4617948 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

山本浩司の雑談室2

山本浩司の雑談室2

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

カレンダー

サイド自由欄































2009.08.17
XML
カテゴリ:講義一般
いわゆる推論問題は、国語の問題として解けるということを、ぼくは、ずっと昔から話しています。
国語の問題とは、法律の知識は最低限度であっても、国語の推理をすれば解ける問題ということです。
では、この点を、今年の司法書士試験の問題で検証しましょう。

次の対話は,外国人の人権に関する教授と学生との対話である。後記の文章群の中から適切な文章を選択して対話を学生の解答が論理的に正しい内容となるように完成させた場合,( 1 )から( 5 )までに入る文章の組合せとして最も適切なものは,後記1から5までのうちどれか。(H21-1) 
                    
教授: 外国人が憲法第3章で規定された基本的人権の保障の対象となるかどうかについては,否定説と肯定説とがありますね。これら二つの見解について,どのように考えますか。
学生: 否定説は,憲法は国民に対する国権発動の基準を示すものであり,憲法第3章の標題も「国民の権利及び義務」となっていることを理由としますが,私は,肯定説が妥当と考えます。なぜなら,( 1 )からです。
教授: 肯定説の根拠はそのとおりですが,肯定説を前提にして,憲法第3章で規定された基本的人権のうち。どのような人権が外国人に保障されるかについては,憲法の文言を重視する文言説と権利や自由の性質に応じて判断する性質説とがありますね。これら二つの見解について,どのように考えますか。  
学生: 私は,性質説が妥当と考えます。この説は,( 2 )との考えに基づき,より妥当な結論を導くことができるからです。         
教授: そうですね。では,文言説に対しては,どのようなことが指摘されていますか。
学生: 文言説に対しては,( 3 )という指摘ができると思います。
教授: 文言説の問題点としてはその点を指摘することができますね。次に,外国人に入国の自由が認められるかどうかについては議論がありますが,あなたはどのように考えますか。 学生: 私は,( 4 )と考えます。判例も同様の立場をとっています。 
教授: そうですね。
さらに,憲法上,我が国に在留する外国人に地方公共団体の参政権が保障されているかについても議論がありますが,あなたはどのように考えますか。
学生: 私は,( 5 )と考えます。この点についても判例は同様の立場をとっています

〔文章群〕
ア 憲法第22条第2項は,「何人も」と規定しているが,国籍離脱の自由の保障は,もともと日本国民のみを対象としている 
イ 憲法は,前国家的な人間の権利を保障するという思想ないし自然権思想に基づいて人権の規定を設け,国際協調主義を採用している   
ウ 憲法第22条第1項は,外国人が我が国に入国することついては何ら規定をしておらず,国際慣習法上も,国家は外国人を受け入れる義務を負うものではない
エ 入国の自由を保障している憲法第22条第1項は,「何人も」と規定しており,外国人に対しても入国の自由は認められる
オ 憲法によって保障された人権は,その性質に照らし,できる限り外国人にも保障すべきである
カ 憲法第93条第2項は,地方公共団体の長は,その地方公共団体の「住民」が,直接これを選挙すると規定しており,永住者等,我が国に在留する一定の外国人も,憲法上,地方公共団体の参政権を保障されている 
キ 憲法は,国民主権の原理を採用している以上,憲法第93条第2項が我が国に在留する外国人に対して地方公共団体の参政権を保障したものとはいえない

(参考)     
憲法第22条 何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転及び職業選択の自由を有する。2 何人も,外国に移住し,又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第93条(略)
2 地方公共団体の長,その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は,その地方公共団体の住民が,直接これを選挙する

  1 (1)イ  (2)ウ  (3)エ  (4)オ  (5)カ 
  2 (1)イ  (2)オ  (3)ア  (4)ウ  (5)キ
  3 (1)エ  (2)オ  (3)ア  (4)ウ  (5)カ 
  4 (1)オ  (2)イ  (3)ア  (4)エ  (5)キ 
  5 (1)オ  (2)イ  (3)エ  (4)ウ  (5)カ 

この問題は、ひじょうに易しいです。
国語の問題として考える場合には、(2)の部分が急所でしょう。
ここは、「オウム返しの原理」が使えます。

「オウム返しの原理」とは、会話は次のように進むという原理です。

「今日は天気がいいね」
「そうだね、外へいこうか。」

次のようには進みません。

「今日は天気がいいね」
「そうだね、家でじっとしていよう。」

このように、会話は、前に述べた人の言葉をモトに進行します。
上記の会話を補足すれば、次のとおりの「オウム返し」です。

「今日は天気がいいね」
「そうだね、(天気がいいから)外へいこうか。」

では、問題文の(2)のところをみてみましょう。

教授: 肯定説の根拠はそのとおりですが,肯定説を前提にして,憲法第3章で規定された基本的人権のうち。どのような人権が外国人に保障されるかについては,憲法の文言を重視する文言説と権利や自由の性質に応じて判断する性質説とがありますね。これら二つの見解について,どのように考えますか。  
学生: 私は,性質説が妥当と考えます。この説は,( 2 )との考えに基づき,より妥当な結論を導くことができるからです。     

教授が、「自由の性質に応じて判断する性質説」と言っています。
この部分の「オウム返し」が。「この説は,( 2 )との考えに基づき」です。
したがって、(2)には、「自由の性質」に関する言葉が入ります。

アからキの肢の中で、「自由の性質」について述べているのは、オです。

オ 憲法によって保障された人権は,その性質に照らし,できる限り外国人にも保障すべきである

上記の「人権」を「自由」に置き換えれば、「人権は,その性質に照らし」は、「自由は,その性質に照らし」となり、ピタリと「オウム返し」が成立します。
以上から、答えは、2または3です。

2 (1)イ  (2)オ  (3)ア  (4)ウ  (5)キ
3 (1)エ  (2)オ  (3)ア  (4)ウ  (5)カ 

次の問題は、(1)か(5)のいずれかを確定することです。
(5)の肢は、どうやら判例の結論(法律の知識)を知らなければ解答できないようですから、(1)の肢を国語の問題として考えてみましょう。

教授: 外国人が憲法第3章で規定された基本的人権の保障の対象となるかどうかについては,否定説と肯定説とがありますね。これら二つの見解について,どのように考えますか。

学生: 否定説は,憲法は国民に対する国権発動の基準を示すものであり,憲法第3章の標題も「国民の権利及び義務」となっていることを理由としますが,私は,肯定説が妥当と考えます。なぜなら,( 1 )からです。

ここも、「オウム返しの原理」で、(1)には、肯定説の「理由」が入ります。
肯定説とは、「外国人が基本的人権の保障の対象となる」(以上は、教授の言葉のオウム返し)という説です。
では、イの肢と、エの肢はいずれが、肯定説の「理由」として適切でしょうか。
以下に、二つを並べてみましょう。

イ 憲法は,前国家的な人間の権利を保障するという思想ないし自然権思想に基づいて人権の規定を設け,国際協調主義を採用している  

エ 入国の自由を保障している憲法第22条第1項は,「何人も」と規定しており,外国人に対しても入国の自由は認められる

上記のうち、イが、「外国人が基本的人権の保障の対象となる」説の理由として自然であることは一目瞭然でしょう。

前国家的な人間の権利を保障、国際協調主義→「外国人が基本的人権の保障の対象となる」というようにつながります。

エの肢は落第です。

外国人に対しても入国の自由は認められる→「外国人が基本的人権の保障の対象となる」では、本末顛倒であり、文章としてスジがとおりません。

いま、本末転倒といったのは、本来は、次の論理展開しかありえないためです。
「外国人が基本的人権の保障の対象となる」→外国人に対しても入国の自由は認められる

以上から、本問の答えは「2」です。
憲法についての知識は皆無でも、オウム返しの原理だけで解答ができました。






 






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009.08.17 17:21:44
[講義一般] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.