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我思う、ゆえに我あり

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yukie_yo

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August 23, 2010
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今日は久しぶりに、堅い本です。著者は、国際政治の大御所です。で、冷戦後のアメリカ覇権について、なぜアメリカは嫌われるか、アメリカはその力をどう使うべきか、という大問題に正面から挑んでいる本です。

まだ全部読み終わっているわけではありませんが、非常に内容は真っ当です。

アメリカはいかに善意でやっているつもりでも、外国はそう見てくれるとは限らない。

こんな単純なことを、アメリカ人はなかなか受け入れられない。何で?って逆にいうわけです。911がなぜ起きたのかを大多数が考えない、単純な人たちです。(でも、逆に考えられる人は、恐ろしく頭がいい人たちである)

で、最後まで読んでいないので、今日は、その何で?って思えてしまうアメリカについてちょっと考えてみたいと思います。

力がある、それだけで、恐怖や脅威を、他人は感じる。

けど、それが分からない、単純というべきか、無邪気というべきか。他人の身になって考えることが限りなく少ないということの裏返しでもあるので、つまりは、傲慢か。

一方、武力を、他の国と共存させるために、長い間文明を築いてきた文化圏だと、何かしらの形でディシプリンというか、明文されているかは別にして、ルールが作られるか、何かしらのソフトパワーを生み出す。そうすることで、国同士、部族同士など、諸々の人間関係が、力関係だけより円滑になるから。

前者の例だと、日本の武士道がある。江戸時代、別に町人には武家のしつけを押し付けたわけではないけれど、町人の方から、行儀見習いなどの形で自発的に学んだ。

後者の場合、中国なら儒教のコンセプトや韓非子、孫子、六韜三略などの中国古典、律令制度、官僚制度など、武力ではなくて、外国人が尊敬するような、何かを作る。ヨーロッパなら、キリスト教の精神(博愛主義、献身)などがそう。中東のアラブなどのイスラム教もそうだ。

もちろん、アメリカにないわけじゃない。資本主義が生み出す、ダイナミズム、アメリカンドリーム、物欲主義、などがある。

著者も、あまりにアメリカが魅力的、という言い方をしている。(まあ、アメリカの読者を念頭に書いているので、ここまで書くのか?と思うんだけど、ちょっと引く)

けど、アメリカがアメリカたる理由は、それらそのものがすばらしいというよりも、アメリカが古い伝統のある社会(以下旧社会と呼ぼう)よりもはるかに「責任」を捨てている文化を持っているから、という方が正確なんじゃなかろうか。

旧社会が発展していく中で、ゆがみやひずみは避けられないし、未だに引きずる場合がある。その一方で、社会全体が長期間存続していけるように、マナーというか、知恵がある。

例えば、旧社会の多くは、物欲主義を抑えようとする知恵がある。もちろん、その理由の一部は全員が物欲主義に走ったら、ものの争奪戦が激しすぎて社会全体が疲弊してしまうから。そして、物欲が限界を知らないければ、いかにものがあっても、足りなくなってしまうから。各国土にある資源は、今の世代だけでなく、未来の世代のものでもあるのだから、なるべく枯渇させないようにするのが、知恵である。

そうした知恵は、例えば、寓話「金の斧、銀の斧、銅の斧」とか、仏教の必要以上に獣を殺生してはいけないという教えとか、で表現される。

こうした知恵は、確かに、ある意味、欲の抑制である。

そして、その欲の抑制の排除が、上記に書いたアメリカの魅力の構成要素である。

だから、確かに初めてアメリカ文化に接すれば、新鮮だし、自由を謳歌できるように感じられる。

でも、法以外の規制なく欲の赴くままにみんなが行動したときに、どうなるか。かなり病んでいるアメリカがある。

出世欲が強くて、みんなの足の引っ張り合いが激しすぎて、同僚と呑んで憂さを晴らせない。(酔った勢いで上司の悪口を言ったら、同僚がちくる危険を冒すことになる)そこで、しゃべった内容について守秘義務を負う精神科医が流行る。

個人主義が広がるあまり、18歳で大概家の外に出るのが相場で、家族が集まるのがサンクスギビング、クリスマスくらい(人によっては家族の誕生日、結婚記念日とかもある)。そうやって最低限の家族の絆を保つものの、全般疎遠であることには変わりなく、調停人が少ない分、離婚率は高いし、子供にもよくない影響を与えている。

また、銃を持つ権利を主張するけれど、その脇で銃で落命する人は多い。

というように、「帝国主義Lite」(ファーガソン)なのである。(タバコのニコチン減量をLiteというように)いわば、重みが足りない。知恵がない分、軽い。

権利や自由があれば、義務がある。

武力をもって行動の選択肢が多ければ、その分義務も増す。フランス語で言えば、ノブレス・オブリージュ。

その義務を忘れて、武力などで強制的に他人に尻拭いさせれば、いつかはしっぺ返しがやってくる。

そうした知恵が付いてくれば、より謙虚に、アメリカが持つ力を世界はどう捉えるか、反省すべき点が見えてくるはず。





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Last updated  August 23, 2010 03:52:11 PM
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