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ゆきよきの言語学・夏目漱石・日本史

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2013年12月10日
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カテゴリ:小説
 山崎豊子『華麗なる一族(下)』(新潮文庫)を読んだ。何と言っても鉄平の自殺には驚いた。矛盾の激化が革命となって現れ、それが失敗に終わることで、一つの階級が滅びてしまうような壮絶な展開だった。

 物語は大同銀行の綿貫専務を懐柔して、阪神銀行との合併を推進しようと万俵大介がたくらむシーンから始まる。そこで契りを交わした両者だが、一方で阪神特殊鋼の専務である鉄平は、自社の不渡りを解消すべく奔走するが失敗に終わる。

 遂に倒産してしまった阪神特殊鋼に対して、万事うまく展開しているかに見えた大介側であったが、鉄平から阪神特殊鋼の取締役でもある大介を特別背任で告発する事態に発展する。また、大介の次女の二子も総理大臣の遠戚にあたる細川一也との婚約を一方的に破棄してしまう。国会の大蔵委員会でも融資責任を問われ、大同銀行の三雲頭取と共に参考人招致されることになる。

 こうした困難を何とか切り抜けた大介だが、阪神特殊鋼の専務を解任された鉄平が万俵家を去り行方をくらまし、遂には自殺を図って亡くなったことを機に、警察の血液型鑑定の結果、鉄平が疑っていた自分の父の子ではなく、正真正銘自分の実子であったことが判明し、深い後悔の念にさいなまれるのであった。

 最終的には、大同銀行との合併を果たし、新銀行の頭取として東京で暮らすことになり、相子との妻妾同棲も解消した。二男の銀平も離婚することにはなったが、兄の死に深い傷を負うことで、人間らしい感性を少しは取り戻し、二子は思いを寄せていた一之瀬と結婚することになった。鉄平の自殺が、華麗なる一族をその名にふさわしい全うな道に向わせたことになるが、一方で、新銀行をさらに大手銀行へ吸収させる意図をはらむ総理の描写もあり、新たな矛盾の発生、発展を示唆するところが、雅に社会の縮図そのものであった。





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最終更新日  2013年12月10日 22時49分33秒
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ガラスの玉は、本物の真珠をきどるとき、はじめてニセモノとなる。

政治の分野であろうと学問の分野であろうと、革命的な仕事にたずさわる人たちは道のないところを進んでいく。時にはほこりだらけや泥だらけの野原を横切り、あるいは沼地や密林をとおりぬけていく。あやまった方向へ行きかけて仲間に注意されることもあれば、つまずいて倒れたために傷をこしらえることもあろう。これらは大なり小なり、誰もがさけられないことである。真の革命家はそれをすこしも恐れなかった。われわれも恐れてはならない。ほこりだらけになったり、靴をよごしたり、傷を受けたりすることをいやがる者は、道に志すのをやめるがよい。

孤独を恐れ孤独を拒否してはならない。名誉ある孤独、誇るべき孤独のなかでたたかうとき、そこに訪れてくる味方との間にこそ、もっとも深くもっともかたいむすびつきと協力が生まれるであろう。また、一時の孤独をもおそれず、孤独の苦しみに耐える力を与えてくれるものは、自分のとらえたものが深い真実でありこの真実が万人のために奉仕するという確信であり、さらにこの真実を受けとって自分の正しさを理解し自分の味方になってくれる人間がかならずあらわれるにちがいないという確信である。

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