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我思う、ゆえに我あり

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yukie_yo

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May 1, 2008
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カテゴリ:時事
今日は北朝鮮と核不拡散のセミナーに行ってきた。今日の講師は政治学者ではなく、核技術の専門家。久しぶりに左脳人間の話をきいた感じ。非常に論理的に、かつわかりやすく解説してくれた。さすがである。

北朝鮮の核問題を話すとき、どうしても核兵器の作り方を大まかに知っている必要があるのだが、いまいちウラン?プルトニウム?濃縮?再処理?とよーくわからなかったのだが、とりあえず、核問題についていけるだけの最低限の知識は伝授してもらったように思う。

覚えているうちに、書いておくと、

核兵器を作るには、まずウランかプルトニウムが必要。(原子核数はおいておいてね)

1)ウラン
ウランは天然ではそのまま兵器用にはならず、遠心器でウランを超高速でぶんまわして、不純物とウランとの重さの違いを利用して、分ける。ウランの濃度が90%以上になる必要があるので、この作業をへたウランを濃縮ウランという。

材料ができたら、核兵器の設計、製造という2過程がある。

で、ガンバレルという構造で、ウランを二つに分けておいて、横から起爆装置を爆発させて瞬時にウランを合体させて、爆発させる。何でも、ウランを合体させるのに、えらく高速でないといけないそうで、とっても技術がいるとのこと。

さらには、2-30キロくらいのウランが必要となり、プルトニウムと比べて原料の量が多く必要。

2)プルトニウム
ウラン同様、プルトニウムも天然ではそのまま兵器用にならない。で、こちらはプルトニウムを燃料棒にくっつけて原子炉で焼いて兵器用のプルトニウムができあがる。ただし、燃料棒から兵器用プルトニウムをはがす(再処理)必要がある。

爆発させるには、プルトニウムを球の真ん中においてその周りに爆薬を仕込んで、全方向から同じ圧力で同じタイミングで一気に起爆させると、プルトニウムは大爆発を起こす。この全方向から同じ圧力で同じタイミングで起爆させるのが、非常に難しい技術。爆弾1個に10キロ以内のプルトニウムが必要。

なお、ウランとプルトニウムの区別は結構米朝交渉では大事。去年プルトニウムを使った核プログラムを持っていたと2005年の最初の合意で言ってたのと違う、ウランを使ったプログラムもあるじゃないか、とアメリカが主張。講師によると、通常科学者なら両方作り方があるなら、両方ともやるのが普通。なので、北朝鮮は否定してるけど、ウランも実験してたはず。だが、技術的に難しいか原料が全て自前でできなかったか何かでプルトニウム一本にしたのだろう、という。

その講師は過去3回民間の立場で北朝鮮に渡り、ヨンビョンを2回視察し、北朝鮮の技術者からプルトニウムを実際に見せてもらったらしい。

そんな講師が強調していたのは、北朝鮮は結構誠実に2007年7月にヨンビョン核施設を使用不能にした、という。で、今動きが緩慢になっているというか、アメリカが約束したことをやってくれないから動きをあえて遅くしているのが、原子炉に入っていた燃料棒を使用不能にすること。

ちなみに、使用不能(Disable)というのは、非常に誤解を招きやすいことば。その講師も外交用語は難しいなんて、いいながら解説してくれる。使用不能というのは、100%使えなくするというのではなく、例えていえば、車からバッテリなどの部品を抜くような感覚。当然ながら元に戻そうと思えば、できないことはない。その講師の見積もりだと、今のヨンビョンを再始動するなら、1-1.5年はかかろうとのこと。この状態+過去の核プログラムの申告が第二段階として合意されたこと。

本当に核施設を元に戻せなくするような施設解体(Dismantle)および、核兵器やその他の施設を含む核プログラムの廃棄(Abandonment)は、第三段階の話。

なので、第二段階で米朝が合意した内容のうち、北朝鮮はとりあえず全部やったわけで、あとはアメリカがテロ支援国家指定リストからはずせば、第二段階完了となる。(5万トンの燃料は提供済み)

ただし、合意の大前提のひとつである、核不拡散の約束をシリアを証拠に約束不履行と叫ぶかどうかが焦点となっている。今日の新聞でもIAEAがシリアの核施設と呼ばれている建造物を内緒でイスラエルが爆撃したことを非難、これをうけて、ブッシュ大統領がだって秘密にしないと情報が漏れちゃうし、今はイスラエルへの危険は減ったよ、とうそぶいた。どれだけ、イスラエルの非難の合唱がでて、それをかわすのに、どれだけ北朝鮮が犠牲になるか、が今後の焦点。

CIAがこないだ出した映像の中の写真を見る限り、北朝鮮の支援は入っていることは可能性が高い(ただし、北朝鮮だけかどうかは微妙らしい)。意外に尤もらしいことをいっていたらしい。

ただし、講師の見立てだと、ヨンビョンには、核燃料製造過程しか設備がない。きっとどこか違うところで核兵器の設計、製造施設があるはずで、そこにはまだ立ち入らせてもらえない、とのこと。

で、何でヨンビョンを北朝鮮が諦める気になったのか?講師の見立てだと、多分30-50キロ程度のプルトニウムを持っていて、6-8個核兵器を持っているだろう(持っていてもおかしくはない)。兵器はあるし、その廃棄はもっと先のこと。

これ以上作るのはもう諦めたのだろう。その代わり、小出しにこれを諦めるから、食料や重油をくれということなのだろう。さらに、去年の洪水のせいで今年も飢饉がおきそうな気配が漂っている。今日も李明博大統領が北朝鮮への人道支援を遅らせていたのをそろそろ再開するとの報道があった。本気で北朝鮮の無辜の民が死んじゃう。

まったく、北朝鮮はどういう資源配分をしてるんだか。。。





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Last updated  May 1, 2008 03:26:53 PM
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