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テーマ:本のある暮らし(3190)
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井辻朱美のえがく「風街」の路地には、不思議でとらえどころがなく、ちょっとずる賢い感じの黒うさぎがたくさんいるそうです。
このうさぎは「雨と幸運を運ぶ風の方向」へ走ったり、「宿命を事前に察知して、それから逃れ」たりするのが得意。彼らをつかまえようと、風街に滞在中のマーチ博士は、 …格別大きくて動きの鈍そうなやつが、溝に落ちた野菜をすくって食べているのに忍び寄り、うしろから網をかぶせた。ところが、わたしが網をどけてみると、そこに直立していたのは、どこにでもあるゴミ入れの黒いポリ袋だった。 また別のやつを見つけてたしかに網をひっかぶせてみると、今度は建物から落ちた鬼瓦が目をむいていた。 ――井辻朱美『風街物語 完全版』 実は、ポリ袋も鬼瓦も、黒うさぎが化けたものだったのです。 風街の黒うさぎは、狐や狸のように人を化かすのです。 確かに、逃げ足の速さだけでなく、足跡をごまかして猟犬を煙に巻いたり、じっとうずくまって敵をやりすごしたり、野生のうさぎたちは狐狸におとらず色々と工夫するとか。 うさぎと幸運との関係について、欧米にはいろいろ迷信があるみたいですが、私は詳しく知りません。確か、うさぎの脚のお守り、なんてのもあったような。 日本や中国のうさぎも、神様に我が身をごちそうとして差し出したり(仏教説話)、お月さまに住んでお餅をついたり、カエルたちと一緒に相撲を取ったり(鳥獣戯画)、多方面に活躍していますね。 …うさぎって、いろんな「顔」を持つけれど、どれも憎めない。 最後に『風街物語』に登場するまた別種のうさぎ。彼は、風街の鉄道の駅の切符切りです。 めずらしく白いウサギで、二足直立し、ときどき指の股を広げてなめながら、駅頭に立っている。かれは、ホテルの紹介業もやっている。…子供にはペロペロキャンディを渡し、暑い日にはうちわを配る。――『風街物語 完全版』 なんてステキなうさぎでしょう(特に、指の股を広げてなめるところ。うさぎって、身づくろいの時、そうします)! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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