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2005/10/31
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カテゴリ:novel
秋も真っ只中となった日の事だった。

もう日も落ちて、街は街灯に身を染めていた、少し遅い時間に一人の男が街にいた。

その男は、別に何の変哲も無い格好で、背景に溶け込んでしまいそうな位、普通の通行人だった。

そう、ただの街をただ行き交う群集の一人に過ぎない。

そんな男を少しつけてみようか。

男は忙しそうに足をくるくると回して人ごみをするすると抜けて行く。

その男の職業や、目的は全く分からない。ただ目に付いた男だからだ。

だから、今何故この時間帯に彼が居て、忙しそうなのか、知る術は誰にも無い。

だからあえてその点には触れないでおこう。

その男はしばらくの人の群れをかぎ分けて歩くと、店へと入り込んだ。

老若男女問わずに人のよく出入りする洋服や食べ物、文房具など、なんでも置いてある人気の店だ。

その急ぎ足のままエスカレータに乗り込むと談笑する人をかき分けて、一気に上り詰めていく。

一体何処へ行くのやら。

すると3階に来て、エスカレータから離れた。

しばらくウロウロと多種多様の店の中に入ったり出たりを繰り返し、ふっと時計を見て再び上へと上がった。

今度はエスカレータに身を任せてゆらゆらと上がっていく。

7階に来ると再びエスカレータから離れ、またウロウロと色んな店を見ては何も買わずに出て行った。

一体何がしたいのか。

すると、エレベータが上がってくるのを見つけ、男はそのまま乗り込んで一階まで降りていった。

そして一階につくとそのまま店を出た。その間僅か10分。

すると再び人ごみの中へと消えうせた。

追おうとするが、あまりの人込みに諦めざるを得なかった。

少々溜息をついて、道の端へと寄る。

また目を右へ左へと動かして、新しいただの通行人を探す。

え?

私が何をしているかって?

それはあなたには私の職業も目的も分からないでしょう。

たまたま読んだ話の一端を担う私など、知る由も無いでしょう。

だから私が何故人を探しているのか、追いかけているのか、知る術は誰も持たないのです。

言うまでもなく、その点には触れないでおきましょう。



















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Last updated  2005/10/31 10:08:19 PM
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