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ハイネの森

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2008.11.15
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公開時には過激なラブシーンばかりが話題になったが、
それだけではないだろう、と予想していた作品。


1942年日本占領下の上海、抗日運動に身を投じた女子学生のワン・チアチー(タン・ウエイ)がスパイとしてマイ夫人と身分を偽り、日本軍傀儡政権の特務機関の男イー(トニー・レオン)に近づき、彼の命を狙うが、逢瀬を重ねるうちにお互い愛し合い・・・



冒頭の富裕階級の女性の麻雀シーンから緊張感がいっぱい。
その緊張感が最後まで途切れることがない。
あの時代の上海の退廃的な香りが画面から漂う。
麻雀卓上での駆け引きの視線、疑惑であったり威嚇であったり、そしてマイ夫人に扮したチアチーの誘惑の視線、それに気づくイーの視線。
のっけから意味深な視線が飛びかい、話の中に引きずり込まれた。

香港での学生時代、チアチーは抗日運動の学生リーダーにほのかな恋心を抱き彼と行動を共にするようになる。
自分たちが演じた学生演劇が大衆にうけたことから、抗日運動にのめりこみ、自分たちだけでイーを暗殺する計画をたてる。
チアチーを人妻マイ夫人に仕立てあげ、イーを誘惑し暗殺の機会を狙うというのが計画だが、
人妻は処女であってはいけないので、チアチーは唯一女性経験がある仲間の男相手に処女を棄てることになる。
なぜこの時の相手がリーダーでなかったのか。お互いに相思相愛であったはずなのに・・
同じ家の空間で、愛する女性が他の男に抱かれているのを我慢する事ができたのか?
思想が愛を越えてしまった悲劇の始まりで、この場面が一番切なかった。

結局香港では計画は成功せず、場面は3年後の上海になる。
イーを誘惑することに成功し、その結果チアチーもイーを愛してしまう。

問題のラブシーンだが、露出度はものすごくR-18も納得のベッドシーンなのにあまりセクシーではない。確かに見えすぎてエロチックとはいえるが、なんというかうまく言えないが、体育会系のラブシーンに思えてしまった。
戦っているような、という表現が一番近いかも・・・
日本料理店の座敷で二人きりでいる場面のほうが、よほど色っぽくエロチックだ。
服を着ていないより服を着ているほうが色っぽく見えるのは、女性目線だろうか。

チアチーを演じたタン・ウエイという新人女優さんはとにかく可愛い。
身体にフィットしたチャイナドレスに身を包み、イーとの愛欲におぼれても、色気がムンムンするのではなくほんとうに愛らしく可愛いのだ。
そして目の力がすごく強い。

全編“香りのする”映画。
時代の香りであったり街の香りであったり。
時代を背景にした上質なメロドラマに仕上がっているのだから、あそこまで過激なシーンが必要だったか少々疑問に感じる。
見せまくらなくても情の激しさの表現はできると思うけれど。


(2007年 アメリカ、中国、台湾、香港)





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Last updated  2008.11.15 18:36:07
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