テントウムシは、丸くて小さくて、チョコチョコ歩く可愛い虫である。しかし、捕食者から見ると、苦くて不味い「食えない虫」らしい。鳥やトカゲなどもテントウムシは食べないと聞いている。
そのせいか、世の中にはテントウムシに擬態する連中が色々いる(本当に擬態なのかは此処では論じない)。昆虫ばかりでなく、クモ類にもツシマトリノフンダマシとかサカグチトリノフンダマシの様な、テントウムシに擬態したものが居ると言うのだから一寸驚く。
無論、昆虫綱にはよく似たのがゴマンとは言わないが沢山居る。分類学的にかなり離れたところでは、キボシマルウンカと言うウンカの仲間とか、ゴキブリの中にもテントウムシにソックリなのが居るそうである。テントウムシが属す鞘翅目には、テントウムシダマシ科の様な科のレベルで似たようなグループがあるし、テントウミジンムシ(ミジンムシ科)、テントウノミハムシ(ハムシ科)、テントウゴミムシダマシ(ゴミムシダマシ科)の仲間もテントウムシと間違え易い。その他にも、小型のヒメテントウ類に類似する甲虫は色々な科に存在する。
テントウノミハムシの1種.触角が長い(2007/10/19)
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今日、紹介するのはその中のテントウノミハムシの1種である。ブルーベリーの葉裏に止まっているのを見たときは、てっきりテントウムシだと思った。しかし、マクロレンズで覗いてみると、触角が違う。テントウムシの触角は何れも短くて「先太り」である。この虫の触角は糸状で長い。一寸触ったら、ピンッと跳ねて何処かへ行ってしまった。ノミハムシの仲間であった。
横から見ると頭の形はテントウムシ的でない(2007/10/19)
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大きさと鞘翅の模様は、ヒメアカホシテントウにソックリ、全く良く真似たものである。しかし、良く見ると、触角ばかりでなく、頭部と胸部の形がテントウムシとは明らかに異なる。この程度では、テントウムシを見慣れた人間には簡単に見破られてしまう。
斜めから見ると如何にもハムシ的(2007/10/19)
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テントウノミハムシ属(
Argopistes)には、只のテントウノミハムシ、ヘリグロテントウノミハムシ、ヒメテントウノミハムシ等、互いによく似た4種があるとのこと。残念ながら、この写真だけでは種の判別は無理である。「テントウノミハムシの1種」とする他ない。