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zusi_k

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Jul 17, 2010
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アニメらしくないアニメ、でしょうね。
ヒーローが正義を語るわけでもなく、悪役が極悪非道をするわけでもなく、悪とみなされても自分が思う正しいことをする・・・とかの信念が貫かれてもいない。
昭和初期の中国上海を舞台にした、桜井機関と呼ばれる軍属系?情報機関の男女四人が主役の物語ですが、実に淡々としたものです。
登場人物に個性はあるものの、アニメやマンガによくある誇張されたハチャメチャな言動をみせませんので、とにかく地味に見えます。
四人をはじめ、超能力を持った人間同士の戦いもあるのですが、見応えのある戦闘シーンの割には超能力としての効果自体はどれも地味なものばかりだし・・・。
女性キャラも清楚で可憐な感じで、変に露出も高くないし意味のわからないシャワーシーンも出てきてない。
それでいて、なかなか色気のある見せ方(ゲストキャラが多いか)もちょくちょく匂わせてあって、抑え気味なエロ演出とあいまってキラリと光る感じ。(チラリ??/笑)
メインの男性キャラ二人をスーツでびしっと決めてある辺りが、最近の流れだとBLっぽくて敬遠する人もいるのかもしれませんが、着崩し方などで個性もよく出てるし、戦闘服らしい緊張感みたいなのも漂っていて私はいいと思います。
キャラの個性の表現方法について、アニメのお約束的な露骨さだけに頼っていないのが何よりいい。
日常風景と事件が起きている時のテンポの違いで緩急がつけられているため、映像表現としては面白い流れが作りだされていますが、会話のノリや次から次へトラブルが起きるテンポの速いアニメに慣れていると物足りないでしょう。
背景も含めてすごく丁寧に作られている作品だと思うのですが、そこの丁寧さを味わうためには見る側の姿勢も必要ではないかと思わされる作品であり、萌えアニメやロボットアニメなどとは全く別の方向性ながら“マニア向けのアニメ”と言ってもいいかもしれません。



個人的なこの作品の一番のお勧めは、キャラ達の背景に描かれている建物などです。
時計やラジオ・傘などといった西洋風の小粋な小物などもさりげなく登場していて、会話などによる時代背景の説明などが比較的少なめな作品だと思うのですが、そうした背景描写や小物などから時代を察することを楽しめるのが面白いところ。
作品としてはもちろんフィクションですが、現実の歴史を背景にして楽しむという点で想像力を刺激させられ、なかなか上手い扱いをしていると思います。
それほど偏った史観が登場しているわけでもないので、変に歴史論争を誘発することもないでしょう。
難しい満州国建設の前後を扱っているなどとかあまり身構えず、ぱっと見で面白そうに思えれば素直に楽しむことができるはず。
むしろ、これぐらいの内容をすんなりと娯楽として楽しめないのであれば、見ている人の史観がちょっと偏り過ぎているのではないか?と心配になってしまいます。

さて、前半では当時の雰囲気を理解するためのエピソードとキャラの個人史が、バランスよく絡み合って見せてくれています。
個人的には葛《かずら》が昔の友人を追いかける第五話のエピソードが面白かったのですが、人物描写が全般的に曖昧で「感じるままに理解してください~」という感じなのがいいですね。
ステレオタイプなアニメ的キャラ分類に当てはめてしまうこともできるとは思いますが、そこはあえて我慢して、人間としての人物像を楽しめるのがこの作品ではないかと。
後半は満州建国という大きな時代の変化を受けながら雪菜《ゆきな》の兄高千穂勲《たかちほ いさお》が計画する事件に迫ってゆくのですが、満州のことを国家規模の視点ではなく庶民目線でやんわりと描写してあったのも良かったです。
棗《なつめ》が老農夫と交わした台詞の場面など、満州のことを少し調べたことのある人なら妙に共感できたはずですし・・・。
個人が過去のしがらみや思いを背負いながら、自分の信じる道を探して行動する。
主人公たちにとってみれば、桜井機関の存在も自分たちが生きていく中で一時的に所属しているだけの組織でしかないみたいだし、かといって確固たる信念や理想を持っているわけでもない。
なにかを変えようと大陸に渡っていった人(主に日本人)たちって、たぶん、普通にこういう人たちだったんじゃないかなぁと、率直に思えました。

“新型爆弾”について言えば、後の歴史を知っている私たちから見れば成立していそうな理屈に見えますが、第一次世界大戦などでも新型兵器や秘密兵器というのが続々と使われた時代だったわけですよね。
世の中を変える新兵器や敵を蹴散らす必殺の秘密兵器などという夢物語が無数に言われた時代の、これは一つの物語だったんじゃないかなと、肩すかしとも言えるほとんど無意味な結末にも自分なりの納得をしました。
理想を持った活動家が大言壮語し、でも時代には何にも影響を与えなかったということが数えればキリのない時代、全てはうたかたの夢に消えた時代であれば、こういう話があっても不思議じゃないのかもねぇと。
フィクションですが。(笑)

未来予知?という能力がいまいち活かしきれていなかったことや、雪菜のとった行動があの場面で本当にふさわしかったのかなど、ツッコミどころも沢山ありますが。
まぁそういうのは十三話のアニメで気にしだすとダメでしょう。
個人では立ち向かえない力を個人で求めようとして、それに失敗した人間がおこした事件。
それをも飲み込む時代の流れの中で、バラバラになった主人公たちもそれぞれに翻弄されながらも個人の力で生きていくんだろうなぁ~と、ラストの軍靴の足音を見ながらそう思ったわけです。
高千穂勲が撃たれて雪菜のもとで死んでいった時、普通のアニメならあそこで最後の台詞を残していそうなものですが、それをやらなかった。
単純に最終話の尺の都合で切っただけなのかもしれませんが、いままでのこのアニメの人物描写からは、たぶん意図的だったのではないかと考えることができます。
国家だ世界だと言っていても、拳銃の銃弾一つで死んでいってしまうのが人間なわけです。
本当は開発できていない新型爆弾に見た夢ははかなく、そんな簡単なことで終ってしまうものなんです。
大きな夢と、それなりに有能だった人間と、でも所詮はあっけないものだという無常感と。
変に見事な帳尻合わせに成功して決着らしい決着のついた結末よりも、ああいう、なんだかなぁ~というぐらいのほうがこの作品には似合っていた気がしてなりません。
どうせストーリーに過剰な期待はしていなかったし・・・って、それを言ってはだめですかね。(爆笑)

近代史が好きだから、このアニメも好きになれた。
そこでいったん個人的なバイアスが掛っていたことは否定しません。
丁寧に作るオリジナルアニメよりも、勢いとキャラデザ・声優に萌えとエロで作る原作付きアニメが増えてしまった今、こういうアニメが主流になれないのは当然です。
しかし、取り組むべき方向性の一つとして、この作品が目指したことは悪くないものだと思います。
私個人の趣味嗜好にはまったことで甘い評価となってはいますが、興味を持った人が一人でも多く見てもらえれば嬉しいものです。


雪菜みたいなお嬢様キャラって、最近のアニメでは見かけないタイプだけど古典的ではあって、実はツボだったり。
うーん、好き嫌いは理屈抜きだからなぁ。(汗)





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Last updated  Aug 20, 2010 10:09:31 PM
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