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カテゴリ:いろいろな回顧録
つづき・・。
私達は2階の弟の部屋の窓から表通りのその状況をただ見ているだけしかなかった。時折、上空では自衛隊のヘリが行き来しているのが見える・・・。 「下はもう完全に一面が池だわ。」と階段を上ってきた母が言う。 階段上から1階を覗く。「わ~・・、確かに水の都ヴェネチア状態だわ・・。」(そんな悠長な例えの状況であるはずもないが・・、泥水だし・・。) こんな目に遭っている時のヒトの心理状態というのは不思議なモノである、ある意味他人事のようであり、悲壮感漂っている感じでもない。 私のカミさんなんか、私の横で「もうヤケクソやね・・。」と言いながらビデオを回し始めたくらいだ。 「あっ!今、オレん家のタンスの引き出しが玄関から流れてったな~。」 私の自宅に避難していたお向かいの友人が言った。そう、彼の自宅玄関は閉められなかったばっかりに家財道具が、開いた玄関口から流出し始めたのだ!!「うわっ!また引き出しが~!あ~今度は子供のおもちゃやな~・・、ちくしょ~、さっきの引き出しン中にはワールドカップの時のTシャツが入ってたんだよな~。」 やがて、「あ・・・私の車が・・。」と同伴の友人の妻。指さした方角を見ると・・・先ほどまでもうウインドーから上までしかすでに見えなくなっていたトヨタBbがプッカリと浮きだし流され始めた。漏電しているのだろうか、物悲しそうにハザードランプを点滅させ傾きながら流れてゆく様はあまりにも切ない・・・。流れていく方角に本来クルマの通れる道はない、しかし浮かんでは沈みつつ遠ざかっていくBbはやがて私達の視界から消えていった・・。 そして私はふと気づく。「・・・あっ、エスとTZR・・それにっ・・!」 現在、私のクルマ&バイクは自宅から200メートルほど離れた車庫に置いてある。しかも、この水害当時、複数の友人から預かっているバイクもあったのだ。カタナ1100S、ゼファー400、KSR80(2スト・保存車)。 私は、それに気づいて初めて顔から血の気が引いたのを今も覚えている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年09月14日 14時20分42秒
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