第186回 【梅70編(20)】 小川一番(おがわいちばん) 後編
(前回からのつづき)バス停の少し手前南側に、小川用水の分水点があり、二つの水門によって水量が調節されている様子などを見ることができます。立川通りに沿って玉川上水の小川橋から北上してきた小川用水は、ここから二筋に分かれ、青梅街道の南北に並行して東へ流れていきます。小川一番を出たバスは、やがて青梅橋交差点を右折し、東大和市駅に到着です。青梅橋は、青梅街道が野火止用水渡った橋で、隣接する西武拝島線東大和市駅も、昭和54年までは青梅橋駅と名乗っていました。青梅街道にとっては、青梅と江戸市中のほぼ中間点に位置し、橋は承応4年(1655)の用水開削時に架橋され、およそ300年の歴史を持つ橋でしたが、昭和38年頃の用水の暗渠化に伴い撤去されています。現在は交差点に面して、コンクリートの親柱の一部が残り、その脇には道標を兼ねた庚申塔が小さな祠に収められて保存されています。野火止用水は小平市の最西端である中島町の地先で玉川上水から分水し、清瀬、新座を経て新河岸川へ通じていました。全長約35キロに及び、玉川上水開削に携わった老中松平伊豆守信綱が、自らの加禄と引き換えに自領への引水の許可を得て、家臣の安松金右衛門に命じて開削させたといわれ、このことから伊豆殿堀の異名もあります。近年の清流復活事業などにより、随所で水の流れが復活していますが、青梅橋付近は暗渠が遊歩道として整備されているのみとなっています。東大和市駅の南側には、野火止用水跡に沿って都立薬用植物園があります。「薬用」ということで、普段はなかなか見ることのできない種類の植物をつぶさに観察できます。有毒植物を集めた区域なども興味深いです。バスの待ち時間にぐるっとひと回りしてみるのもいいでしょう。人気blogランキングへ