『床田寛樹』
本日は広島の選手を見ていきたいと思います。
今回は床田投手、昨季は145キロ強の直球を序盤から出すなど好調で、投げ始めたパームなどを交えて好投を続けたものの、試合中に足を骨折してしまってそのままシーズン終了という悔しい結果となってしまいました。
それでも17試合に登板して8勝、防御率は2.84と安定した投球を見せました。
まず奪三振率ですが、114回を投げて74奪三振で奪三振率は5.84と低い数字となっており、一昨年は8.24と1年目の水準に戻したものの、また元に戻ってしまっています。
続いて制球力ですが、32四死球で与四死球率は2.53と一昨年の水準(2.68)を維持することができており、K/BBは2.64となっています。
次にbatted ballですが、158GB:105FB:25LD:33IFFB:11HRとなっており、GB/FBは1.06と僅かに1.00を越えているぐらいでほぼ1.00で、GB%は47.6%とそこまで多くのゴロを打たせているというわけではなさそうです。
球威は被IsoPが.112と極々標準的と言って良いのでしょうか?被安打数は87と投球回数よりも大分抑えられており、この辺りは少し運が良かった側面はあるかもしれませんね。
そして球種ですが、直球が40%弱とそこまで多くはなく、ツーシームが30%、スライダーが15%と基本的には横変化中心の投球スタイルですが、スライダーの割合が7%も落ちました。
一昨年と違った点はパームを多く投げるようになって8.5%、カーブが7%、稀にチェンジアップも投げています。
一昨年と同じくパームが被打率.172で空振り率17%と高い精度を誇っており、球速が出るようになったことで威力が増したツーシームやスライダーも昨季に引き続き優秀な被打率(.219、.214)となっています。
ただ両球種共に空振り率が減少、特にスライダーは8%と一昨年の16%から半減、ツーシームも18%ありましたが昨季は12.5%に留まりました。
これは一時期床田が直球とツーシームにかなり偏った配球の時期があり、特に右打者に対して直球とツーシームに偏っていた時期があり、もう少しスライダーを織り交ぜても良いのでは?と書かせていただいたこともあっただけに、一昨年のように右打者相手にツーシームを交えつつ内角へ切り込むスライダーで空振りを奪いに行くケースを増やしても良いのではないでしょうか(覚醒するきっかけとなった一昨年の阪神戦でそれが顕著に見られました)?
最後に投球フォームですが、今時では珍しくワインドアップを採用して振りかぶって投げるオールドスタイルですね。
個人的に床田の投球フォームは何となく滑らかではなく、結構カクカクとした動きをした投球フォームなのであまり好みのタイプではないのですが、右手の突き出し方を本塁へ真っすぐ向けるのではなくやや左斜め上に突き出すことで開きはある程度抑えられており(ちなみに個人的見解ですが矢崎覚醒の理由もこれを採用したからではないかなと思います)、ボールをしっかりと隠せています。
下半身はインステップ気味で、少し左膝が折れすぎではないかなと感じる点と踏み出した右膝が少し外側に向いてしまっているところがあり、それが原因で投げ終わった際に左足がターンしきらずに一塁側へそのまま下りてしまっていることもありますが、以前の完全ガニ股の頃と比べると右膝もしっかりと垂直に突っ張るようになるなど改善しつつあるように思います。
かつて先発ローテを支えてきた大瀬良や九里らが下り坂に入り始めており、広島の先発は森下と床田が背負っていかねばなりません。
両者共に幸い故障した箇所も良くなりつつあるそうで、順調ならば開幕に間に合いそうなのでそこは一安心でしょうか。
今季こそは初の規定投球回に到達して二桁勝利を目指したい…と言いたいところですが、チームの事を考えると目指すというよりは最早必須と言えるでしょう。
個人的には3回り目をどうするのかが課題かな?と感じるところで、横変化中心の投球と思い切り投げる投球スタイルだとどうしても3回り目に苦労してしまい、実際に昨季そのような傾向が見られました。
床田の場合は球速帯を抑えてしまうと打ち込まれてしまう傾向があり、克服するには横変化中心の投球に縦変化の球種ももっと投げる必要性が迫られますが、武器となるパームは負担が大きいのでこれ以上割合を増やすのは現実的ではなく、やはり1年目の頃に高い空振り率を誇ったチェンジアップを昔の精度に戻すことがカギとなるのではないかな?と感じます。
エースになれる力はある投手なだけに、更なる進化を遂げて広島投手陣を担う存在になって欲しいところです。
![](https://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/?pc=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Fbook%2Fcabinet%2F3538%2F9784801933538_1_2.jpg%3F_ex%3D128x128&m=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Fbook%2Fcabinet%2F3538%2F9784801933538_1_2.jpg%3F_ex%3D64x64)
野球太郎No.045 2022ドラフト総決算&2023大展望号 (バンブームック)