|
カテゴリ:本
「子どもへのまなざし」児童精神科医 佐々木正美著 福音館書店発行から。
今日は、子どもへの依存と育児不安について。 >人間は本来、相互依存の傾向があります。近年、地域社会がなくなってきて、住民がそれぞれ、孤立して生活する傾向が強まりました。家庭内でも夫婦が相互依存できない人は、しょうがないから、その分だけ別のものに依存することになるのです。・・・アルコールに依存する人もいる・・・(中略)・・・自然な人間関係が希薄になった分だけ、病的な依存や依存症が現代人に多くなりました。 そういうものに依存しない人、あるいは、できない人は子どもに依存します。・・・(中略)・・・自分の思いどおりに、育っていってくれるようにみえることに依存するのです。 育児の下手な親というのは、ほとんどが孤独なのです。・・・(中略)・・・夫婦が非常に仲がよければ、それでだいたい子どもは育つと思います。仲がいいということは相互に依存し合っているから、子どもに依存しなくてすみますし、子どもの方も安心して、親に依存できるようになるのです。ところが、子どもに自分の依存を、受け止めてもらおうとする親が多くなりました。 子どもへの依存。それも、「自分の思いどおりに、育っていってくれるようにみえること」に依存する。これでは、完全に一方通行な過剰依存で、子どもは親の顔色に敏感になり、自主性は育ちにくいです。いい子である自分を求められるというのは、今のままではいけないというメッセージが含まれていて、とても窮屈です。ありのままの自分を褒めてもらえると自信がつき、安心しますよね。 >たとえば、夜泣きの多い赤ちゃんのお母さんに、「あなた自身が不安やいらだちをもってはいけません」というような言い方はしないのです。・・・(中略)・・・、たとえば「心配なことがあったら、二十四時間、三六五日、どうぞ私のところに電話をしてください。私には十分な能力があるわけではないけれども、私にはたくさんの友人や知人がいる、すぐれた医者もいる、乳児の専門家もいる。だから、私にはできないこともいっぱいあるけれども、どこのだれさんにお願いしたらいいですよというようなことは、いつでも教えることができますから」というようなことをいってあげるのです。 そうすると、電話がじゃんじゃんかかってきて困るかというと、そんなことはありません。少しはかかってくるかもしれませんが、それだってたいしたことはないのです。でも、いつでも相談にのってもらえる人がいるという、この安心感が大切なのです。 う~~ん。わかってはいても、なかなか言ってあげられない言葉です。でも、実際に私の周りにいる保健師さんや保育士さんには、これを実践していらっしゃる方が本当に何人もいらっしゃいます。自分にできるのは、話を聞くことだけだから・・・っとおっしゃって。いつも頭が下がる思いです。私も、人のお話を受け入れる器が、もうちょっと大きくなるといいなっと思ってます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004.08.07 00:52:31
コメント(0) | コメントを書く
[本] カテゴリの最新記事
|