Monto AS, McKimm-Breschkin JL, Macken C, Hampson AW, Hay A, Klimov A, Tashiro M, Webster RG, Aymard M, Hayden FG, Zambon M. Detection of influenza viruses resistant to neuraminidase inhibitors in global surveillance during the first 3 years of their use. Antimicrob Agents Chemother 2006; 50: 2395-2402 【要 約】
ニューラミニダーゼ阻害剤(NAI)感受性低下したインフルエンザウイルスの発生が低レベルだが薬物療法後に認められる.ヒト-ヒト間の耐性ウイルスの伝播はこれまで知られていない.Neuraminidase Inhibitor Susceptibility Networ (NISN)が設立され分離菌の感受性,NAI resistanceの発生を世界各地で検討した.WHOインフルエンザ共同研究センターに集められた分離菌のoseltamivir, zanamivir感受性を蛍光化学発光酵素阻害法で検索した.潜在的耐性と判断された菌株についてneuraminidase geneの塩基配列を分析した.NAIが使用された1999-2002年の最初の3年間で,2287株が試験された.これらのうち8株(0.33%)がoseltamivir感受性が10倍以上低下していた.1999-2000年では1株(0.22%),2000-2001年では3株(0.36%),2001-2002年では4株(0.41%)であった.インフルエンザ塩基データベースで同じ型のウイルスと比較して6株で特異なneuraminidase遺伝子変異が認められた.変異株1株だけがNAI投与中の患者からの分離株と確認できたが,NAI投与履歴のある患者からの変異株は1例も認められなかった.NAI出現に先行する3年間に分離された菌株(1054株)で耐性化したものは認められなかった.今回の検査期間中にNAI使用量は安定していたが,日本だけは例外であり,3年間でタミフルの使用が10倍に達していた.この間NAI感受性低下した変異株の頻度は有意に増加してはいない.しかし継続的なサーベイランスがNAI使用量の多い地域で必要である.