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テーマ:政治について(19774)
カテゴリ:時事
対米追随べったりの麻生元首相がアメリカの大統領と最初の面談をするのに時間がかかったのに、対米追随べったりの態度ではない鳩山が大統領とすぐに会えたという文章が目に付いた。
こうした文章に接すると、1.オバマ政権が毛嫌いせねばならないほど反米なことを鳩山はいってない、2.アメリカ人は最初から擦り寄ってくる人間を評価しない傾向がある、とちょっと反論したくなる。 アメリカの覇権が衰退してきている、という指摘は別に、鳩山が始めたわけでもなく、今に始まったことではないし、普通にヒストリーチャンネルでもアメリカの衰退のテーマで放送を予定しているくらいだから、別にそんなことを言われて怒らない。怒るのは、日本人がぺこぺこするもの、という固定観念を抱いている日本専門家くらいなもんだ。また、びびるのは、頭が55年で止まっている自民党系か外務省か。 が、この程度で怒っているというのなら、80-90年代日本経済構造をぼろくそに言って、おこがましくも構造会議だのと、人様の国の経済構造を改革しようと議論させた国は、どこのどいつだ?あのときのいいようと比べればはるかに、やわらかいではないか。クリントン政権にいた人でオバマ政権に誰が入ってるっけ?あの頃、いわれた言葉、思い出してみようよ。 だから、そのくらいでいちいちがたがたいうな、と反論すればいいじゃん。 また別の文章では、オバマ政権に知日派がほとんどいない、と指摘する。が、メディアがもてはやす「知日派」に民主党の知識がほとんどないことが露呈しているのだから、別に過去の知識がどれだけ役に立つのか?という疑問を呈しても差し支えあるまい。 新しい器だ、新しい血があってもいいではないか。誰よりも素直に、鳩山政権に向き合えるというものだ。そして、鳩山が言っていることは、別に日米関係を軽視するというわけではない。軽視するなら日米FTAは言わないはずだ。また、中国など近隣諸国と東アジアコミュニティを作っていきたいという意思は、アメリカにとっても歓迎すべきことだ。 ただでさえ、アフガンで増派するかで悩んでいるのに、台湾海峡や北朝鮮に送る米兵のやりくりは非常に難しい。仲良くしといてくれ、と思ってるだろう。 それに、オバマの外交顧問は、ブレジンスキーだ。90年代に多極化世界を本にした御仁だ。本当の意味の、マッキンダー、スパイクマンが育んだ、地政学の後継者みたいな人だ。基本的にこの人の路線でオバマ政権の外交を見ると、分かりやすい。 彼の基本路線は、多極化世界である。平和裏にアメリカ覇権を主要極に分散して、アメリカの覇権コストを下げたい。が、ここでネックは極なるものは、経済力で通常決まるので、別にアメリカが友好国だと思っているわけではない国も含まれてしまう。ので、できるだけ、アメリカが今まで警戒している国には、現状の国際システム維持に同意してもらえるよう、仲良くしようと手を差し伸べる。 そういう意味で、イランと仲良くしようとしたり、イスラエルとパレスチナに和解を押し売りしたり、ロシアに米ロ関係をリセットしようというのも、うなづける。 こうして日本が一つの極として、もっとアメリカにべったりしないで、中国やロシアなどの極と仲良くしてくれて、アメリカの影響力を側面援助できる能力が高まることは大歓迎だ。鈴木宗男を衆院外交委員長にして、北方領土問題を解決しようという鳩山政権は、ブレジンスキー的には、よしよし、だ。 あと、もう一つ、アメリカ人は最初から擦り寄ってくる人間を評価しない傾向がある、という面も紹介しておこう。 アメリカの歴史家をして、太平洋戦争前夜一番アメリカを理解していたと評価せしめた日本人が二人いる。松岡洋右と山本五十六である。 その松岡が言った言葉がある。アメリカは、最初から手を差し伸べてくる奴は馬鹿にする。最初にジャブをかましてから手を差し伸べる奴を評価する。 これが未だに通じるならば、前者は自民党、後者は民主党、である。(まあ、ジャブってほどじゃないが) 最初に対米追随ではないと主張してから、日米関係を軽視するわけではないという、この言い方は、図らずもだろうけれど、ぴったりくる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 28, 2009 01:58:17 PM
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