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ザ・スーパー・ポップ宣言

ギターポップ1

ギターポップ推薦曲(1)

AZTEC POSTCARD DAI.jpg

小沢健二/FLIPPER'S GUITAR元ネタリスト

フリッパーズ・ギター/小沢健二 元ネタリスト曲別

フリッパーズ・ギター/小沢健二 元ネタ推薦曲

ギターポップ推薦曲(1) (2) (3) (4)

ネオアココンピの世界

ネオアコ/ギターポップ映像の世界


80年代中程のイギリスで流行ったギターポップを中心に、私がこれぞスーパーポップと思う曲を全て紹介致します。全てポップ偏差値の高いものばかりです。

【 ポップ偏差値 77

The Bluebells / I'm Falling (2021 Wall Of Sound Version)



【Original】Composer / Hodgens-McCluskey Producer / Colin Fairley & Robert Andrews
【2021 Wall Of Sound Version】Instrument, Arrange, Produce / @otokabe_master

ネオアコファンにも人気のスコットランドのロックバンド、ブルーベルズのギターポップ名曲「I'm Falling」を2021年に新たにウォール・オブ・サウンド・バージョンとして作成したもの。ヴォーカルだけ抽出し新たなアレンジのもとサウンドは全て新規録音されたもので、所謂二次創作にあたる非公式・未公認の楽曲です。本作は@otokabe_master氏に作って頂いた「ウォール・オブ・サウンド・シリーズ」の2番目の作品となります。

「YOU TUBE」で聴けます。(なお、説明欄では@otokabe_master氏に寄稿頂いた解説を読むことが出来ます。)また、こちらでも聴くことができます。以下、ネタバレを含みますので、まずは上記リンクよりお聴き頂くことを推奨致します。

オリジナルはギターの刻みとピアノの軽やかな響きが心地よいネオアコ系バラード。恋人への後悔の念が痛々しくも、甘く悲しげなメロディが秀逸な人気曲です。泣きのギターも印象的ですが、個人的にはピアノの切なくも軽やかで感動的な響きにウォール・オブ・サウンド(音壁)的魅力を感じておりました。@otokabe_master氏に作って頂いた中島みゆき / 悪女 (2021 ウォール・オブ・サウンド・バージョン)の素晴らしさに感動し、同じくピアノを主軸としたこの曲の音壁版を是非聴いてみたいという思いから製作を依頼しました。

オリジナルではギターの活躍度が高く、それはそれで非常に魅力的なのですが、音壁的にはギターはそれほど相性は良くないので必要最小限にとどめて頂き、代わりにピアノの軽やかな響きをメインとしたサウンドとなりました。他にもカスタネット、カバサ、鈴の音といった高音域の繊細な響きからベースやドラム、ティンパニなどの迫力のある重低音まで、まんべんなく配された様々な楽器が分厚い音壁となって迫るかなりオリジナルとは異なる内容です。特に力強くメインフレーズを奏でるピアノは、音壁の相乗効果でより劇的に変貌しただけでなく、他にも随所で様々な表情を見せ脇役的にも大活躍します。

そして圧巻なのは、最初の間奏におけるピアノのメインフレーズをサポートするカスタネットの連打音。ここでの重厚な音壁、軽やかなピアノをバックにカスタが力強く鳴り響くことを夢に見なかったネオアコ系音壁者は私だけでしょうか。実に感動的な瞬間でこのバージョンの最大の聴きどころかと思います。後半でもこのコンボがエンディングまで展開されますが、史上最強クラスの良質な迫力ある音壁により、「I Should Have Known Better」と後悔の念を歌うリードの説得力が倍増したと感じますがいかがでしょう。なお、エンディング近くではカスタネットの鳴り方が変化しますので是非ご注目を。

【 ポップ偏差値 75

AZTEC CAMERA / PILLAR TO POST '82
Pillar To Post.jpg PILLAR TO.jpg
ネオアコ世界標準曲。ギターポップ象徴曲。究極の青春ポップ。うーん、付けたい表現が多くて決められないけど、まあ、誰もが認めるネオアコナンバーワンポップということでいいでしょう。私がこのブログで言う「ポップ」の個人的定義『明るく、乾いていて、爽快で、弾けてて、高揚感があり、ミディアム以上のテンポで、テンションが高く、黄金律と呼ぶに相応しい流暢なメロディを持つ』曲の一番の具体例は?と言われたらズバリこの曲なのです。なので、この曲の感想も『 』内そのものネ。加えるなら清涼感と青空感と緊迫感の素晴らしさに、少年/青年期だけが持ちうる胸がつまるぐらいの青臭さとヒリヒリ感。

アズテックカメラが初来日した時、この曲演ってくれなかったんだよね。楽しみにしてたのでとってもガッカリ。ライブでの再現は難しかったのか、はたまた曲の青臭さがちょっと気恥ずかしかったのか。ライブではロディーフレイムに結構黄色い歓声があがっていたんだけど、私は男友達と二人で受け狙いで『マルコムー』と声援を送った。そしたら彼が眉毛を動かして反応してくれ、会場を笑わせてくれたのがいい思い出です。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(青空感)ポップ偏差値合計
9101088889575


フリッパーズギター / やがて鐘が鳴る '89

FLIPPER UMIHE OYAMADA AKACYAN 2.jpg MIHARASATOSI2.jpg

ギターがジャンジャカ、ドラムがドタドタとバックの音が物凄くうるさいが、これぞギターポップの醍醐味というスピード感、疾走感がある。ORANGE JUICE/TENDER OBJECT-DYING DAYタイプの音作りだね。そんなバックに乗ってヴォーカルは淡々とクール。サビの早口になる部分さえクールに歌い上げるところなぞ実に美味しい。甘酸っぱいメロディは少年期だけが持ちうる若さのエッセンスが気恥ずかしいぐらいに溢れ出ていて美味しすぎる。青春の痛みや苦味を感じさせ、決して明るい曲ではないが、、、。

途中ブレイクが入るなど曲の構成もドラマチックに良く出来ている。ギターソロもいい。バックに入る小沢健二?とのハーモニーも実にいいね。エンディングのシャウト風に歌い上げていくところなんかも絶品。曲が約5分とたっぷりこんな世界が堪能できるのも嬉しいね。全てにおいてギターポップ史に燦然と輝く名曲だ。こんな曲がこの日本から出たことをとても嬉しく、誇りに思う。フリッパーズギター、どうも有難う。(画像2は小山田圭吾とご両親。お父さんはマヒナスターズの三原さと志さんで、お母さんは田辺靖雄氏のお姉さんの田辺伊都子さん。妊娠7ヶ月の時点では「亮(小山田亮)」という名前になるはずだったそうです。拡大画像は小沢健二/FLIPPER'S GUITAR元ネタリストの一番下にあります。)
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(疾走感)ポップ偏差値合計
610710910810575


ORANGE JUICE / TENDER OBJECT '82 LP「YOU CAN'T HIDE YOUR LOVE FOREVER」
YOU CANT
このオレンジジュースのネオアコ最重要アルバムにはごろごろ超凄曲が入っていてもう大変。A面4曲目ののエドウィン君はここでもかなりテンパってます。相変わらず歌詞はナイーブな青年の、これも他愛の無い失恋ソングかな。でも「隠せない涙、否定できないプライド」などという言葉が何かそれ以上の力を持って鬼気迫ってくる。この切迫感はこのアルバム一枚限りで消えてなくなってしまうのだけれど、実にはかなくも美しい一瞬である。18歳やそこらだった私もその年齢だからこそ思いっきりシンクロし、精神を昂揚させられたものだ。今でもこの曲を聴くと冷静に、客観的な分析などできやしない。

そんなナイーブな歌詞に乗せてサウンドの方は、実に軽快でテンポよく、ネオアコギター、ネオアコベース、ドタバタドラムが一体となってぐんぐんと迫ってきます。この曲は間奏部分が長めに3回もあって、そこで聴かれる二本のギターを中心としたアンサンブルが各回とも例外なく主旋律同様かあるいはそれ以上の輝きを持って甘く優しく強い意思をもって煌いていて、一粒で4度も5度も美味しい、お宝サウンドとでも呼びたくなる素晴らしさです。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(昂揚感)ポップ偏差値合計
610999999575


【 ポップ偏差値 74

GIRLS AT OUR BEST! / CHINA BLUE '80 LP「PLEASURE」
GIRLS AT OUR BEST.jpg GIRLS AT OUR BEST POST SYOU.jpg
GIRLS AT OUR BEST!は、FLIPPER'S GUITAR,AZTEC CAMERA,ORANGE JUICEの次に好きなギターポップバンドだ。暗い曲の多いPALE FOUNTAINSよりも明るくてずっと好きなのだ。彼女たちの唯一のアルバム「PLEASURE」は、明るくポップで表現力が豊かで、偏差値65超えの名曲がゴロゴロしていて、ギターポップを代表する10指に入ると思う。

この曲はそんなアルバムの中でも私が最も好きな曲だ。歌詞は、中国は素晴らしい観光地だから是非遊びに、そして私に会いに来てね!みたいな他愛もないものなのだが、世界あちこちの都市名が出てきたりしてなかなか国際的で華やかで色彩色豊かな雰囲気だ。曲調はアップテンポでスピード感がある。歌詞に合わせて明るく高揚感のあるメロディを持つ。リードの歌声も可愛らしく、楽しく和やかな気分にさせてくれる。歌が早口に掛け合いになったりするのも楽しいし、最後に入る中華ドラも面白い演出だ。私はあまりにもこの曲が好きなのでヴィデオクリップを自分の頭の中で作ったりしたほどだ。そんな視覚に訴える何かを持っている不思議な魅力もある。

ところで『WORLD FAMOUS GUITAR POP (和久井光司)』というギターポップのガイド本がある。ここで紹介されている彼女達の作品はなんと「GETTING NOWHERE FAST」という実にどうでもいいシングルだけなのである。そりゃないでしょう。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(色彩豊か)ポップ偏差値合計
108988989574


フリッパーズギター / ボーイズ,トリコに火を放つ '89「海へ行くつもりじゃなかった」収録
FLIPPER UMIHE
小沢健二による曲。始めて聴いた時はこんな若い日本人がこれほどオリジナリティ溢れるネオアコな曲をやるなんて凄すぎると思ったけど、今冷静に元ネタ本で「AZTEC CAMERA / WALK OUT TO WINTER」が元ネタと書かれるとちょっと冷や水を浴びせられた感じがする。確かに始まり方やメロディ、歌詞の内容も似てるよね。でもこの曲は元ネタ以上の熱気と瑞々しさ、緊迫感、強い意思を持ち、私にオリジナリティを感じさせてくれたのだった。

この曲の一番の聴き所は小山田圭吾のヒリヒリするようなひたむきなヴォーカル。ちょっとたどたどしい英語も、まるでコニーフランシスなど外人が日本語で歌う趣に似た味わいがあるね。だから余計に真摯で強い意思を感じるのかも。ちょっと気負って歌ったりするところなんかも若いエキス振り撒き捲くりって感じで最高に美味しいヨ。

サウンド的にはドラムのパーカッシブなところが躍動感を感じさせてくれていい。それと短いけど途中のギターソロのフレーズもいいね。歌詞は「ソムリエ、トリコ、ポーチコ」などと言う洒落っ気のある外来語が異国情緒を感じさせてくれる。それと「苦々しさ、冬のさむさ」なんてあたりは実にORANGE JUICE、AZTEC CAMERAなど初期ネオアコ的でいい。「やがて鐘が鳴る」同様、「こんな曲がこの日本から出たこと」に驚き、大興奮したよ。

それにしても「トリコに火を放て、ポーチコのところに残していこう」ってどういう意味だろう。ネット辞書→【トリコット(tricot])経(たて)メリヤスといわれる細い畝(うね)のある編み地。ポーチコ(PORTICO)柱廊玄関。】
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(真摯な意思)ポップ偏差値合計
81098710710574


【 ポップ偏差値 73

AZTEC CAMERA / WALK OUT TO WINTER 12"EXTENDED VERSION '83
walkout AZTEC POSTCARD SYOU.jpg
アルバム収録バージョンとは大きく異なりヴォーカルが始まるまでに3分36秒ものインスト部分がある。ここではヴォーカルが無い分この曲のメロディラインの素晴らしさが思いっきり堪能できる。途中ベースとドラムだけになる部分があったり、ギターソロががんばる部分があったりと長いけど充実した構成で飽きさせない。若干10代のロディフレイムの若き才能が完全開花してる。

タイトルが「冬に向けて歩いて行こう」ということでメッセージ色が強く、季節も冬ということでポップ度が低くなりそうな要素が多いが、それを清涼感、瑞々しさたっぷりに作り上げているところが素晴らしいね。何よりもこの曲で聴ける若さのエキスが美味しい。ドラムやキーボードの電子音と対比してギターの生音が心地よく、その音色がどこまでも澄んでいて大いに高揚感を感じさせてくれる。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(ギター清涼感)ポップ偏差値合計
78999989573


【 ポップ偏差値 72

渡辺満里奈 / 大好きなシャツ (1990旅行作戦) '90
MARINAmarina daisuki2.jpgmarina daisuki3.jpg WATANABEMARINA DAISUKI CDS1.jpg WATANABEMARINA DAISUKI CDS2.jpg
FLIPPER'S GUITARが作詞作曲編曲(おそらく演奏も)を手がけた曲。でも彼ら自身の最高レベルの出来の数曲に匹敵するほどの大傑作です。彼らの公式アルバムを一通り聴いた後に必ず聴くべき最重要曲です。

一応元ネタとしてCLAUDINE LONGET / HAPPY TALKが挙げられてるけど、アレンジが全然違うから私にはほとんど分からない。音的には「恋とマシンガン」にかなり近いものがあるが、テンポの良さ、奥行きのある音空間処理や空気の乾きぐあい、抜けるような青空感、高揚感、明るく楽しい雰囲気など、全体的に「恋とマシンガン」より出来は良く感じるし、私はこちらの方が好きだ。最後のおまけ部分も楽しいね。FLIPPER'S GUITARの二人がかなり気合を入れて作ったのがよく分かる。スーパーポップと呼ぶに相応しい作品。

渡辺満里奈名義のシングルだけでなく、アルバムやベスト盤などにも収録されているので容易に聴くことが出来る。ビデオも出てるけど、FLIPPER'S GUITARは出演していないし出来も悪く残念。画像3左上隅に見えるはイカの日干し。右下は大漁旗。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(パーフリ節全開)ポップ偏差値合計
898897108572


ORANGE JUICE / FALLING AND LAUGHING '82 LP「YOU CAN'T HIDE YOUR LOVE FOREVER」
YOU CANT
ネオアコという言葉はフリッパーズギターが作りあげた造語という説があるそうだ。そしてフリッパーズギターによってこの当時のORANGE JUICE、AZTEC CAMERAなどが日本でも注目されるようになったと誤解されている人がいるかもしれないので念のため書いておくが、ORANGE JUICEは私が大学生になり上京した83年4月時点で既にカルト的人気があった。

同じ学科で同じクラブの先輩もORANGE JUICEを揃えて持っていたし、「RIP IT UP」は「きらめきトゥモロー」としてラジオで宣伝までされていた。新宿EDISONには、この曲のシングル盤「FALLING AND LAUGHING '80(POSTCARD 80-1)」が非売品として仰々しく飾られていた。(すぐに私の友達が頼み込んで10万円で売ってもらっていた。)御茶ノ水のJANISには「TWO HEART TOGETHER 10"」がレンタルされていた。(すぐに私が紛失代金を払って頂いた。)私が参加していた某ミニコミ誌でも彼らの特集を組む人がチラホラいたほどだ。記憶ではロッキングオンなど音楽雑誌ではほとんど取り上げられなかったと思うが、口コミ、ミニコミなどで彼等の魅力はどんどん伝わっていた、そんな記憶がある。

この曲は、所謂ネオアコの記念碑的アルバム収録の第一曲目。またネオアコの最重要レーベル、ポストカードの第一弾シングル曲。ということで全てはこの曲から始まったと断言して間違いないネオアコ始祖曲だ。POOR STICKS / ON TAPES でも『この曲のシングル盤「FALLING AND LAUGHING '80(POSTCARD 80-1)」を持っている、テープでね!』と歌われているほどだ。

歌詞はナイーブで気弱な青年の恋愛に関する他愛もない小言だ。ちょっと元気な今時ギャルになら鼻で笑われてしまうような内容だな。実際エドウィンコリンズもそんな青年だったのだろう。今にして思えばあまり自分とシンクロする人間像ではないが、それでも当時はちょっと共有できる部分を見つけては自分とシンクロさせ、かなりその気になって聴き狂った。特に「喜びを傷みとともに得たいんだ」という歌詞にはずいぶんと感情移入したものだった。それと、このか細く弱々しいエドウィンのヴォーカルのなんと人の心を惹きつけることよ。

サウンド的には瑞々しくきらびやかなギターの音色、明るく小気味良く躍動するベースライン、スピード感がありかつ歯切れの良いリズムギター、ナイーブで痛々しいヴォーカルなどが甘酸っぱいメロディと絡み合い、おそらくはこの時点であまり存在しなかったであろういわゆる「ネオアコサウンド」の原型を作り出した。決して根明な明るさを持った曲ではないけれども間違いなくネオアコ界の最重要曲だ。

追記:なおネオアコの語源となる「ニューアコースティック」という言葉は既に84年初頭の当時の音楽雑誌などで見られます。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(痛々しさ)ポップ偏差値合計
698889910572


小沢健二 / ドアをノックするのは誰だ? '94 作曲編曲小沢健二 ストリングスアレンジ服部隆之
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「JACKSON 5 / I WILL FIND AWAY」の導入部と「ERIK KAZ / COME WITH ME」のリズムが主な元ネタ。ERIK KAZ版をテンポアップさせ手拍子を入れ躍動感を持たせたリズムはジャクソンファイブにも通じる黒いグルーヴが感じられる。そこに華麗なストリングスアレンジを入れるという趣向は素晴らしいアイデアで、単純明快なポップスに優雅な華を添え、70年代以降から続く日本流歌謡ポップスの一つの頂点とさえ感じさせてくれる。ヴォーカルは少年っぽい弾けた感じがよく出た発声で曲調にマッチ。早口で歌いまくる部分やスパイス的に入れる英詩フレーズなど含めたメロディは、まるで大海原を自由にスマートに泳ぎ回るイルカのよう。そうした様々な要素をうまく纏め、明るく楽しく踊れる曲に仕上げた小沢健二の才能には脱帽だし、そんな彼が大好きだった。

内省的アルバム「DOGS (犬は吠えるがキャラバンは進む) '93」からならば直接、より高尚な?「ECLECTIC」(一回聴いただけ)や最新のインストアルバム(聴いてない)へ進むのは小沢健二のような知性派アーチストならばよくあるパターンだ。しかしそこを一転して俗な、ポピュラーな世界を目指し「スーパーポップ」な作品を作りあげたその指向性には大いに賛同した。

94年のアルバム「LIFE」収録曲。シングル盤にはライブ版も収録されている。曲調はギターポップではないけれどギターポップ人の作品ということでこちらに掲載しました。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(編曲の妙味)ポップ偏差値合計
7878101098572


ORANGE JUICE / DYING DAY '82 LP「YOU CAN'T HIDE YOUR LOVE FOREVER」
YOU CANT
このオレンジジュースのネオアコ最重要アルバムのA面は次々と超凄曲が襲い掛かる。A面4曲目の「TENDER OBJECT」に続いて始まるこの5曲目は、同曲とはアップテンポなところや曲調なども似て兄弟曲のような雰囲気。歌詞はこれまた青年のナイーブな心情を扱っていて、テーマは「夢想家の主人公が恋人の女の子の現実主義的なところに嫌気がさした」という内容か。「死ぬ日まで信じ続けるだろう」って一体何を信じるのか分かんないんだけど、何?

エドウィン君のヴォーカルはますますナーバスで、前曲よりも更に緊迫感や痛み、説得力が増し、やはりナイーブな心を持つ当時の多くのNEW WAVE青少年の心を鷲掴みした。サウンド的にはキラキラしたギターの煌めきがいい。「I HEARD YOUR BUGLE PLAYING」のところでラッパが高らかに鳴るのも可愛らしいネ。これといったインストパートが無いのが残念だが、アップテンポでノリの良いグルーブでエドウィン君のヴォーカルをサポート。

曲の終わりに間髪入れず次のAL GREENのソウルバラード「L.O.V.E.LOVE」のカバーが始まるのだが、フリッパーズギターの1STでも用いられているこの手法はORANGE JUICEのこの部分からとられたのではないだろうか。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(痛み)ポップ偏差値合計
6978810910572


【 ポップ偏差値 71

dB'S / I'M IN LOVE '81 「STANDS FOR DECIBELS」収録

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アメリカのパワーポップ・バンドの1STアルバム収録曲。既に取り上げ済みの「BLACK AND WHITE」も素晴らしいポップ・ナンバーですが、こちらも甲乙つけ難いスーパー・ポップ。81年発表ということで、いわゆるニューウェイブの時期にあたりますが、基本は至ってシンプルなロック系サウンドで少しパンクに通じる荒っぽさが感じられますね。

元気すぎるぐらいにドラムが暴れまくる明るく快活な曲調で、スピード感もバッチリ。ヴォーカルの唱法も荒削りで吐いて捨てるかのような潔さ、歯切れの良さを感じさせとてもポップ。メロディもAメロ部分の前向きでやる気満々なところに旨味があり、サビのキーも高ければテンションも高い完全に突き抜けきったメロディが見事です。全体としてウルサイぐらいの音造りで決して万人受けする内容ではないけれど、こうしたコッテリと過剰にポップにアレンジされたサウンドもまたパワーポップの一つの醍醐味と言えるでしょう。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(突き抜けメロディ)ポップ偏差値合計
910887888571


FRIENDS AGAIN / LULLABY NO.2 , LOVE ON BOARD '84 12" 「THE FRIENDS AGAIN EP」
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こうしてあらためて見ると AZTEC CAMERA / WALK OUT TO WINTER 12"のジャケを完全に真似ましたね、こりゃ。キースヘリングのポップアートの出来損ないみたいなジャケを見て、「下手くそなだけで味も無いが、音はポップに違いない」と新宿EDISONで入荷したての新譜をジャケ買いした想い出がある。帰って聴いてびっくり、そのAZTEC CAMERA並のネオアコサウンドが飛び出してきた。

個人的にORANGE JUICE,AZTEC CAMERAと並びネオアコ三銃士と呼んでいる彼等は、前二者と比べて苦味、痛みを感じなく、ひたすら明るいのが特色だ。それだけにちょっと軽薄な感じがあるけども私は大好きだな。澄みきったギターの音色に大いに魅力があるのも特徴だ。細かく刻むギターなんかは隙間貧乏性の私達日本人の嗜好にもマッチしている気がする。コーラスやブラスの盛り上げ方も明るく爽快で楽しいね。空気は乾燥しているがちょっとひんやりしているところがイギリス風のいいところ。

アルバム収録バージョンと違いこちらは5分46秒と長い。12"版に慣れた耳で聴くとアルバム版は変に端折られた感じが気持ち悪い。是非「THE FRIENDS AGAIN EP」収録の方を聴いて欲しい。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(爽快感)ポップ偏差値合計
99977889571


dB'S / BLACK AND WHITE '81 LP「STANDS FOR DECIBELS」

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dB'Sはポップセンス溢れる二人の才能、Peter HolsappleとChris Stameyが中心のアメリカのパワーポップバンドだ。このアルバムは79年に録音され81年に発表されている。Moving In Your Sleepという静かで夢見心地な曲などたくさんの名曲が収録されているグレイトなアルバムだ。私が「パワーポップ」という言葉に持つイメージに一番近いバンドがこのdB'Sだ。画像右側の2NDアルバムのジャケがこのグループの持つポップセンスをうまく表現している。公式ホームページはこちら

スピード感のあるストレートなロックサウンドにのってちょっと変てこなギターサウンドと明るい曲調、明るい声質のヴォーカル、畳み掛けるドラム、歯切れの良い展開などが素晴らしい。ゴチャゴチャとうるさいギターなどの様々な音が何とも形容し難い屈折したポップ空間を作り出している。欲を言えば出だしのアコースティックギター?をもっと全体にちりばめて欲しかったところ。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(屈折したポップ感覚)ポップ偏差値合計
99698988571


NICK HEYWARD / ATLANTIC MONDAY '83 LP「North of a Miracle」
NICK HEYWARD
元Haircut 100のリーダー、ニックヘイワードのソロアルバム。「Haircut 100 / PELICAN WEST '82」も名盤とされているようだけど私はそちらはいまひとつ垢抜けた感じがせず評価していない。その後に出されたこのアルバムからはネオアコ的にこなれたWhistle down the windが有名。軽やかできれいに響くピアノと新鮮で冷たそうな空気感がなかなかの佳曲。アルバム的にはこれとATLANTIC MONDAYの2曲が目立つ程度でこのアルバムもネオアコ最重要アルバムとまでは言えない内容だと思う。

ATLANTIC MONDAYはネオアコという括りで語るのはどうか?と思えるほどファンキーなカーニバルダンサーだ。メロディは白くてあまり黒人っぽい骨太なグルーヴは感じないけど、白人なりのクールさと瑞々しさに満ちたラテン系の素敵なナンバー。ジャンル的にはサンバとかソカとかが近いのだろうか、よく分かりません。明るく元気で高揚感があり、能天気な女性コーラスが華を添えています。きれのいいクールなブラス、スマートなヴォーカル、ノリノリのパーカッションなどが混然となって楽しさ満点。約5分と長めなのもいいね。でも、「お前は本当にこんなに明るい人間なのか?」とチト問い詰めてみたくもなるな。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(お祭りダンサー)ポップ偏差値合計
910999677571


PALE FOUNTAINS / REACH '84 LP「Pacific Street」
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ネオアコ界隈では一般にORANGE JUICE,AZTEC CAMERAの両巨頭の次ぐらいに位置づけられるPALE FOUNTAINSだけど私の評価はいまひとつ低い。私が個人的にネオアコに求めるのは明るいポップさなのだが彼らはそういう点においてかなりのマイナス。なんせ明るい曲が一曲も無いのだ。

彼等との最初の出会いは7インチの "Just a Girl / (There's Always) Something on My Mind" で、これは当時新宿のエディソンに入り浸っていた頃、ジャケが気にいったので友達に買わせた(笑)のだった。早速聴いて見るとジャケから予想した以上にネオアコなサウンドが飛び出してきた。このA面の「Just a Girl」の淡く澄んだアコースティックなサウンドの中に漂う、濃く青臭い青春フレヴァーにはとてつもなく衝撃を受けた。のだったのだが、B面の「(There's Always) Something on My Mind」は真っ暗どん底井戸の中な曲で、これがいけなかった。タイトル直訳すると「いつも僕の心の中には何か引っ掛かる大切なものがあるんだ」か?大学に受かって折角楽しい東京生活を満喫していた能天気な私に、こんな後ろ向きな曲を聴いて涙せよと言うのかい君達は?てな感じにさせられ、周りの友達たちには受けは良かったが私にはちょっと受け入れ難かった。そのネオアコな才能、完成度の高さ、青臭さ、若気の至り感など全てを認めつつも、これは自分の嵌るべき世界ではないと身構え、距離をおいて聴いていた覚えがある。

そんな彼等がしばらくして出したファーストアルバムの一曲目に入っていたこの「REACH」は、相変わらず暗い雰囲気を漂わせながら始まるのだった。何この冒頭の暗い語りは?って感じ。まあそれはおいといて、その後本格的に始まるこの曲は彼らにしては珍しく歯切れのいいリズム、早めのテンポ、景気のいいブラスなどが入り、なかなか爽快な気持ちにさせてくれた。今この時しかないんだと言わんばかりの切迫感、緊張感、前向きな強い意思なんかがビシバシ伝わってきていい。決して明るくポップな曲ではないけど青臭い緊迫感が堪らない素晴らしい青春ソングだ。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(緊迫感)ポップ偏差値合計
598989810571


【 ポップ偏差値 69

フリッパーズギター / SENDING TO YOUR HEART '89 「海へ行くつもりじゃなかった」

FLIPPER UMIHE

FLIPPER'S GUITARの1STアルバム収録のネオアコ曲。1STは既に取り上げているボーイズ,トリコに火を放つすてきなジョイライドやがて鐘が鳴るなど偏差値70級の超凄名曲が勢ぞろいしている個人的にポップス史上最高のアルバムだと思っていますが、この曲もそうした名曲群の一つ。基本は元気でスピード感のあるギターポップで、元ネタ的にやはりネオアコを代表する歴史的名曲究極の青春ポップ AZTEC CAMERA / PILLAR TO POSTの影響がかなり強い。いきなりテンションの高いサビから始まる箇所、ギターのカッティングなどなど。ネオアコ好きなら誰でも憧れるバンドでしょうから、フリッパーズギターがアズテックカメラに敬意を示し、そのオマージュを作成した気持ちは自分のことのように実感できます。特筆すべきはアズテックを完全に咀嚼、消化、吸収し完全に自分たちのネオアコとして完成度の高い魅力的な別曲として作り上げているところですね。小山田圭吾の可愛らしい声質、気恥ずかしくなるような青臭さ漂う、然しながら瑞々しいメロディなどなど。曲の最後では、やはりAZTEC CAMERAの「THE BOY WONDERS」を披露しています。

明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ楽器瑞々しさボーナス(疾走感)ポップ偏差値合計
897779710569


「YOU TUBE」で聴けます。

Live at 渋谷クアトロ 1990.01.16(希少なライブ映像)

おまけ画像は、江口寿史氏による漫画。それぞれ、「THIS IS ROCK!!」、「犬の日記、くさいはなし、その他の短篇」に収録。

INDIAN SUMMER / WONDERLAND (EDIT THE WONDER) '89

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ネオアコ/ギターポップ系としては珍しいドイツのマイナー・バンド、インディアン・サマーの2NDシングル収録曲。

兎に角イントロのサウンドの素晴らしさに驚かされる。高速ギター・ストロークによる密度の高いジャカジャカ感、高原に吹く爽やかな風のようなシンセの清涼感との組み合わせは、FRIENDS AGAIN辺りを彷彿させる良質なもの。如何にもヨーロッパ高緯度地方といった冷ややかな空気を醸している。約30秒後に加わってくるシンセのポップな音色もまろやかでいて歯切れよく、ここまでの三者のアンサンブルはまるでゲルマン民族の高度な精密技術を見せつけられているかのよう。高らかに歌い上げるサビの高揚感もなかなかのものだけど、全体のメロディは比較的魅力不足かな。まあ何より繰り返し聴けるイントロ/サビの濃厚濃密で高品質なサウンドが心地良い。

「YOU TUBE」で聴けます。なお、これをアップされているPomPomTakashiさんのブログMemory Boxは、こうした埋もれたマイナーで良質なギターポップ名曲を数多く紹介していると巷で大評判。ギタポ好きなら是非押さえておきたいブログです。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(濃厚濃密サウンド)ポップ偏差値合計
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FRIENDS AGAIN / SUNKISSED (NEW VERSION) '84 12" 「THE FRIENDS AGAIN EP」
FRIENDS AGAIN EP.jpg FRIENDS AGAIN SUNKISSED.jpg
どうもAZTEC CAMERAやORANGE JUICEのファーストで聴けるような青臭いネオアコは苦手という方にオススメなのがこのFRIENDS AGAIN。特にこの曲は青春の痛みや悩みのかけらも感じさせない能天気さながら、イギリス特有の熟成されたメロディであるのが良い。タイトル通り陽射しがいっぱい降り注ぐかのような煌き感、乾燥感はイギリスというよりは地中海沿岸のリゾート地を彷彿させるほど。

この曲は少なくとも3つヴァージョンがある。一つめがアルバム「TRAPPED AND UNWRAPPED」収録版。二つめがCD化された「TRAPPED AND UNWRAPPED」にもボーナスで収録された元々のシングル「SUNKISSED」('83)のヴァージョン。三つめがこの画像の12インチ「THE FRIENDS AGAIN EP」収録のNEW VERSIONで、私が好きなのはこの最後のもの。演奏自体は大差ないんだけど、ヴォーカルの出来が全然違ってて、このNEW VERSIONで聴ける明るく弾けたヴォーカルはサウンドの透明さ、明るさ、爽快さに一番マッチしていると思う。っていうかもしかして別人が歌ってます?ご存知の方教えて下さい。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(乾燥感)ポップ偏差値合計
98977789569


TWO PEOPLE / MOUTH OF AN ANGEL '86 (POLYDOR POSP818)

TWO PEOPLE  MOUTH OF AN ANGEL.jpg Neo acoustic Love Headstart For Hapiness.jpg

イギリスのマイナーなネオアコバンドの吹っ切れた疾走感が素晴らしいギターポップ。最初の第一音含めて全編に渡って鳴り響く重量&エコー感たっぷりのドラムスの音が特徴的でちょっとナイアガラ。ボーカルは青く凛々しく強い意志を感じさせ、リズミカルでセカセカしたギターはまるで「(人生を)短く生きろ!」と急かしているような錯覚を起こさせます。メロディはやや暗めだけど厚めの音作りやシンセの清々しさ、冷ややかさもグッドで、全体として素晴らしい緊迫感を醸し出してます。

2007年発売の「NEO-ACOUSTIC LOVE ~ HEADSTART FOR HAPPINESS 監修/選曲:橋本徹」にも収録されました。12インチも出ててそちらはEXTENDED MIXになってるらしいです。(何でそちらを収録してくれないの?)うーん、聴いてみたい。内容ご存知の方、教えて下さい。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーブメロディ器楽瑞々しさボーナス(ドラムのエコー感)ポップ偏差値合計
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ギターポップ推薦曲(その2)に続きます。



【求む!貴方のお奨めギターポップ】
以上が私の大好きなギターポップです。しかし、まだまだ知らない曲も沢山あると思います。そこで皆様から上記のような感じのオススメ曲を教えて頂きたいと切に願っています。どうか迷える子羊に愛の手ほどきを!また、取り上げてる各曲で、こんなバージョンもあるよとか、こんなカバー曲もあるよとか、12インチシングルもでているよ、とかいった情報も頂けると助かります。音源交換も可です。(ご連絡はトップページ左側の段の一番下の青字で「メール」と書いてあるすぐ下の「メッセージを送る」からお願い致します。)


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