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テーマ:気になったニュース(30411)
カテゴリ:時事
ここのところ二人から同時に同じ質問を受けました。
なんで日本は、黙々とアメリカのドル資産を買い続けるのORアメリカについていくの? 何とも素朴な質問ですが、日本としては常に問い続けなければならない質問でもあります。(外務省辺りは、こんなのは常識でしょ、くらいの感覚なので、みなさん、どんどんこの手の質問をぶつけてあげてください) 当ブログでも、過去に書いたから、どうしようかな、と思いつつ、中国では堂々と温家宝首相がアメリカの金融危機に懸念を発言してるのに、なんで日本は?といいたい気持ちは分からないでもないので、ちょっと言い方を変えて書いてみましょう。 日本は戦後日米同盟を結んだ結果、西側陣営につくことにし、アメリカの繁栄がしばらくは続くであろうという想定の下、アメリカの繁栄に日本の繁栄が重なり合うように、アメリカのゲームブックに従って、日本経済を発展させてきた。 つまり、アメリカという巨大市場にじゃんじゃん輸出しては、米ドルを獲得。この頃は、米ドルが基軸通貨だったから、より独立できるように、と思ってた。そのうち、輸出産業が日本経済を牽引するようになり、輸出産業的にはアメリカに日本製品が安く出回れるように、安い円を期待する。 すると、日本経済に多大な影響を与えてしまわないように、日本企業は米ドルをできるだけ日本円に換えず、その資金でドル建て金融商品を買うようになる。また、日本政府もドル(現ナマ含む)資産を買い続け、輸出産業を援護射撃する。 その割にゃ、(そのせいもあって)日本はアメリカ製品をあまり買わない。なので、余計対日貿易赤字が増えまくる。 こうなると面白くないのが、アメリカ。アメリカは市場を日本に開放してるのに、日本の市場を開放しないのはどういうことだ?これが、70年代からずーっとやっている日米貿易戦争の、アメリカンロジック。 ま、最初の廃墟の日本市場が閉鎖的でも、アメリカはさすがに大人気ないから、別に言わなかったし、自民党もアメリカに向かって、そんなに日本をいじめると(アメリカ製品で日本を席巻して日本の雇用が落ち込んだら、)日本はアカになっちまうぞ!と脅せた。 が、いい加減こういう弱者の脅しは通用しなくなった、70年代頃からずーっと繊維から自動車まで品目は変わってもいうこと、やることは一緒。 で、まあ半分役人や一部の政治家もそろそろ開放せんと、と思っている人たちはなおさらだが、アメリカがいうから、とかなんとか、いつの間にやら外圧のせいや、と悪役をアメリカに押し付けつつ、牛歩の歩みで市場を開放していく。 (手段はどうあれ、目的が達成すればいいや、と思っているアメリカ人もいれば、外圧なんて人聞きの悪い、日本も大人でしょ、ちゃんと自分たちでちゃんと案だしてみいや、と思っているアメリカ人もいる。前者は、共和党に多く、後者は民主党に多い、とだけ言っておこう) そういう時代が長く続いた結果、日本はアメリカにモノをじゃんじゃか売ることで経済をまわし、その利益をアメリカに投資して、その投資益も複利でアメリカに再投資、という無限ループを完成させる。そして、これがアメリカの繁栄を日本の繁栄に見事に重ねた、経済構造。 この構造がゆえに、そうたやすくアメリカを見限れないし、アメリカがくしゃみをすれば、日本は風邪を引く。 が、そうは問屋が卸さない。 やってくれたぜ、アメリカ。それが、ニクソンショックとプラザ合意。どちらも、米ドルの世界支配に大きくヒビが入る事件だ。前者は、もうドルは金と交換しないよ、といい、プラザ合意はそれまでの200円台だったのが、一挙に100円台に半額に。 日本政府が一人いくらドルを買い込んでみたってこの流れは止められない。 うわー!ということで日本企業の多くは東南アジアなどへ工場を移転し、価格倍増分を少しでも下げようと試みる。このころ、ずいぶんと産業の空洞化と騒がれていた、あれだ。 さらに、アメリカは追い討ちをかけた。 つまり、どうせ日本は何をやったって、ドル資産(財務証券がかなり含まれる)を買ってくれる。それは、どんなにアメリカ財政赤字を悪くしようとも、ジャパンマネーがアメリカに入ってくる。 これが最初に露呈したのはニクソンショック。その頃あたりに政権にいたのが、ブッシュ(父)だったり、ラムズフェルドだったり、チェイニーだったり。(この頃、実はチェイニーの方が格下。30年後ひっくり返るとはね) 彼らの頭の中に、日本はドルを買うところ=アメリカにとりいいやつ、というレッテルが貼られていたのだろう。 で、アメリカ大統領がもっともびくびくする失業率が上がったときは、見つめるのが日本。戦争するにせよ、内需拡大で景気刺激策を打つにしろ、先立つものは必要。日本、出してよね? そりゃ、日本もまじ?と思うけど、やーだーよー、というにはこの輸出志向経済を変えなきゃ無理だ。 国内改革リスクVSアメリカのいう値段が常に天秤に掛けられては、アメリカの方に軍配が上がり、払うわけですよ、これが。 ところが、そこまでまだ相互依存が深まっていない中国。きっと本人は深くなりすぎとか思っているだろうけど、まだまだ温家宝首相が不満をいえるだけ、しがらみは少ない。 もちろん、ないとは言わない。中国の経済成長のかなりの部分は、アメリカ企業が中国に直接投資を行い、日本や東南アジアから集めた部品を中国人に組み立てさせて安くアメリカ本国他に売る。そうしてすずめの涙であっても、いくばくかは中国の労働者、役人のポケットにお金は落ちる。 そうやって、みせかけの他力本願の経済成長ができている。が、中国にすれば、共産主義がもはや誰も信じていないこのご時世、共産党支配を正当化できるのは、経済成長以外にはない。 なので、どんなにアメリカ企業がめちゃくちゃに中国を汚染しようと、労働者を搾取しようと、外資誘致を続け、経済を成長させてもらう以外にない。 当然、これもまた、そうは問屋が卸さない。 ブラックストーンなど中国政府が投資していた米金融機関などが相次ぎ破綻。アメリカ企業も引き上げ、アメリカ国内の需要も落ち込み、中国の工場長や社長は夜逃げ。 どうしてくれる!と中国が怒るのも尤もだ。 まあ、どちらかというと、中国的にはアメリカを怒るより、他力本願で経済成長をしている、そもそもの経済構造を改革せな、いかん。 そういう意味では、日本も中国も改革に迫られているのは同じ。 じゃ、どうする? 日本は、改革を遅らせ、中国は、改革の道を模索し、自国に投資することにした。ええ、そりゃ、まだまだ高速道路や空港や鉄道は開発途上。ハコモノを作る余裕はいっぱいある。 これが、日中で対応を分岐させる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 19, 2009 02:10:50 AM
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