一、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
九段目 山科閑居の場
本蔵妻戸無瀬 藤十郎
大星由良之助 梅 玉
大星力弥 扇 雀
本蔵娘小浪 壱太郎
由良之助妻お石 秀太郎
加古川本蔵 幸四郎
二、お祭り(おまつり)
鳶頭松吉 仁左衛門
三、鳥辺山心中(とりべやましんじゅう)
菊地半九郎 橋之助
遊女お染 孝太郎
坂田源三郎 亀 鶴
父与兵衛 松之助
遊女お花 七之助
坂田市之助 扇 雀
四、爪王(つめおう)
狐 勘九郎
鷹 七之助
庄屋 国 生
鷹匠 亀 蔵
「棚からぼたもち」、まさに「空から降って来た」ような2階最前列特別席での顔見世観賞。
バレエなどのチケットはほぼ100%「チケットぴあ」で取っていて、取る度にポイントが貯まる仕組みになっている。でも、そのポイントの事は半年に1回ぐらいしか頭に浮かばず、「そうそうポイントあったけ?」と交換商品をチェックすると、だいたい行きたいようなものは既に「交換終了」で、又そのまま忘れるということを続けていた。先週水曜日にポイントのことを思い出しチェックすると、な、なんと!「南座顔見世興行」の特別席チケットに交換できることがわかり、即ポチっとした。
27000円のお席を発券手数料の108円のみでゲットできるなら取るしかないでしょ。使用したポイント数は300ポイント。
昨年の顔見世は、舞台三分の一が見切れてしまう欲求不満席だったが、今回は、
さえぎるものなし!
昨年の顔見世で観た『道行旅路の嫁入』の場面からつながる『九段目 山科閑居の場』。緋色のお衣装の藤十郎さんは昨年よりもお元気なように見受けられ、溌剌としててセリフもよく聞き取れた。秀太郎さん演じるお石との〈女の戦い〉の台詞のやりとりは迫力十分。観る前にプログラム、じゃあなかった、番付でパラパラっと筋書きを見ただけなので、どうも幸四郎さんの台詞がわかりにくくって、、、もうちょっと予習しておくべきだった。
『お祭り』の仁左衛門さんの粋なこと! 少々品の良さが見え隠れして、「てやんでいっ!」という雰囲気は薄いけれど、シュッとした粋な鳶頭。齢70だなんて全然見えません。母の同窓会の写真に、あんなイケてる男性はいませんことよ。役者さんってやっぱり化け物なんだね。
『鳥辺山心中』は岡本綺堂が大正4年に書いた新歌舞伎で、とてもわかりやすいお話。
江戸から将軍上洛の供をしてきた菊池半九郎が遊女に入れあげる。遊女のお染ちゃんは初見世からずっと半九郎のご指名受けっぱなしで他の男を知らないという設定。すごいな半九郎さん、毎日通いっぱなしとは、どこにそんなお金と暇があるのか?と心配になるし、お染ちゃんの設定もぶっとびもの、遊女なのに他は知らんって。半九郎は放蕩ぶりを親友の弟に罵られ、激高してその弟を斬ってしまい、絶望してお染ちゃんと死出の旅へ、というのがあらすじ。 どう考えても親友の弟がまともとしか思えないけど。橋之助さんはウルトラ真面目そうな武士なので、なんでこの人が毎日遊女と、、、と思うが、真面目に一途なのね。心中ものは美しき二人が寄り添って道行きすればいいので、細かい設定をごちゃごちゃ考えてはいけないのだろう。橋之助さんは声がよく通り武士らしく、孝太郎さんのお染ちゃんはとても可憐。孝太郎さんはスーパービューティホーという女形ではないが、芸で見せてくれるので好きな役者さんだ。
最後の『爪王』は、鷹VS狐の舞踊劇。女鷹VS赤狐で、女鷹が七之助さんで赤狐が勘九郎さん。女鷹はびっくりするくらいスーパービューティホー! いやびっくりしましたわ、綺麗すぎて。素顔は涼しげなお顔だとは思っていたが、あそこまで美しくなるとは想像していなかった。お化粧して動いている姿を拝見すると、ポスターなんかより数倍美しい。娘に、「七之助さんが綺麗だったよ〜」と感想を言うと、「あ〜治安の悪い方ね」と答えが返ってきた。そういえば若気の至りのような事もあったわね。お父様を早くに亡くされて、今は芸に精進なさってるんじゃないかな。勘九郎さんとの息がぴったりとあった踊りだった。
今回は高島屋でお弁当を買って持参した。
特別席には座席肘掛け下にテーブルがあるので、それを広げて幕の内お弁当タイム。
昨年の顔見世では、「お弁当を食べる」ということを夢にも思わず、長い休憩に入るといっせいにガサガサとお弁当を開き始めたのをあっけにとられて眺めていたのだ。
2回目観劇でちょっと慣れたかも。
(京都南座)