数日前の朝、「北米原産シオンの1種(紫花)」に茶色っぽい小さな生き物が居るのに気が付いた。ツッ、ツツッと小刻みに素早く移動する。ネコハエトリか何かの幼体かと思って良く見ると、何と、小さな蛾であった。
ゴボウハマキモドキ.翅端まで僅か5mmの小蛾
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(2009/10/17)
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此の蛾、翅端まで5mmと小さいが、一寸した訳があってその名前を知っていた。ハマキモドキガ科のゴボウハマキモドキ(
Tebenna micalis)である。前翅に光を反射して銀色に光る部分が幾つかあって、小さいながらも特徴のある昼行性の蛾である。
吸蜜中のゴボウハマキモドキ
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(2009/10/17)
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此の蛾、昨年の秋に近くにある世田谷区の家庭菜園で撮影したことがある。しかし、その時は種類を調べる時間が無く、その儘放置しておいた。今年の夏近くなって、写真の整理をしていたとき、漸く種類を調べる気になり、ゴボウハマキモドキであることが分かったのである。ハマキガ科かと思って探したのだが、ハマキモドキガ科であった。
逆立ちに近い格好で吸蜜することが多い
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(2009/10/17)
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名前の通りゴボウの葉を食べるので、ゴボウの害虫として知られているとのこと。しかし、ゴボウばかりでなく種々のキク科植物に寄生し、特にアザミに多いらしい。この辺りにはゴボウは生えていないし栽培もされてもいないが、アザミはかなり生えているので、そう言う所で発生しているのかも知れない。
ハマキガ科幼虫には名前の通り食草の葉を綴って中に潜むものが多い。しかし、図鑑に拠ると、本種の幼虫はゴボウの葉面に糸を張って葉肉を食して片面の表皮を残す、と書いてある。「モドキ」と付くからではないが、葉は巻かないらしい。
ゴボウハマキモドキの顔.真っ正面からは撮っていない
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(2009/10/17)
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前翅の光を反射する部分の配置には個体差がある。上向きに留まった状態で、上に丸い半円状に分布する事が多い様で、世田谷区の家庭菜園で撮影した個体(未掲載)はそうなっていたが、此処に示した個体では光を反射する斑紋の数が少なく明確な半円形を成しては居ない。
ゴボウハマキモドキは前翅の間から後翅が見える様な
翅の畳み方をすることが多い
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(2009/10/17)
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同じ様な写真だが、オマケにもう一枚
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(2009/10/17)
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Web上にはゴボウハマキモドキの写真が余り多くないので、少し多目に貼って置いた。拡大するとかなり荒れた感じに見えるが、これは荒れているのではなく、蛾が小さい(翅端まで5mm)ので鱗粉が一つひとつ見えているからである。