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我思う、ゆえに我あり

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yukie_yo

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January 19, 2008
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カテゴリ:雑考あれこれ
以前書いたとおり、中国古典から。貝塚茂樹が解説している「孟子」を読んだ。全文掲載してあるのかと思いきや、著者が重要そうなのをピックアップして、書き下し文、日本語訳、解説とずいぶん丁寧な解説書となっている。

イメージとして、孟子といえば、性善説、儒学者だが、その生涯を見てみると、単なる論客だけではなく、実際に小国、大国の帝王の師匠格で政治アドバイザーになっているのだが、確かに理想的なことをいっているときもあるが、現実には、隣の国が内紛で不安定になっているから、このどさくさにまぎれて、攻めちゃえ、と進言して、戦に勝ったはいいが、結局占領政策がうまくなくて撤退し、これがその国の衰退の原因になっていった。おいおい、儒教的には隣の国が内紛してるからって、攻めちゃいけんのじゃ?

やっぱり人間、いうこととやることって結構違います。

で、その責任をとるわけでもなく、居座っているものの、プライドが高すぎて帝王の自分への礼が十分ではない、なんて強気になっているせいで、次第に帝王と疎遠になり、やがてその国を去り、隠遁生活を送る。師匠であるはずの孔子は、必要なときに必要なことをする、タイプの人間のはずなんだが、その辺はキャラの問題か、多少は自分に箔をつけるため、帝王が自分のところにやって教えを請うべきであり、よびつけられちゃいかねえよ、って仮病を使っていた。しかも、帝王は病気なのに、来てくださいな、といわれちゃいかねえ、なんて、こういうのは、礼を尽くすとはちょいと違うんじゃ?

そのうち別の国の、知り合いの皇太子が王位についたので、そこでまた政治アドバイザーとなる。そこはいろんな利益団体との利害調整が大変でなかなか理想を実現できなかった苦い経験があった前の就職先と違って、小国なので自分の理想を実現できるかも?と思って再度引き受けた。そこで、農民に等しく農地を割り当て、一部は公田として農民に先に農事に従事させて、あとは自分のとこの世話をする。なんて、制度を考えて実行にうつそうとしたそうな。

こういうところはいいのかもね。

というわけで、何だか孟子のイメージが半分くらい壊れるような気がしないでもない。また、強気に人生を生きてきた感じも新鮮。読むと、他の学説をぼろぼろに非難してる。しかも、ロジックが怪しい部分もあったり。(難癖?)まあ、戦国時代のなせる業?

それでも、いい言葉は吐いてる。「人事を尽くして天命を待つ」とか、「五十歩百歩」をいったのは孟子。

他には、

「春秋に義戦なし」春秋時代に義戦というものはない。大概が、どっちも何かしらの言い分はあって、片方が100%よくて片方が100%悪いなんてことはないさ、という趣旨。まったくもってその通りですね。

「民を貴しとなし、社稷これに次ぎ、君を軽しと為す」人民が一番大事で、国家や君主は二の次よ、ということ。ある意味、民主主義的な発言。国家なんて、人々が平和で安定した暮らしができるためにある、という本来の役割に立ち返るのにとってもいいことば。けれど、なかなか実際にはそうはいかないが。

けれど、やっぱりちょっと孟子の性善説にはちょっと疑問をもっちゃう。まあ、抜粋だけを読んでいるから、なのかもしれないが。人間は基本的には善である、けれど環境によって、善を失って悪となることがある、なぜなら人には羞恥心、謙遜、善悪の区別がつく、人を助けようとする心があるから、というのがテーゼだが、何となくいい部分だけとってるような気がする。そりゃ、そういう心はあるのは事実。だけど、それとともに、恐怖心や欲望、自己中心な思考、なども持ち合わせてる。それって、一概に環境のなせるわざ、というのはどうかしら?

人間を忠実に描けば、映画「羅生門」にでてくるように、人間はうそつきで、自分の都合のいいことばかりいって、盗みもするし、殺しもするし、子供を捨てちゃう人もいる。信じたくても疑わざるをえない。けれど、その一方で捨て子を育ててあげようと思う心もまたある。人間、いろいろあるけどさ、ちょっとは捨てたもんじゃないよね、というくらいが妥当なところだと思うのだが。





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Last updated  January 20, 2008 01:49:10 AM
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