2007年07月の記事一覧 | 漫望のなんでもかんでも

「明日の記憶」を観た

　テレビで放映されていた『明日の記憶』を妻と一緒に観た。　辛くなってきて、観ていられない所もあったけれど、とにかく最後まで観た。　妻がさかんに気にしていたのは、「何であの家を売り払って、もっと小さなところに移らないんだろう」という事だった。そうなると、一日中顔をつき合わせているという事になる。監督は、物語をそのように進めなかった。　妻は、働くという決断をし、それは夫を日中一人にしてしまうという事を招く。自信なさげに始めた仕事は巧く行き、妻は新しい店の店長に・・・という事になる。　友人から薦められた介護施設のパンフレットを妻は一旦はつき返すが、再び手に取り、家に持って帰る。　一人で家にいる寂しさ、妻に傍にいて欲しい寂しさ、これをみているのが何とも辛い。渡辺健の力演もあるのだけれど、辛い。子供に還りつつある、どんどん我がままになっていく様子が手に取る様に分かる。身につまされるとはこういうことなのかと思う。　哀しさの渦中で、あなたは私たち(妻と娘)が大変だった時に、私達の事を振り返ろうともしなかった、心配さえしてくれなかった・・と激昂した妻から言い返される辛さ。自分でも覚えがあるだけに身がすくむ思いでみていた。　ラストで彼は妻が家に持って帰ったパンフレットを目にして、そこへ行く。そして自分で、入所する決意を告げる。　その後、現実と幻想の交じり合った窯場の世界で、彼ははじめて遭った頃の妻と遭い、師と出遭い、カップを野焼きし、酒を酌み交わす。　目覚めた彼はカップを手にして窯跡をあとにし、山を下る。そこで彼は妻と遭うが、すでに彼女を妻とは認識できなくなっている。しかし、妻の名前を聞き、「いい名前だ」とつぶやく彼は、妻と出遭った時の彼であった。　「私」が、それまでの記憶の集積から成り立っているものとすれば、アルツハイマーは、「私」が「私」でなくなる事だ。私にも、そんな日が来るかもしれない。妻にもそんな日が来るかもしれない。渡辺健は、発症を知った時に、一目散に病院の屋上に駆け上がり、死のうとする。そこから彼を引き戻してくれたのは、医師の一言と、妻の一言だった。　そのような幸運に私は恵まれるだろうか。妻がそうなった時に、私は本当に支えられるのだろうか。　この映画は、メルヘンなんだ、心のどこかでそう思いながら、最後まで観た。またメルヘンだからこそ最後まで観れたのかもしれない。

参院選　争点逸らしの術

　ミートホープの偽装問題が連日報道されている。「こんな事までしていたのか」「こんな手もあったのか」と驚きの連続なのだが、ちょっと気になることがある。それは、かなり以前に内部告発があったにも関わらず、今までほうって置かれたという事だ。　普通に考えると、監督官庁の怠慢･･となるのだが、どうも気になる。　安倍政権は、信じられないくらいの失点を背負い、強行採決の連続という非常手段を連発し、支持率も順調に低下している。この状態で29日の参院選を迎えるわけだ。　中選挙の時代、党本部の力がそんなに強くなかった時代には、自民党の候補者たちは、公然と本部批判を行った。今でも記憶に残るのは、「消費税」が争点になった時に、自民党の候補者は、消費税値上げを批判し、「消費税に身体を張って反対します」「政治生命を賭けて反対します」と街頭演説を行い、当選した。　彼らは当選後、「身体を」はることもなく、「政治生命」を賭けることもなかった。　ただ、当時と比べて、党本部の力は格段に強くなっている。それは、「公認」というものの威力である。　そうなると、当選を狙う候補者の取る道は限定される。　無所属で立候補して、自民党をボロカスに批判して票を掠め取り、自民党に入党する。これくらいのもんだろう。　では、与党本部は何を企むか?　国民の目を逸らす。これしかないと思う。私が気になるのと言ったのはこの点だ。まだ表に出ていないような「カード」を何枚か持っているような気がする。マスコミの中には、与党べったりの連中もいるから因果を含ませるのは簡単。　絶妙のタイミングで、「カード」を切ってくる可能性はある。それは、国民の生活に直接関係のある今回のような「食」の世界の事なのか。野党政治家のスキャンダルか。それを「正義」と「中立」の名の元に大々的に報道するわけだ。　北の将軍様に電話してミサイルを発射していただく手もある。　米軍支援中の空自が、襲撃されるかもしれない。　もともと、国民の命や生活など何とも思っていない連中の事。選挙の争点を逸らすためには何をするか分かったものではない。　「与党も野党もどっちもどっち」･･･ここに持ち込めば作戦は成功したのも同然だ。　さて、7月に入った。

転載です

　転載米軍北部訓練場のヘリパッド建設の中止を求める WWFジャパン（世界自然保護基金ジャパン） WWFジャパンは、多くの固有種、希少種が生育・生息する沖縄島山原（やんばる）の森を、優先的に保護すべき地球上の重要な自然環境のひとつに位置づけ、保護活動を行なっている。米国海兵隊北部訓練場の新たなヘリパッド建設は、やんばるの自然環境を破壊し、地域住民の平穏な生活を脅かすため、建設の中止を強く求める。北部訓練場（ジャングル戦闘訓練センター）には、沖縄島北部の亜熱帯性常緑広葉樹林が良好な状態で残されている。この森は、地球上でここだけに生息するノグチゲラ、ヤンバルクナなど、数多くの固有種、固有亜種、絶滅のおそれのある種の重要な生息地となっている。那覇防衛施設局の「環境影響評価図書（2006年）」を見ると、ヘリパッド建設予定地とその周辺には、4,000種をこえる野生生物が記録されている。このなかには、植物で12種、動物で11種の固有種・固有亜種、177種（環境省）から188種（沖縄県）の絶滅のおそれのある種が含まれている。これは、世界自然遺産の選定基準のひとつである「世界的な価値の絶滅のおそれのある種を含む生物多様性の保存のための重要な自然の棲み場所がある地域」という項目を十分に満たしている。沖縄島では、復帰後の開発により森林が失われてきた。しかし、約7,500haの面積を有する北部訓練場の森林は自然状態で残され、野生生物の避難場所（レフュージ）となっている。生物多様性に富む貴重な自然環境を破壊し、その価値を失わせる6か所の軍用ヘリパッドと進入路を造るべきではない。 IUCN（国際自然保護連合）の世界自然保護会議は、2000年（アンマン）と2004年（バンコク）の2度にわたり、ノグチゲラ・ヤンバルクイナとその生息地の保全を勧告した。日本政府に対しては、生物多様性と絶滅のおそれのある種の保全計画を作成すること、自然遺産への指名を検討すること、保護区の設置と保護の行動計画を作成すること、ヘリパッドに関するゼロ・オプション（造らない選択）を含む環境アセスメントを実施することを勧告し、アメリカ政府に対しては、米軍の環境管理基準をもとに野生生物保護の観点から日本政府と協議すること、日本政府の環境アセスメントに協力することを勧告している。日米両政府は、それぞれの政府が加盟しているIUCN（国際自然保護連合）の勧告に従い、軍用ヘリパッドを建設することではなく、野生生物の生息地を保護することに力を入れるべきである。前述の那覇防衛施設局の「環境影響評価図書」では、環境への影響を回避・低減し、保全措置をとることによって、環境保全上特に問題はないとしている。しかし、この報告書自体が環境アセスメント法の対象外とされ、ヘリパッドの建設を前提に書かれているため、その手続きも含めて正当な環境アセスメントにはなっていない。回避、低減などの措置も実効性は疑わしい。環境保全上問題はないと言う結論は、明らかに間違いである。むしろ、同書の環境現況調査の結果からは、科学的に、保全生物学的に検討すれば、ヘリパッドの建設と軍用機による訓練は、自然環境と野生生物へきわめて大きい影響をおよぼすと予測されるので、建設は不適当であり断念すべきという結論が導き出されるはずである。 6か所の米軍ヘリパッドは、東村高江地区を取り囲むように計画されている。直径75メートルのヘリパッドの建設と垂直離着陸機オスプリーによる軍事訓練は、高江の住民の生活環境に大きな悪影響を及ぼす。高江は人口約150人で、中学生以下が20パーセントを占める小さな集落である。居住者を軍用機の耐えがたい爆音や墜落の危険にさらすことは、基本的人権を無視する行為であり、平和で文化的、健康な生活を保障する日本国憲法に背くものである。なお、2008年に日本で開催されるG８サミットでは、地球温暖化防止と生物多様性保全が環境上の重要なテーマであり、2010年には日本政府が生物多様性条約締約国会議を誘致する予定である。このような時代に、生物多様性に富むやんばるの森に軍用ヘリパッドを建設することは、世界の趨勢から見ても非常識と言わざるを得ない。以上のことから、WWFジャパンは、北部訓練場の米軍ヘリパッドおよび進入路の建設の中止を強く求める。この件に関する問い合わせ先　花輪伸一　ＷＷＦジャパン自然保護室　〒105-0014東京都港区芝3-1-14 　TEL．03-3769-1713　FAX．03-3769-1717 　E-mail : hanawa@wwf.or.jp ☆吉雄さんのページから転載させていただきました。全面的に賛成です。環境問題を取り上げていた思うのですが、希少種を保護するために使われているサンクチュアリ(聖域)という言葉が、違う意味でつかわれているなと思います。　それは、「戦争」であり、「軍事訓練」「軍事機密」と称されるものたちです。　ブッシュや安倍のように戦争を遂行する国に異常な情熱を燃やす連中は、地球、人間にとっての癌細胞みたいなものです。　「選挙」というメスで早く切除いたしましょう。

六月の歌

　六月の歌と句です。○冬春と風鈴夏にめぐり合い○梅の実の道にこぼるる売り家かな○梅雨に入り早苗の群れのささやけり○窓の外につと踏み出さん夏の雲○呼びかけて鳴き交わしける蛙かな○中庭にライヴの響き蓮の花○見捨てずに不肖の弟子に声かくる師のありがたさ初夏の夕べに○居住まいを正し受話器に向かいけり恩師の言葉胸に沁みける　七月末の勉強会で、何でもいいですから報告をお願いできませんか?と穏やかに頼まれる。教えていただくようになって三十年、一向に進歩の見えぬ私にも声をかけて下さる。身の引き締まる思いをしつつ、「さて、どうしたものか」。

久間防衛相の脳はどこに置いてあるか

　久間章生防衛相は３０日、千葉県柏市の麗沢大学で「我が国の防衛について」と題して行った講演で、太平洋戦争終結時に米国が広島、長崎に原爆を投下したことについて「米国はソ連が日本を占領しないよう原爆を落とした。無数の人が悲惨な目にあったが、あれで戦争が終わったという頭の整理で、今しょうがないなと思っている」と述べた。被爆地・長崎の出身でもある現職閣僚が、原爆投下を部分的に肯定したとも受け取れる発言で、波紋を広げそうだ。　久間防衛相は当時の戦況について「（米国は）日本が負けると分かっているのに、あえて原爆を広島と長崎に落とした。これなら必ず日本も降参し、ソ連の参戦を食い止めることができる、という考えだった。間違えば北海道まではソ連に取られてしまった」などと分析した。　原爆投下については「米国を恨む気はないが、勝ち戦と分かっている時に原爆を使う必要があったのか」と疑問を呈したが、一方で「国際情勢や戦後の占領を考えると、選択肢として戦争の場合は（原爆投下も）あり得るのかなと思う」とも言及した。　久間防衛相は同日夜、東京都内で自身の発言が問題視されていることに関し「ソ連の意図を見抜けなかった日本の判断ミスだと言いたかった。そのために、私の（選挙区である）長崎は悲惨な目にあった。原爆を是認したわけではない」と釈明した。【田所柳子】毎日新聞　2007年6月30日　19時11分　（最終更新時間　6月30日　22時35分）　「米国はソ連が日本を占領しないよう原爆を落とした」「これなら必ず日本も降参し、ソ連の参戦を食い止めることができる、という考えだった。間違えば北海道まではソ連に取られてしまった」　日本はアメリカに単独占領していただいてよかった、そのためには、原爆投下は必要であった、という論理を、現職の、それも防衛相が公の場で語ったという事に対して、開いた口がふさがらない。　一つ、よくもここまで卑屈になれたものであるということ。ここは一つ踏み込んで、「原爆投下･感謝の碑」でも建造するか?　二つ、原爆が投下されるまでの経過について、日、米双方の動きについての研究に対してあまりにも無知であるということ。　三つ目に、アメリカの単独占領がどのような過程を経て、定着し、同時に日本人の中に、「日本はアメリカ軍に負けた、その理由は原爆を投下されたからだ」という戦後になって政治的目的から捏造された「常識」から一歩も踏み出していないということ。　そして最後に、戦争終結の為には核の使用は必要という、核肯定論に結果としてなっているという点である。　本人は、「真意ではない、誤解された」と言い張るだろうが、こういうものは、「隠すより現る」というものなのだ。　以下、『原爆は何故投下されたか』西島有厚・青木文庫　を紹介しつつ、論点を整理してみたい。　米空軍は、日本の各都市は壊滅し、日本には抗戦力は残っていない、原爆投下必要なし、という意見で一致を見ていた。　海軍も、日本艦隊は完全に撃破され、本土に直撃弾を撃ち込める状態までになっているのに原爆投下は必要なしとしている。　また、マッカーサーは、もし投下についての相談を受けていたとしたら反対していたろうと証言している。　では、何が日本の降伏を決定したのか。それまで日本は、ソ連に擦り寄りながら米英と対決し続けるという戦略を持っていた。それが一挙にひっくり返ったのが日ソ中立条約を反故にしてソ連軍が突如満州国境から侵入を開始した8月8日である。　この時に、「終戦工作」は本格化したと言って良い。「国体」の激変を避けるためには、ソ連に占領されるよりも、アメリカに占領された方がましという判断が主流となり、「聖断」につながる。　軍の首脳部の反対を押し切って原爆を投下させたトルーマンは、以下のように述べている。　連合軍将兵25万人、日本人25万人が破壊から救われ、双方とも一生不具になることから免れると私は推定した。私は広島と長崎の犠牲が日本と連合国の将来の福利のために切羽詰った必要措置であったと確信している。　二個の原爆によって実際には30万人以上の日本人を殺しておきながら、「25万が破壊から救われ」とは何事か・・。　さらにスチムソン陸軍長官は以下のように述べている。　大規模の戦闘は1946年後半以前には終わらなかっただろう。アメリカ軍の死傷は百万以上と予測された。敵の損害はそれ以上であろう。　日本が我々の条件を受諾した決定的要因は原爆である。この選択は最も苦痛の少ない選択だった。　1945年6月18日にホワイトハウスで、大統領と軍の最高首脳が、45年11月1日に予定されていた上陸作戦について協議している。　九州上陸作戦における米軍側の損害は、3万ないしは4万と見積もられ、戦争終結予定日(46年11月15日)までには、35万から50万と見積もられていた。　この会議には、スチムソンも参加している。　では彼が、「原爆によって救えた米兵」は「百万以上」という根拠はどこにあるのか?意図的な嘘としか思えない。原爆投下をあくまで必要とし、肯定するためには数字の捏造までやったことがはっきりする。　この数字(百万の米兵を救った原爆)は一人歩きし、1964年の調査(わが国が原爆を投下した事は正しかったか)、に対して、70%のアメリカ国民が「正しかった」という論拠となる。　もう一つ付け加えよう。上記の6月18日の会議において、トルーマンが、「ソ連が参戦したら」(1945年2月のヤルタ会談で決定済み)と質問したところ、ソ連が参戦すれば日本は降伏し、関東侵攻作戦は不要になるかもしれないと意見が一致したという。この会議では、よって、九州上陸作戦と、関東上陸作戦を同時に行った場合の米側の損害見積もりは算出されていない。　　そして、トルーマンも、スチムソンも、二人して出席した会議におけるソ連参戦＝日本の降伏、という可能性についてはその後の発言では一言も触れていない。　もっぱら、「原爆の果たした役割の大きさ」を過大に説明しているだけである。　意図的な詐術としか言いようがない。　久間防衛相の脳みそも安倍首相にならってホワイトハウスにあるようだ。自衛隊を、米軍の下請け軍(植民地軍)とする事に尽力するはずである。