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カテゴリ:アニメ・マンガ・ラノベの感想など
高校生という設定にしてはやたらと健全すぎるというか、文部省推奨やPTA推薦だのといった優等生的な雰囲気を感じなくもない作品ですが、息抜きに一服の清涼剤的な作品を求めているならばこの作品がいいでしょう。 もっと露骨な“ほのぼの系”や“癒し系”よりは真面目な展開だし、バトルも必殺技も、もちろんロボットもない。 素直なティーンエイジの学園生活物、おまけに天文の楽しみ方なんかにも興味を持てるという。 似たような作品としては昔の『究極超人あ~る』を思い出しますが、あれよりもちゃんと部活動をしています。(笑) 全体的に地味ではありますが、美少女系のキャラもいるしそこそこアニメらしいお約束なども入っているので、見ていて退屈することもないはず。 まっ、刺激物や油料理にもたれた胃を休めるような気分で見るといいアニメ。 いちおう褒め言葉です、念のため。 マンガ版が原作となっていて、原作が完結していない段階でのアニメ化。 ほぼ原作通りのエピソードをアニメ化していて、主人公が高校に入学してからの一年間を扱った内容になっています。 特に物語の結末がどうこうという話ではなく、これからもまだまだ物語は続きますけどアニメはここまでで終わりますよ、という無難なまとめ方です。 その意味でも、アニメと原作漫画の違いはとりたてて気にするほどのことはないでしょう。 マンガもアニメもまだだという人は、「声のイメージがずれる」のを防ぐためにはアニメから見た方がいいかもしれません。 基本的には主人公の男性、幼馴染のヒロイン、気のいいクラスメイトに恋のライバル(主人公への恋)、部活動での先輩や仲間たちといった、どこにでもありそうな定番的なキャラ配置です。 元気で行動力あふれる幼馴染に振り回される内向的な文学少年という設定も、いまどき珍しいぐらいにオーソドックス。 美形とまでは言えないけれどハンサムな主人公が恋愛に鈍感で、登場する女性キャラ達からのアプローチや淡い気持ちにほとんど反応せず、それなりにニヤニヤと出来るやんわりとしたハーレム状態もあったり。 もう一歩踏み込めばギャグ作品や恋愛物になりそうなんだけれど、その半歩手前ぐらいでうまく踏みとどまっているような感じ。 あまりにも極端なキャラ設定や怒涛の勢いだけで見せている学園物のありえなさとは正反対に、これはこれで、こんなにバランスのとれた適度な学園生活もないんじゃないか?と苦笑してもいいようなところは感じます。 加えて、正義も悪も描かれていないので価値観としても非常に角の立たない作品に仕上がってもいます。 天文観測に関して光害(ひかりがい/こうがい)の影響やその対策などにも触れられているのですが、ことさら自然破壊や環境問題などを問題提起したり強調したりもなかったですしね。 個人的にはそれほど天体観測にのめり込んだ経験はないのですが、それでも小さかったころは簡単な天体望遠鏡を買ってもらって月などを見ていたことはありました。 それぐらいの経験の延長でもそれほど構えずに楽しめる天文部の活動内容が扱われていて、すでに趣味で天体観測をやっているような人にとっては物足りないかもしれませんが、気軽に興味を持ってもらう入門的な位置づけではよく出来ている感じです。 ウィキペディアの情報を見る限りアニメにしては珍しい方法で正確な星座を描写しているようで、それこそ実際の町中から見上げる星空よりも正確で綺麗なものを見ることができます。 主人公が星空や星座について「語りモード」に入ってしまうと、やや情感たっぷり過ぎてクサイ気がしなくもないんですが、そこはまぁご愛嬌というか。 ヒロインの天文(星空)が好きという気持ちはとても素直で好感が持てます。 そして、自分が好きなモノをもっと沢山の人にも見てもらいたい、もっと多くの人に好きになって欲しいという考え方にも共感できます。 そこに高校生というよりは小学生のような元気さが加わって空回り気味なのも、これもまたご愛嬌。 そういう、素直に感じ取って小さくクスッと笑うような楽しみがこの作品の魅力でしょう。 星が見たいからこの作品を見る、というほどにまで期待して見ていいかどうかは微妙な気がしますが。 「やんわりとしたハーレム」と表現したのは、主人公の恋愛に対する感覚もそうですが、登場するメインキャラの多くが女性になっている点も大きな理由です。 実際の天文部における男女比がどうなっているのかわかりませんが、少なくともアニメの中では女性比率が高め。(女子高が出てくる影響もあります) 基本的に悪人のいないイイ人アニメですし、天文部に入れば優しくてかわいい女の子が待っていてくれる・・・という幻想を楽しませてくれます。 また、作中でも少しは触れられていますが、現実の天文部の活動において思春期の男女が深夜まで一緒にいることがどのように考えられているのかは、私にはアニメの通りだともそうでないとも言いかねます。 ただ、『清く正しく健全な文化部の活動』としては理想的な感じで描かれていることだけは間違いわけで。 写真部だけはネタ寄りに「男の子の健康的な欲望」(笑)として扱われていますが、これもベタといえばベタな扱い。 この辺の扱いでいえば中学生レベルに落として思春期の恋愛模様などを避けた方が自然なのかな?とも思えるのですが、一方で天文部の“深夜活動”ということを考えれば、中学生だけの深夜活動というのも無理がありそうですし・・・。 それやこれやを考えれば、高校生にしては健全すぎるというところに落ち着かざるをえないのかなぁと思えてきます。 そこまで考えてこうなったのか、もっと単純に原作マンガの作者の個性が出ているだけなのか、そこまではわかりませんが、たぶん後者気味なのかなと。 作者は女性のようですし、女性比率の多い登場人物たちに優しさ成分多めの男性たちで、全体的にほんわかした雰囲気の性的な強調がほとんどない展開に自然となっていっただけだと、率直に考えてもいいのかもしれません。 つまり、売れるためのハーレム状態を持ってきたのではなく、結果的に魅力的な女性キャラが多い状況に見えるだけだということ。 男性が全くいないということでもないので、美少女アニメと表現するのもなんだか違うし・・・。 色々となんだか物足りないなぁと感じる人もいるかもしれませんが、これはそういう作品なんだと思います。 むしろ、そこが魅力。 こういう作風のアニメばかりでは健全すぎて、私もうんざりしてしまいそうです。 しかし、たまに見るにはいいし、人が死んだり戦争だの正義だの考えずに済むというのも、それはそれで気楽です。 全十二話という分量も丁度いいかなという感じで、もっと楽しみたい人はアニメの後も続いているマンガ版を読めばいいだけ。 強烈なモノはないですが、そこそこ感動もあります。 よく出来た佳作だと、そう評価しておくのが一番適当なのかもしれません。 ちなみに、個人的には生徒会長と主人公のからみが一番好きでした。 おみやげのしおりを渡す話とかね。(笑) (さらに蛇足。アニメ以降のエピソードになりますが、マンガ版では望遠鏡のレンズを磨いて作る話とか興味深くて好きです) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 23, 2010 07:15:47 PM
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