「サイコパスはトレーダー向き」アメリカの心理科学研究
[ 2005年09月21日 01時51分 ]
[ロンドン 19日 ロイター] 最も有能なディーラーは「機能的サイコパス」である可能性が高いという研究結果が出た。「募集:金融市場で大儲けを出せるサイコパス」というような新聞広告が出ることはないだろうけれど……。
感情的に機能不全の人ほどいちかばちかの賭けを好む傾向があり、したがって脳障害のある人は金融市場で良い判断を下すことができるかもしれない、との研究結果をアメリカの科学者チームが発表した。タイムズ紙が月曜に報じた。
投資家行動の研究で、一般的なIQを持つ41人が単純な投資ゲームをプレイした。そのうち15人は、脳の感情を司る部分に障害がある。その結果、脳障害を持つ人はそうでない人を上回る好成績を出した。
参加者のうち何人かは、利益を出す可能性が損失の可能性よりもずっと高いにもかかわらず、感情の働きによってリスクを回避していることがわかった。この現象は近視性損失回避と呼ばれている。
アイオワ大学の神経学助教授アンチオーネ・ベカラは、有能な株式市場投資家は「機能的サイコパス」と呼べるかもしれない、と述べている。
またスタンフォード大学経営大学院のババ・シヴは、多くの企業トップや一流弁護士にも同じような習性があると述べた。
「感情は判断をスピードアップする際に適応を促す役割を果たします」
「しかし、自然に起こる感情的な反応を抑えたほうが、適格で賢い判断ができる事態もあります」
これはスタンフォード大学、カーネギー・メロン大学、アイオワ大学の共同研究で、6月に心理科学の学会誌に発表された。
[日本語訳:野中モモ]
診断名サイコパス
酸鼻を極める凶悪犯罪研究の先進国アメリカで、心理学者は異常殺人者に共通するある傾向に注目してきた。つまり極端に自己中心的で著しく情緒に乏しく、人を魅了し操る能力に長けているのだ。彼らはサイコパスと呼ばれるが、このような人間は実はわれわれの身近にも潜んでいる―非行少年、詐欺師、暴力亭主、幼児虐待者、カルト教団の教祖として!多くの実例を通じて「良心の呵責なき者たち」の素顔に迫る戦慄の一冊。
【目次】
サイコパスとの遭遇/診断のためのプロファイル/精神病質チェックリスト/自分だけの法律/心のなかの大きな消しゴム/残忍な「お遊び」/コートのポケットから出てくる言葉/クモの巣にとらわれたハエ/生まれつき“悪い”子供/致命的な誤診/何か打つ手は