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カテゴリ:映画☆観劇☆スポーツ観戦
彩の国さいたま芸術劇場へ『ヴェニスの商人』を観に行ってきた。
シャイロック 市川猿之助 ポーシャ 中村倫也 バサーニオ 横田栄司 ジェシカ 大野拓朗 グラシアーノ 間宮啓行 アントーニオ 高橋克実 幼い頃に児童書で『ヴェニスの商人』を読んだ時は、シャイロック=悪人で、借金の形に肉1ポンドを要求するなんて極悪非道な奴だと単純に思っていた。 しかし極悪非道になってしまったのも理由があるのだ。 キリスト教徒には徹底したユダヤ人に対しての差別感情があることが描かれ、裁判の場面では名前を呼ばれず、「ユダヤ人!」と連呼される。「血を一滴も流させることなく肉1ポンドを切り取れ」という判決だけを聞けば、胸のすくような見事なお沙汰だが、慈悲を与えるという美しい言葉に飾られたキリスト教への強制的な改宗は、差別する側の傲慢を強く感じ、その後のちょっとコミカルな場面に対してとても笑える気分にはなれなかった。 猿之助さんだけは歌舞伎寄りの演技。歌舞伎の所作が随所にあり、それが笑いを誘う効果と、キリスト教徒の中での異端を端的に表す効果があった。 好き嫌いは分かれる演技だろう。シェイクスピア劇を観たいと劇場に来たのなら、クドい芝居に感じ、「猿之助を観たい!」と来たのなら、ケレン味あふれる舞台はおもしろく満足する。私は後者なので大満足だった。ただ「澤瀉屋っ!」と掛け声までかかっていたのは、ちょっとなぁ、、、と思ってしまったが(笑) オールメール劇なので、出演者は全員男性。 ポーシャを演じていた中村倫也さんは、白いドレスがよく似合い、貴族の令嬢に見える品があった。声は男性が演じているとは思えない澄んだ声で、2幕で男装して判事になった時もハリのある素敵な声。まだ若い俳優さんだけど、とても魅力的な人だ。 1幕最初の怒涛のようなセリフが少々聞き取りにくくて難儀したことと、笑いのツボがどうもよくわからず、客席はドッとわいているが、置いてけぼりになってしまったことがあった。慣れかな。 彩の国さいたま芸術劇場はとても観やすい劇場だった。大ホールなので勝手に大きなのを想像していたら、客席数776のコンパクトな空間で、客席通路を使った演出が生きる劇場だった。 娘が東に行かなかったら、一生縁がなかった場所だろう。 (9月19日 彩の国さいたま芸術劇場) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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