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テーマ:政治について(19839)
カテゴリ:仕事
今日は、アメリカ人の知り合いとの会話から。
曰く、「石油は、独裁政権を誘発する。」 ずいぶんと乱暴な発言なので、反論を試みた。 産油国にとって、石油は不労所得。 普通の人だって、いきなり遠い親戚の莫大な遺産を突然受け取ったら、戸惑う。どう使ったらいいの?すると、どこからか話をききつけて、色んなものを売りつけに来たり、たかりが山のようにやってきたり。 で、とりあえず有名な会計事務所なり弁護士なり金融機関の資産運用担当などに、管理を頼むとする。すると、名の通っているだけあって、しっかりしているようにもみえるけど、その管理費の請求書なるや、立派なもの。 そこで、相場観がないときは言われるがままに払うけれど、やっぱり、ぼられてない?と思うのが、正直なところではないだろうか。 で、自分で資産運用をやってみよう!となりがち。でも、失敗したり、成功したり。試行錯誤を重ねて、だんだん成金ではくて、金持ちらしい動きができるようになる。 これが、大筋産油国の歩んでいる道ではなかろうか。 産油国の多くは中東、中央アジア、ロシアなど先進国ではない国に集中している。 で、いきなり石油がでて、成金国家になるけれど、どう使ったらいい?どう配分する?と国の中で大問題が起きる。 みんなの役にたつものに使おう、とか、公平無私に配分しよう、と政府がいえばいいけれど、そうはなかなかいえないのが人間。 ありがちなのは、王様なり政府が全部掻っ攫うパターン。 サウジとか、ロシアとか、非民主国はこの手を使える。 多少は、国民の不満を抑えるために税金面などで優遇してあげたりするか、武力で押さえつけるかどちらかとなる。 なので、独裁政権であればあるほど、富を配分する人数が少なくてすむから、独裁が好まれることになる。 一方、国家としてそもそも成り立っていないような、アフリカなどにある国の場合、内乱状態を延命させることになる。みんな反乱軍が油田を押さえれば、反乱の資金源となるわけで、いくらでも武器を外から買って、有利な状態で内乱が終わるまで戦い続けることができる。 まったく無駄な富の使い方。 かといって、国民みんなに素直に配分すればいいか?というとそうでもないらしい。 イギリスやオランダなど、民主主義が定着してから、石油が見つかったりする場合、オランダ病、つまり税金面での優遇や福祉政策の充実化などで国民に広く薄く還元することで、国民の労働意欲を奪い、自国製品の輸出を困難にする状態が生まれる。 そうして、案外目が覚めるのは、独裁政権でもある。富の集中度が高い分、富は自分のものと思うから、節約志向がつくのだろう。 で、最初はお金がないから、石油を外国企業に開発をやらせる。けど、やけくそにぼられているな、とも思う。 人間、誰しもぼられているな、と思って怒らない人はそうそういないので、自分たちでやろうぜ、となる。つまり、自国民のエリートに欧米で勉強させて、技術を向上し、外国企業の資産を没収して、石油利権の国有化が起きる。(この現象は、資源ナショナリズムの高揚と表現される。) 事実、中東の産油国の多くは国有化されている。 また、欧米企業に任せるのではなくて、自分でオイルマネーを資産運用すべく、生まれた組織がいわゆる、ソブリン・ウェルス・ファンド(政府系ファンドと訳されることが多い)。 さらに、中東の老舗組は、石油が不労所得であることは重々承知しているので、石油がなくなった後のことを心配する。(新参者の、ロシアや中央アジアはまだそうでもないが) 自国に技術移転が期待できそうで、産業育成に役立ちそうな企業や、ハイリターンが期待できそうなところにオイルマネーをつぎ込もうとする。 そうやって、石油成金から、富裕国に変身しようとしている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 29, 2010 03:50:17 PM
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