ウズベクから数千人、隣国へ 政府の武力鎮圧逃れ
2005.05.15
Web posted at: 14:19 JST
- CNN
(CNN) 中央アジア・ウズベキスタン東部のアンディジャンで反政府暴動が発生し、政府軍がこれを武力鎮圧するという事態を受けて14日、市民数千人が国境を越えて隣国キルギスへ脱出している。現地入りしているジャーナリストがCNNに明らかにした。
アンディジャンから約40キロ北のキルギスタン側にあるオシュ町で取材しているジャーナリストのイーサン・ウィレンスキー・ランフォードさんによると、多くのアンディジャン市民がキルギスへ脱出。国境を流れる運河に手製の橋を架けて、キルギス側に渡る市民の姿も多く見られたという。
ウズベク当局は14日、アンディジャンの反政府暴動を取材していたウィレンスキー・ランフォードさんら外国報道陣を退去を求め、キルギス側へ同行した。このため、市民脱出の正確な数字は把握できていないが、ウィレンスキー・ランフォードさんは3500~1万人がキルギスタンへ脱出した模様だと話している。
キルギス側の国境の町、オシュやジャラル・アバドは瞬く間に、ウズベク難民で溢れているという。
また国連キルギス事務所の代表によると、ウズベク側から約3000人がオシュに、500人以上がジャラル・アバドに脱出したと話している。
カリモフ大統領は14日夕に記者会見を開き、13日の衝突で「治安部隊に10人、武装勢力側にそれ以上の死者」が出たと述べた。また、自分が発砲を許可したわけではないと述べた。大統領はさらに、反政府暴動はイスラム原理主義組織「ヒズブット・タハリール・アル・イスラム(イスラム解放党)」が政府転覆を目的に煽動先したものだと非難した。
これについて、ロンドン在住のイスラム解放党代表は、「われわれは平和的方法でカリモフ政権打倒を目指している」と、暴動煽動を否定した。
反政府暴動は12日、治安当局がイスラム教徒のビジネスマン23人をイスラム過激主義の重罪容疑で逮捕したのが発端となった。これに抗議する約1万人が刑務所を襲撃し、収容者数千人を解放。その後も市内中心部でカリモフ大統領の辞任を求めた。
13日夜には政府軍が集まった群衆に発砲。現地通信社「フェルガナ・ル」は、治安部隊が軍用車から機関銃で発砲し、近くの映画館でも約1500人の市民に装甲車の治安部隊が発砲、数十人が死亡したと伝えた。
現地人権団体「アピール」のザイナビジノフ代表はインタファクスに対し、14日早朝に「政府は町中に放置された遺体をトラックやバスなど計5台で回収していった」と話している。