アニメ業界への危惧。
いち消費者の問題意識としては、アニメ産業って期待したいんだけど危ういんだよなぁ~という思いがあります。年間に制作されるアニメの本数が異常なほど増えて、すでに事実上の飽和状態にあるのではないか。視聴するアニメファンの総数がそれにともなって急増しているとも思えないために“あぶれる”アニメが増え、作ったはいいけど資金が回収されない、よって作る会社がつぶれる・・・というような悪循環を想定するわけですね。飽和状態のピークはすでに過ぎているんじゃないのか?(つまり悪循環の下り坂に転がり出している現状があるのでは??)とか、“あぶれる”原因としてのアニメの中身や制作姿勢について思うことなどの各論は今後も書いてゆくつもりですが、とりあえずいまは脇に。好きなモノには残ってほしいし、残ったからにはより良いモノ・より好きなモノを世の中に送り出し続けてほしい。消費者が生産者に望むものというのは、本質的にはすべて同じ考えになるはずです。あまり酷いモノが世の中に出るぐらいならいっそ無いほうがいい・・・というのも、良いモノを望む心理の裏返しにすぎないでしょう。で、そうしたアニメ産業全体への危機感に対する一つの考え方として、ファンがそれぞれに書く『感想』の存在が業界全体を救うヒントになりうるのではないか?というのが私の意見です。DVD(BL)を買ってお金を出すことで支援しないと、次のアニメが作れなくなる。よくそういう意見を目にします。売れることがアニメを作るのには必要な条件なので、アニメにお金を使わなければ結果的にアニメを見ることができなくなってしまうという。産業が産業として成り立つためにはお金の循環が必要なのもわかりますし、続編だの三部作だの言われていた作品が一作目の不振を受けて制作打ち切りになったなんて話も実際よく聞く話です。(ウィキペディアで作品を調べてみると、そんな話はごろごろ出てくる)エヴァンゲリオンがなぜリメイク(TV版本放送から数えるともう何度目なんだろう・・・)され続けているのかと言えば、それが売れると見込まれるからで、そして売れているからですよね。いままでずっとお金を出して支援し続けたから今回の劇場版エヴァがある、という理屈にも一理あると思います。しかし、ではTV(衛星含む)放送された作品に対して、それが好きならDVDを買いなさい、買わなければ次の作品が見れなくなりますよ・・・というのは、それだけが正しい考え方なのでしょうか?子供向け玩具の会社がメインスポンサーだった昔のアニメは、アニメに登場する玩具が売れなければ放送途中のアニメでも打ち切りが度々あったようです。しかしその後、少子化や遊び方の変化などによって玩具が売れなくなってゆき、それにともないアニメのスポンサーも変化していった。そして今、アニメを見るためには玩具を買えばいい・・・などと考えている人は、まずいないでしょう。アニメ産業のお金の流れというのはずっと変化し続けてきているし、これからも変化していかなければ、おそらく産業としても生き続けることができないはずなのです。私は、DVDを買うことがアニメ業界に無意味だと言いたいのではありません。『DVDを買うことで支援するんだ』というファンの思い込みが強くなりすぎることで、そうした消費傾向が強固な慣習として根付いてしまい、結果的にアニメ業界の産業としての足腰を折れやすいものに変えてしまう恐れはないのかという、そういう危惧を思うわけです。すでに模索は始まっていると思いますが、アニメの視聴方法やお金のまわり方を含めた、アニメの産業としてのビジネスモデルにも変化が起こるはずです。むしろ、変化が起きなければアニメに未来はないのではないか?とまで思います。次々に新しいアニメを作り続け、その資金を回収するためアニメファンに買ってもらえるための作り方がマンネリを生みだし、それでもアニメを見たいがために我慢して支援のために買う・・・というような暗い未来は見たくない。新しいアニメを作るためのビジネスモデルが必要な時期に来ているのではないかという、私の素人考えの結論ともう一つ。実はその時に重要なのが、過去に作られたアニメをどのように活かすのか、ということではないかと思っています。次々に1クールや2クールで新作を作り続けなければ成り立たない体制では、長い目で見ればどうしても内容の劣化が避けられないでしょう。ハリウッドのように、もはや映画を作るかどうかよりも、映画のシナリオの買い付けのほうが売れる映画のためには重要となってしまった先例もあります。映像表現の手段における技術的な変化よりも、人に訴えかけることのできるシナリオのほうが、根本的には重要なわけです。そして、ではどのようなシナリオが人を引き付け人を感動させるのかということは、単純な数字による売り上げなどでは追いかけきれない部分でしょう。だから『感想』が重要となる将来がやって来る・・・と考えているわけですよ。過去のアニメの感想が、未来のアニメを産業として救う可能性があるのではないか?極論してしまえばそういうことです。だから、DVDを買ってアニメを支援しようというならば、それは今放送されているアニメを指すだけでなく、過去のアニメにこそ評価しお金を出そうということを私としては提案してみます。でも、中身もわからずにいきなりDVDのBOXやら何やらを一気に買うのは、さすがにリスクが大きすぎます。感想を書いてあるサイト(ブログ)を見つけて、自分の感性や考え方に合いそうだったり興味を持てそうだったり、そういうことを参考にしてみればいいわけです。そうすることによって、いま面白いアニメが無いからアニメを見るのをやめようという人も、少なくなるかもしれません。アニメも流行りすたりが激しいので、一時期に同じようなアニメが集中しやすく、好みに合わないアニメが集中する時期というのがあっても珍しいことではありません。自分に合うアニメが今放送されていないなら、探せば過去の作品の中にならあるかもしれない。今放送されているアニメだけがアニメじゃない、そんな当たり前のことを自然に受け入れて上手く付き合えるように、ファンの側も変化してゆく必要があるような気がします。“名作”という権威付けによって古い作品をただ押し付けるような見方ではなく、ね。まぁ、こういう話は、今後もぼちぼち書いていきたいと思っています。お金だけ出せばいい商品を手に入れられるのではない。かしこい消費者たちこそがよりよい商品を生みだす一番の原動力である、なんて言ってみたり。