で散歩にでたり、人々に話しかけたり、かなり開放的な面を持たれていたそうですが、本書はそうした史実を下敷きにし、お伴をしていた有栖川宮、新聞記者だった「電通」の創始者・権藤震二、同じく新聞記者の山路愛山、ときの政治家・山県有朋、小説家・江見水蔭、人類学者・坪井正五郎、そして日本の山を守っているという謎の民・スクナ族、その巫女であるサワ、スクナ族から離れ今は都会に住んでいる笙吉などの登場人物が、皇太子と一緒に、日本各地を旅し、史実と神話をベースに、近代化に揺れる日本を描いたもの。

 膨大な資料を基としているのでしょうが、時代背景の描写もしっかりとしており、当時の日本各地の様子や、大正天皇のお人柄や登場人物の背景など、とても面白く、非常に楽しみながら読むことができた作品です。

【満足度】 ★★★★


Last updated  January 30, 2010 07:07:09
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