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2006.10.31
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カテゴリ:日誌
甲状腺のFNACで乳頭癌と濾胞性腫瘍(病変)との区別の難しい例が多い.Follicular neoplasmの特徴を呈しながら,一部の細胞に核溝があったり,ぼんやりと核内封入体が見えたりするだけだと決断に躊躇する.乳頭癌と診断しないと手術にならないことが多いので,クロシロつかずにfollicular neoplasmと判断された例は,いつまでも経過観察と再検の繰り返しになる.LiVolsiらは定型的なfollicular neoplasmを細胞の特徴に基づきFONとFDNに分類する試みを提唱している.FDNとされた例は72%が乳頭癌だったと報告している.すりガラス状核と核溝がある細胞があったときは「悪性の疑い」にシフトした診断でもよいのかも?甲状腺乳頭癌は奥深い.画像診断をもっと頼りにした方が賢明か?

Deveci MS, Deveci G, LiVolsi VA, Baloch ZW. Fine-needle aspiration of follicular lesions of the thyroid. Diagnosis and follow-up. CytoJournal 2006; 3: 9. [要旨簡約]
FNACによるfollicular neoplasmの鑑別疾患には,過形成/腺腫様結節,濾胞性腺腫,濾胞癌,濾胞性乳頭癌が含まれる.ペンシルバニア大学医療センターでは甲状腺の濾胞性病変を過形成結節(HN),濾胞性腫瘍(FON),乳頭癌を示唆する核の特徴を一部に備えた濾胞様腫瘍(FDN)に分けて診断している.この研究ではFONと診断された339例とFDNと診断された120例を分析した.全例組織診で確認された症例で,年齢,性別,結節の大きさを評価に加えた.悪性率はFONと診断された例で22% (74/359例),FDNと診断された例で72% (86/120例)であった.FONと細胞診で診断された群では,悪性だった症例の約半分が乳頭癌であった.悪性のリスクは40歳未満の群の方が40歳以上の群より高かった(53% vs 30%).また男性の方が女性より悪性リスクが高かった(41% vs 33%).結節の大きさと良悪性の間には統計的に有意な相関はなかった.この研究結果から,甲状腺の濾胞性病変をFON (follicular neoplasm)とFDN (follicular derived neoplasm with focal nuclear features suspicious for papillary carcinoma)に分けて診断することが重要である.加えて年齢と性別などの臨床的因子も手術適応の選択の際の根拠にできる.





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Last updated  2006.10.31 13:33:35
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