七回忌
今日は母方の祖父の法事のため長崎へ来ています。
長崎へは葬式以来で六年ぶり。
祖父母の家は議論渦中の諫早湾干拓堤防の南の付け根辺りにあります。
滋賀の実家近辺と似たような田舎ですが、
前に海、後ろに山というのはさすが長崎ですね。
法事の際にお坊さんが話されていたことを一つ紹介します。
テレビ番組、世界不思議発見からの出展ですから
どなたか見たことがあるかもしれません。
放牧が主産業のある北欧の国では、子供が生まれたら
“その子のチーズ”というのを作るそうです。
大人が一抱えほどの大きさのそのチーズは、たとえ生家がどんなに貧しくても、
村中が協力し合って大事に作られます。
そうして生まれた子供はそのチーズを大切にしますが、
さてそこでクエスチョンです。
その人がチーズを食べるのはいつでしょうか?
成人式でしょうか?
結婚式でしょうか?
なにか記念日でしょうか?
正解は“その人が亡くなった時”です。
自分が死んだときに家族や友人に食べてもらう時のために、
彼らは大切に大切にそのチーズを守っていくのです。
チーズは年を経るたびにおいしくなるものですから、
何十年も生きたひとはかなり熟成し、“その人が生きた証”となります。
しかし幼くして亡くなってしまったり、
不慮の事故で亡くなる方もいます。
そうしたら家族は泣きながらその死を悼んでチーズをいただくことになります。
自分が死んだときにみんなに食べてもらうチーズを大切にしていくのは、
いったいどのような心境でしょうか。
そうしたものを持たない私にはおおよそ想像するしかありませんが、
お坊さんがおっしやるに、その人はけして他人を蔑ろにせず、
自分に関わる人には感謝を忘れないだろうとのことでした。
一つ一つの出会いを大切に、巡り合わせや恩恵を喜び、
そうして大地に還っていくのでしょう。
日頃の生活に追われがちな私としてはなかなか感じることができないかもしれませんが、
ありがとうと伝えることをけして怠ってはいけないと感じました。
今後ふとしたときにこのお話を振り返り、考えていきたいと思います。
長文失礼しました。