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カテゴリ:映画
アカデミー賞主演男優賞をとった映画「There will be blood」を見てきたのをいままで書きそびれていたので、今日こそ書いておこう。
まだ日本未公開なので、あまりストーリーは書けないが、要は20世紀初頭ある男が石油発掘に人生をかけて見事成功するが、その背景にはもちろん、海千山千の業界だから詐欺や裏切りがある。そして、もともと友人の少ない男だが、年をとるにつれ狂気が入ってきて、そこまでやるわけ?という展開になる。 それにしても、主演男優賞をとるだけあって、主役はなかなか迫力がある。強欲、野心のかたまりで、若造など簡単に呑んでしまうような気迫。 ストーリーはいたってシンプルなので、ここでは本筋をはずして金と宗教の話を。男が石油の出る土地を買うにあたり、一人だけ土地を売る条件として教会で洗礼を受けろという。当然男は、自分の事業のためと信じてもいない教会で心そこにあらずの洗礼を受ける。一方、男の金で教会を作ってもらい、拡張して旅行までしてきた神父は、いつの間にか男の金がなければ生きていけなくなっていく。 つくづく宗教ってアメリカ社会にしみこんでいるのねえ、と改めて思うと同時に、必ず鼻でせせら笑う人たちがいる。が、正直、洗礼を受ければ、商取引に応じてもいいというこころはよくわからない。本人は他人の洗礼によって何一つ利益があるわけではない。が、自分と同じ仲間になれ、じゃないと信用できない。 もともとそんなものと無縁に生きている人に洗礼を受けさせたところで改心するはずもない。が、それでもいいの?疑うことを知らないのか?それはありえないが、教会は信じちゃうのかしら?迷える子羊を導いてくれるって?たとえ、洗礼を受けさせるのが、男の半分も生きていなさそうな若者でも? そこのところはよくわからない。 一方、もともと何を望んでいるのかよくわからない神父というか少年。とりあえず、神、神という割には金にがめつい。その金で何がしたいの?というと、自分の教会を建ててみんなに説教する。最初はそれで満足したのか知らないが、その後旅行に出かけて、何かしら自分がもっともっとなりたいものを見つけてきたのだろうか、そのために金が要る。 キリスト教の教会そのものを揶揄っているのかもしれない。バチカンがあれだけの財宝を集め続けているのに、貧困撲滅運動に高僧が汗水たらして働いていたり、多額の寄付をする形跡はない。働くのは、末端に生きる神父さんや尼さんだ。上層部は、権力闘争に明け暮れて、カネ、カネとうるさい。 自分が何一つ努力しないで手に入れる金はちっともありがたみがないし、ますますほしくなってしまう、お金の惑わす力。宗教じゃ、決して克服できない、といわんばかりだ。 そんな神父と男の対決は別に宗教戦争ではなく、リアリストたちの戦いで素直にうなづける。 けれど、男の気迫はさすが。 なので、決して楽しい映画ではないし、むしろ重いが、オススメしたい映画である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 29, 2008 02:54:41 PM
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