よろず屋の猫

契約者に心はない。

・・・そうだったかい?。


あらすじは公式HPから

教団本部へ再び潜入する黒と黄。
監禁された志保子から教祖アルマの居場所を聞き出す黒。
かつての恋人と7年ぶりの再会を果たした黄は、同僚を殺害するに至った経緯を聞きだそうとする。
イブニングプリムローズの雨霧はアンバーの命を受け、現われた黒と対峙する。
そして、教祖アルマは黒に語る。契約者と人間の違いとは何かと。その問いかけに黒は……。
その頃、黄は組織の命に従って、志保子に銃を突きつける。

で、

組織の命令は教祖の殺害と志保子の始末。
更に黒と猫に下されていた命令、黄が志保子を殺せないときは、黒と猫が黄を殺せ。

志保子が磯崎を殺した理由、それは実は彼が教団側の人間だったから。
最初から情報目的で黄に近付き、芝居をしていた。

アルマの対価は老化。
敢えて能力を使ってきた、そして今、最後の能力を使う。
“業”から解き放たれる為。

黄は志保子を殺せない、銃を黒に差し出し、二人とも殺してくれと言う。
組織は黄と志保子の関係を知っている、これは失敗した黄に対する組織のペナルティ。
「逃げろ。」と黒は言う。

やって来た埠頭、しかし志保子は能力をわずかに使って黄を弱らせ、トラックの前に飛び出す。
既に組織の手は回っていた。


黄を描きながら、同時に契約者の哀しみを描いた回でした。

教団に乗り込むとき、ヘイはスーッと乗り越えるのに、「よいしょ、よいしょ。」の声が聞こえそうな黄がおかしくてねー。

雨霧と戦うことになった黒。
雨霧、強いじゃない!!、この先大丈夫なのか?、と心配になっちゃいましたよ。

私はボンズさんが本気で描くアクションが見たいんですよね、毎回、おまけ程度のアクションシーンにはがっかりしちゃう。

アンバーの命令で雨霧は黒を殺せない、プリムローズに入れと雨霧は言うが、黒は断る。
そして黒は教祖自らの呼びかけで、彼女の元に行く。

私は、この教祖に興味がわきました。
「契約者と人間の違いは何だい?。」と問うてからの、黒とのやりとりが良かったです。

「契約者には心がない」と言うヘイに、「そうだったかい?。」と再び問うアルマ。
今まで出てきた契約者達の映像。
そこには人間の心を確かに秘めている契約者もいれば、そうでない者もいた。

「罪の意識がない」「能力のあるなし」、これも人間にもその違いはある、武器を持てば人間だって人を殺せる。

アルマは違いは精神構造、合理的判断とする。
人間も、心の部分を追いやり、合理的にことを進める者が成功する。
契約者は進化の形なのかもしれない、と。

「契約者は夢を見ない。」と黒は言う。
けれどアルマは夢を見てきた、“契約者”と“人間”を結ぶあるべき形と言う夢を。

契約者のアルマは緩慢な自殺を選んでいた。
人を殺すのに適した能力を持った自分の“業”から解き放たれる為。
では、アルマは夢は叶わないと思ったのか、夢は潰えたのか?。


死を選んだもう一人の契約者、志保子。

志保子の対価は感受性、能力を使った後にだけ、人としての感受性が彼女に訪れる。
自分のした事への罪の意識が志保子を苛む。
今までいろんな対価が出てきましたが、これ程キツイ対価はないんじゃないかと思いました。

黄の記憶を組織に消さないように計らったのは志保子。
人の記憶から消えることは死と同じ。
そして黄がプロポーズした記憶だけは、どうしても留めておいて欲しかった。
契約者なのに・・・と志保子は思う。

「逃げよう。」と黄は言った。
けれど組織は厳しい、既に手も回っていた。
自分の死で黄を救った志保子。
契約者は自殺などしない筈なのに。

「もう騙すなよ。」の黄のセリフが哀しい結末でした。



雨霧の対価は“ゆで卵を食す”でした。
能力を使うときの為にいつもゆで卵をいっぱい持ち歩いてるのかと思うと、何となく笑える。
雨霧は片目の時と、両目が開いているときがあるんですよね。
何かあるんでしょうか。

黄はとても人間くさい人でしたね。
今までの黒達にとってきた態度は、志保子の件から出てきたもの。
その前までの黄は、情に篤い、それ故に弱さもある人間。
これまでもちょこちょことその面が顔を出してましたが、はっきりとクローズアップされた回でした。

余りに紋切り型なセリフの数々が気になりましたが、逆に“二時間ミステリードラマ”の風味を感じさせて、これで良かったのかも知れない。
黄のキャラを際立たせているとも思います。


猫がどうよ?、と思ってしまったわ。
今までの猫のキャラと違いすぎ。

DVDのおまけについてた資料読むと、組織は相当に恐い所と設定して物語を作ってるようなんですね。
黒も組織に思うところはあっても、対するような思いは持たないほど厳しいものだ、と。
(今回「逃げろ」とか言っちゃってますが)

あくまで描きたいのは能力を持った人間が居て、そのドラマと言う事で、組織とどうのと言うような派手な話ではないようです。
なので、感じとして謎のままに残す部分も多そうで、組織もそうは詳しく描かないのかと言う気がしてます。

でも猫の今回の変わりっぷりを納得するには、相応の組織の描写がなくては。
視聴者の想像力を当てにするにも限度ってものが。

今まで見てきたのは「組織は恐い」と口にしながら、何とかそこからすり抜けようとする黒達だったわけですよ、アンバーなんて組織を裏切ってるのに未だに捕まってないし。

別に長々と描く必要はないけど、これまでに組織の恐さを垣間見る描写があれば、猫の豹変だって納得いくものだったんじゃないでしょうか。


次回はウェイにノーベンバーが登場。
ウェイの回くらいのアクションが見たい私としては、期待しちゃいます。
今回のような話もとっても好きですが、たまには、ね。


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