第116回 放水路(ほうすいろ) 後編
(前回からのつづき)バスを降り、改めて地図で位置関係を確認すると、ふと疑問が生じました。というのは、放水路の呼称は岩淵水門から下流で使われました、と前回ご紹介したばかりですが、このバス停は水門より600メートルほど上流の、それも厳密には荒川ではなく、その右岸に並行する新河岸川に面して立っているということに気付いたからです。仔細に詮索すべきことではないのかもしれませんが・・・。放水路を訪ねた以上は、やはり岩淵水門を見ておくべきでしょう。新荒川大橋へ戻り、さらに下流方向に土手沿いを歩くと、前方に鮮やかな朱色の水門が見えてきますが、これが通称「赤水門」こと、初代の岩淵水門です。完成は大正13年で、既に現役を退いて久しいですが、最近になって東京都の歴史的建造物に指定されるなど、産業遺産としての評価が高まっています。土手からは水門上を通り抜けて、小さな中ノ島へ通じる遊歩道もあり、間近から心ゆくまで水門の構造美を鑑賞することも可能です。赤水門の奥に見える水色の水門が、現在の岩淵水門であり、こちらは通称「青水門」と呼ばれて親しまれています。昭和57年の完成で、平常時は3枚の扉を全て開け放し、船の通行も可能な状態になっていますが、増水時にはこの扉が下ろされ、東京都心を水害から守る重要な壁として機能しています。赤水門へ渡る手前に、荒川水系に関することや放水路開削の歴史に係る資料などが展示された荒川知水資料館があるので、こちらも立ち寄っておくといいでしょう。人気blogランキングへ