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カテゴリ:自然:IT・サイエンス
親友に誘われて、茂木健一郎氏と日高敏隆京大名誉教授の対談を聴いてきました。 茂木先生は小林秀雄賞を受賞した著書「脳と仮想」やNHKのプロフェッショナルの司会で みなさんよくご存知でしょう。 日高教授は動物行動学の第一人者で、生物の分野では広く尊敬されている先生です。 「利己的な遺伝子」や「鼻行類」の訳者と聞けば、そうなんだ!と思う人も多いはず。 「春の数えかた」という本は日本エッセイストクラブ賞を受賞したほど、 文筆家としても一流の先生です。天は2物も3物も与えるのよね。。 もうね、面白い話がいっぱいでした。いっぱいすぎて全部書くのめんどくさいほど。 でも書くよー、忘れないうちに。 【生物は主観的に自分とって意味のあるものだけ選んで自分の世界を作っている】 日高先生が動物行動学の世界に入っていくきっかけとなったのが、 ユクスキュルというエストニアの人が書いた「生物から見た世界」 という本で、 その出会いは、戦争中、中学生だった日高少年が勤労動員で兵器工場に通っていたとき たまたま工場には図書館があり、この本を見つけたのだそうです。 戦争まっただなかなのに、そんなことと全く関係なく、 生物の行動とは?という本にものすごく心惹かれた自分を 先生自身不思議だったようです。縁というものは本当に不思議です。 その内容というのが、 「生物は主観的に自分にとって意味のあるものだけ選んで自分の世界を作っている (それしか目に入らない)」 というのもで、それを観世界と呼んでいます。 たとえば特定の植物に生息する昆虫などは、その花や木だけが自分にとって 意味があって、他はどうでもいいから、たくさんの草木で茂みになっていようと 他の草木は目に入らないそうです。 先生曰く、よく「いい環境を作る」とかエコとかいうけれど、 環境というのは客観的なもので、客観的にいいものをつくっても、 生物は自分の好きなものだけ選んで自分の世界を作っているんだから 客観的環境なんてそもそもないんだ、ですって 人間もそうだよなー。 【幽霊は想像力の欠如、あるいは想像力の不足の産物】 イギリスの哲学者ギルバートライルの書いた「機械の中の幽霊」という本。 未開の地に住む原住民のところに、ある日突然、蒸気機関車が乗り込んできたとする。 原住民は驚き警戒するが、どうやってこの固まりが走ってきたか考える。 そして、走ってきたから、きっと中に馬が入っているのだと思い、 機関車をどんどん解体していく、けれどもバラバラにしても馬は出て来ない、 答えを求めて呪術師に占ってもらうと、馬の幽霊が入っていたのだとわかり、 そうか、馬の幽霊だったんだとみんな納得する、という話。 本当は機械が駆動して走るというのが真実なのに、 想像力の欠如、不足で幽霊だということで解決してしまう、という 愚かなお話ということなのだけど、先生の話はまだ続く。 先生曰く、我々が信じている科学的な真理も幽霊のようなものだ、 よくテレビでやってる「科学的に証明されています」というのは非常に怪しい、 かなりいい加減と思った方が安全、ですって。そうですかー。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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