北朝鮮の核実験
北朝鮮が3日、発表した外務省声明の骨子は次の通り。 1 北朝鮮の科学研究部門で今後、安全性が徹底的に保証された核実験を行うことになる。すでに核兵器製造を公式に宣言している。核兵器保有宣言は核実験を前提にしたものだ。 2 北朝鮮は絶対に核兵器を最初に使用しない。核兵器を通じた脅しと核の移転を徹底的に許さない。 3 北朝鮮は朝鮮半島の非核化を実現し、世界的な核軍縮と終局的な核兵器撤廃を推進するためにあらゆる努力をする。 北朝鮮の声明は、1,2,3項あるわけですが、そのうち、3 北朝鮮は朝鮮半島の非核化を実現し、世界的な核軍縮と終局的な核兵器撤廃を推進するためにあらゆる努力をする。これは、いいですね。もっとも、そう言う当の本人が、核実験を実施すると言っているのですから、自己矛盾もいいとこですね。2 北朝鮮は絶対に核兵器を最初に使用しない。核兵器を通じた脅しと核の移転を徹底的に許さない。 最初に使用しないが、反撃にであれば使用する、ということでしょうかね。想定しているのは、おそらく、アメリカによる先制攻撃でしょうか。イラクに先制攻撃を仕掛けたアメリカの強引なやり方を、目にしているだけに、おとなしくしているとアメリカにやられてしまう・・・イラクのように一方的にはやられないぞ、核で反撃するぞ、という警告なのでしょう。核は、自衛のためだ、というわけです。アメリカをはじめとする、核保有国が、自らは核保有し、核廃絶への努力をしないまま、核を独占し優位な地位を占めていることの矛盾・・・圧倒的な軍事力の差を維持した上で、イラクへの軍事作戦を開始し、フセイン政権を崩壊させたアメリカ・・・これらは、国際関係の処理における軍事力の重要性を、まざまざと見せ付けています。これらを、見せ付けられると、おとなしくしていると、いつ、イラクのようにやられるかわからない・・・先制攻撃をあきらめさせるだけの軍事力を持たなければならない・・・との、判断にいたることは、それほど不自然ではないとも思われます。つまり、窮鼠猫を噛むの状態に、北朝鮮を追い詰めているのは、ほかならぬアメリカ側と、考えることもできるわけであり、このことから、目を背けることは、無責任でしょう。北朝鮮のように権力が一部に集中している国においては、権力の行き過ぎを止める制度的な保障はありません。トップが決めれば、それがすべてです。ですから、上記の声明文は、内容は立派なのですが、本来的に信用できない。北朝鮮の声明文を読んで、上記のように思いました。話は変わりますが、北朝鮮の核実験の影響をもっとも受けるのは、韓国でしょう。その韓国の反応を知ろうと、朝鮮日報をインターネットで見たのですが、4日午前の時点では、なにも記事がありませんでした。いわゆる「太陽政策」を掲げてきた韓国ですが、困っているでしょうね。どのような反応がでるか、興味のあるところです。4日午後、、朝鮮日報では、多くの記事が出ています。よろしければ、ご参照ください。次のような記事もありました。私としては、こちら(日本の核武装)の方が怖いように思います。今後の影響として、北朝鮮の核実験の脅威は、日本の核武装論議をさらに加速化させる見通しだ。先月、日本原子力産業協会の名誉会長を務める中曽根康弘元首相が核問題研究の必要性を提起したのに続き、平沼赳夫元経済産業相も「戦争の最大の抑止力は核」とし、同調する発言を行っている。 また、安倍首相の政策ブレーンを務める京都大の中西輝政教授は最近、『「日本核武装」の論点』という著書を通じ、「北朝鮮の核に備え、日本も核兵器を持つべきだ」という論理を展開した。 なお世界の核専門家らは、50基あまりの原子力発電所を稼働する世界第3位の原子力大国・日本は、核兵器生産能力で北朝鮮よりも先んじていると評価している。 こうした状況で北朝鮮の核の脅威は、日本の核武装論にまたとない好材料になっていると指摘する声も上がっている。