ハイネの森

宝塚の「エリザベート」は、初演の雪組から、星、宙、花２回と５度観たことがあるが、
東宝版は初めての観劇。

チケットをとるときに相当迷った。
トートもエリザベートもＷキャストなので、どの組み合わせにしようかと。
トート閣下はすんなり山口さんに決定したが、シシィは悩んだ。
涼風さんも朝海さんも宝塚時代によく観ていたので、どういうタイプかということは想像がついていたが、若さということなら朝海さんかなぁ～と思ったものの彼女はダンサーだったし、
ここは歌の安全性を重視して涼風さんに落ち着いた。

エリザベート　　　　　涼風真世
トート　　　　　　　　　山口祐一郎
ルキーニ　　　　　　　高嶋政宏
フランツ・ヨーゼフ　　石川禅
ルドルフ　　　　　　　浦井健冶
マックス　　　　　　　村井国夫
ゾフィー　　　　　　　　初風諄


涼風さんを舞台で観るのは１５年ぶりくらいかな。
宝塚時代から歌には定評があったし、昔と変わらない歌声を聞かせてくれた。
いや、昔よりもっとうまくなっていたかも。当然のことながら、高いキーがでるようになってるから。
エリザベートの少女時代は、もっとカマトト風の演技になるかな？と危惧していたが、
意外とあっさり。
でも私が踊る時の｢自由になるのよ～｣あたりで例のカマトト風発声に・・・
｢篤姫｣のお由羅さんもそのタイプの演技だったが、
あれがでるとどうも品がなくなるように感じてしまう。
エリザベートの有名な白いドレス姿は綺麗だし、後半の抑え気味の演技はとても良かっただけに、
あの｢甘えた声｣さえなければ～と思ってしまった。

ナマ山口さんは初めて。
歌はうまいと聞いてはいたが、あんな歌い方をするのね。ある意味ビックリした。
囁くようなところは甘ぁ～いのね。
なんだか耳元に息を吹きかけられているような甘さなんだわ
張り上げる部分はド迫力だが、その他は甘ぁ～い。
あれはハマっている人にはたまらないだろうなぁ。

そしてデカい。
で、この閣下はあまり動かない。
そのかわり(？)トートダンサー達は上半身脱いでまで動き回ってくれるが。(脱がなくてもいいと思った)
好き嫌いは別にして、確かに日本を代表する歌担当ミュージカルスターなんだということはよくわかった。

高嶋兄ちゃんはセリフまわしが独特で、「ＵＳＪのビートルジュースみたい」と連想したら、
しばらくビートルジュースから頭が離れられなくなった。
２幕になるとそのセリフにも慣れ、「おぉ～兄ちゃん、動けるし歌えるやん」と印象がアップ。

皇帝陛下は品があり高貴なお顔立ちだが、いかんせん和風。
歌は素敵なんだが、歩く姿がねぇ・・・羽織袴が似合いそう。
でも皇帝陛下の衣装をバシっと着こなせる日本男子はそういないかもしれない。
闘牛士の衣装と並んで、日本男子には難しい衣装で、
あれを着こなせている宝塚の男役さんの身のこなしは、やはりカッコいいんだと再認識した。
ここ５年、舞台というと海外もののバレエがほとんどだったので、身のこなしや立ち姿というものに
手厳しくなりすぎているかもしれない。


２幕冒頭、｢勝ったのね｣と自身に満ち溢れているエリザベートなのに、
すぐ次が精神病院の場面で孤独にさいなまれてしまうのと、
ハーケンクロイツはもうちょっと後の時代でないかい？(時代が動くという象徴かな？)

など、演出に若干「」なところがあったが、
観終わった後の満足度は高く、「違うキャストでも観たいなぁ」と思った。(観に行けないけど)

今年は月組がやるらしいので、久しぶりに宝塚に行ってみようかな。
２５年コンスタントに観つづけていたのに、ここ５年近くご無沙汰している。