嫌われた「手」
「たんぼ」にとって私は必要な存在だったのか自信がないのです…田んぼの真ん中で立ちすくむ1匹の黒い猫。発見した人は、不思議に思い歩み寄るが人形のように微動だにせず一切逃げようとしない黒い猫…「どうした?」そう声をかけながら黒い猫の体に触れた瞬間、崩れ落ちるように倒れて動かなくなった…と、発見した人が動物愛護センターに連絡を入れた。こうして…動物愛護センターに収容された黒い猫は、センター名「たんぼ」と呼ばれていた。捕獲されて一週間、食事を摂ることもできず点滴だけで命を繋いできたとのこと…瞳孔が開き、目は見えていない。頭が小刻みに揺れ、歩行もままならない…この日、緊急レスキューを決意。かかりつけの動物病院に走ったが…検査結果は、たんぼの生命力に賭ける…それだけしか残されてなかった。本来ならば自由にしてあげたかったけど、たんぼは猫シラミのためビニール袋で囲った狭い空間がたんぼの小さな世界だった。完全駆除まで一ヶ月かかるが、それまでたんぼは生きてるだろうか?生きれるのだろうか…?早くサークルから出してあげたい!サンルームでみんなと一緒にひなたぼっこさせてあげたい!たんぼは、目が見えない…嗅覚も失っていたが、聴覚を一生けんめい集中させ「今」を観察してるようにも思えた。たんぼは、おしゃべりな子だった。話しかければ必ず返事をしてくれる。会話の途中でも、相槌のように小さく声を出してくれる。だけど…たんぼにとっての私はどんな存在なのだろう?毎日毎日、2~3時間毎に口内に液体を流し込んでくる「手」飲み込む力がないため一度に摂れる量は限られていた。高栄養流動食わずか2ml…これを2~3時間置きにシリンジで強制的に流し込む。毎日毎日、体に針を刺してくる「手」1日一回、皮下点滴が必要だった。オムツ装着も、下半身の清拭も点眼や点鼻も、毛布交換もたんぼにとって私の「手」は嫌な感情しかなかったのかもしれない…たんぼから信頼されてるのか?必要とされてるのか?愛おしさが増していく程に心が一方通行のような気がして不安になっていった…「嫌なことばっかりしてごめんね」今思えば、たんぼに謝ってばかりいた。それだけ自信がなかったのだろうな…レスキュー10日目の夜、たんぼの呼吸が荒くなった。そんな状態なのに、声をかけるといつものように返事をしてくれる。どうしてこの子はこんなにも…長い不安な夜を乗り越え朝を迎え、呼吸も穏やかになりようやく眠りにつくたんぼ。3月18日 AM7:30穏やかそうに眠るたんぼを横に私も安心して眠りについたが…AM10:30目が覚めてたんぼの体に触れるとすでに息絶えていた…まるで、私が眠りにつくのを待っていたかのように私を避けるかのようにたんぼは、ひとり静かに逝ってしまった。たったひとりで逝かせてしまった。おそらくこれが、たんぼ本人が選んだ最期なのだろうたんぼが嫌いだった私の「手」…お花ひとつひとつにごめんねの思いを込めながらの最初で最期の贈り物わずか10日間しか一緒に居れなかったけど、自信がないんです…「ぼたん」の心の声に気付いてなかったんじゃないか…って。「看取り」しか残されてない子たちにどこまで手をかけるべきか?どこで見極めるのか?あらためて「たんぼ」から教えられたような気がします。ようやく「ごめんね」から「ありがとう」とお線香を焚けるようになりました。たんぼ…ありがとう!ご支援ご協力…お願い致します▼住信SBIネット銀行支店名:法人第一支店 支店番号:106口座番号:2383858口座名義:シヤ)イノチノハウスホゴヤ〒880-1222宮崎県東諸県郡大字国富町八代北俣2581いのちのはうす保護家090-4484-5165(9:30~22:00 担当フジイ)「いのちのはうす保護家」HPhttps://hogoya.com/ いのちのはうす保護家 山下由美代表 いのちのはうす保護家 山下由美代表「犬猫保護施設・いのちのはうす保護家」YouTubeチャンネル登録よろしくお願いします。