我思う、ゆえに我あり

この間北朝鮮にいってきた友人が帰ってきました。まだ詳しいことはきいてないですが、彼女の印象では、北朝鮮のアメリカに対する不信感がかなり強まっている、ということらしい。

まあ、確かに、可哀相にクリス・ヒルの後任のボズワースは、北朝鮮に相手にされずに、東アジアをしょっちゅううろうろしてるだけだ。

他のアジアウォッチャーたちと話をしても、大体意見は同じだ。

北朝鮮は来るアメリカ、あるいは六カ国協議でより優位な立場に立ちたくて（核保有国の地位を固める）、核実験をした。

が、すでに経済制裁を行っていて、（確かにテロ支援指定国家リストからは外れたけど、同等の制裁を受け続けている）イラクとアフガンに注力しているから（まあ、なくてもやる気はないが）北朝鮮と戦う気は全くないオバマ政権に対し、北朝鮮は図に乗っている、といってもいいかもしれない。

日本は日本でアメリカに完全に北朝鮮制裁は依存しているので、当然何もできないし、韓国も太陽政策から離脱しているので、北朝鮮との接触も大分減ったし、別に何が出来るというわけでもない。

唯一鍵を握っているのは中国で、2003年の時のように石油供給を3日くらい止めてくれれば六カ国協議にすっ飛んでくるんだろうけど、中国にその意思はない以上、実質的な制裁は北朝鮮に誰も出来ない。中国にその意思がないというのは、中国も北朝鮮は単なる交渉手段として核実験をしただけであり、実質的な損害はどの国も被っていない、という思いがあるのだろう。

なので、日本、韓国、アメリカにできることは、一応形式的にでも、国際社会は北朝鮮を非難する、という形をとるだけにすぎない。多少レトリックは強くなるだろうけど、実質的な動きは、まずない。

唯一、韓国がＰＳＩに参加して、北朝鮮による密輸の取り締まりが強化されることくらいだろう。これは、北朝鮮も少しはこたえるかもしれない。

しかし、そうはいっても、北朝鮮的にはもう手持ちカードを出しつくしている感はある。もう後北朝鮮が世界の関心を引くのは、（だってもうミサイルを発射してみても、二番煎じじゃない？日本くらいがびびって騒ぐだけで）核、ミサイル技術などをアルカイダなど闇組織に売るのを抑えられたときくらいだ。（ある程度はやっているだろうけど、容認できないレベルにまでいったら、ということだろうね）

もしイスラエルの存続を危うくするようなことをしたら、本気でイスラエル・アメリカは怒るかもしれないが、北朝鮮もそこまでやる度胸はないだろう。（イスラエルなら本気で北朝鮮にミサイルを撃ち込むかもしれないが。いや、本当にシリアに核施設らしきものがあった、という怪しげな情報だけで他人の国にミサイルを撃ち込んで破壊しているし）

ので、じわじわと経済制裁の効果がきくのを待つしかない。韓国のノ前政権の太陽政策があった時代に、北朝鮮はＵＮＤＰなど国際機関からの支援を断っているし、アメリカが北朝鮮をテロ支援指定国家リストからはずしたと大騒ぎしているけれど、その裏ではそのリストからはずれたら当然なくなるはずの制裁がそのままブッシュによる大統領令で存続している。

そうして時間がたてば、北朝鮮はアメリカ、六カ国協議に戻らざるを得ない。アメリカが信用ならん、とか言ってる場合ではなくなる。アメリカが信用ならないという気持ちは分かるけど、他に相手がいないのだから、仕方がない。そして、日本から北朝鮮が本来必要な援助がほしければ、まずはアメリカと朝鮮戦争を終わらせて、国交正常化してから、日本との国交正常化をしてから、である。

多少は、アメリカが信用ならないから、韓国や日本に色目を使いたいだろうけど、日本は小泉の訪朝前と違って拉致問題が悪化しているから無理だし、李明博政権も、親米姿勢を維持しているので（よほどアメリカが韓国に対しちょんぼをしなければ）、これもまた期待薄だ。

北朝鮮が戻るときがくるまで、静観しているしか、ないだろうね。