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三線マンが行く!!<世界一周編・A-side>

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2009.04.09
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カテゴリ:シリア
ローマ遺跡エフェスからバスで3時間、
世界遺産「パムッカレ」…の見学を半日で終え、

DSC_1218.JPG

パムッカレ村で1泊…することもなく、
その日のうちに夜行バスに乗り込み、14時間。
嘗てシルクロードの終点としてその名を歴史に刻む
アンタクヤ…を素通りして、更に行くこと数時間。

光の早さで移動した私は、現在シリアのアレッポにいます。



さて、話しはトルコのアンタクヤから、
シリアのアレッポまでのバス移動のときのこと。


トルコの出国審査を無事に終え、12カ国目の国境、
シリアの税関で、私は早速イライラしていました。

目の前にズラリと並んだ荷物の山。

トルコに旅行に行っていたシリア人たちのものなのですが、
どいつもこいつも、「何だ?夜逃げか?」と思える程の巨大荷物。
これを、軍人どもが1コ1コ、手作業でイチイチ点検していきます。

通常、陸路で税関で手荷物を検査する時、
だいたいの国はX線による検査で、効率化を計っています。
或は、カンボジア、ラオス、タイ、インド等は、
X線の機械が置いてあっても、面倒だからか、壊れているからか、
それとも、使い方を知らないからか、荷物検査はなし。
ベトナムに至っては、バスから荷物を降ろしさえしません。



まぁ、お国柄テロに対して非常に敏感だと言うのはわかりますが、


それにしても、遅い。


如何にも「ワシ軍人じゃけん、エライけんね!!逆らったら銃殺じゃけんね!!」
というイヤなオーラを出しながら、チンタラチンタラと検査をする軍人。
しかも、若い女性の荷物に関しては殊更熱心なようで、
バッグの中の袋を取り出しては「コレは何だ?」と、
スケベ面全開でねちっこく訪ねて回っています。

しかも、何故か軍人の周りを、全然関係ない男どもが取り囲んでおり、
人の荷物の中身を熱心に観察しては、お互いにあーだこーだと、
アラビア語で何やら口々に喚き合っています。
それは私のときでも一緒で、軍人の開けた私のバックパックを覗き込んで、
口々に何やら喚いては、私の顔に向かって質の悪いタバコの
煙を「ブハァ~」と吐きかけてきます。



…ウザイ。


ウザ過ぎる。



でも、


「何見てんだテメーら!!あっち行け!!ファック・オフ!!」

と思う反面、

「おっと、久々に味わうな、このカンジ!!」


という、先進国にはない、図々しいまでの人と人との距離感に、
これから再び始まるであろうエキサイティングな戦いの日々と、
初めて踏み込んだ中近東の風を感じて、少し嬉しくもなります。


結局、国境で正味2時間あまりを潰す羽目になった我々。
荷物も積み込み終わり、さて、待ちくたびれたが漸く出発だ!!
と思っていたら、発車して2分で、再びバスが停車。
原因はよくわかりませんが、30分程待たされた挙げ句、
こんどこそ本当に、漸くバスは動き出しました。


窓から眺める、初めての中近東の景色。

「中近東」と聞くと、すぐに湧いてくるイメージは、
「ラクダ+砂漠+モスク&たまにオアシスと美女」ですが、
実際に車窓から見るシリアの風景は、一面の緑に覆われて、
ところどころに黄色や赤、紫の花が咲き乱れ、
力強い春の息吹を全力で吐き出しています。

あまりのイメージとのギャップに、少々驚きもしますが、
ポツポツと見える、平たくて低い屋根のレンガ積みの家が、
惑うことなく、ここがアラブ文化圏の国であることを証明しています。
ターバンを巻き、ゆったりとした民族衣装の男が、
羊を追っているのが遠くの方に見えます。


ああ、陽光もうららかだし、景色ものんびりしてるし、



いいな~、シリアって。



そんなことを思いながら、20分程走ったところで、
再びバスが停車しました。

車掌が早口のアラビア語で何事か言うと、数名の乗客が降りていきます。


別段気にも止めずに、読みかけていた本を引っ張り出し、
昨晩以来の読書に没頭する私。
先日、ある旅行者と交換した東野圭吾のミステリー。
今まで何となく毛嫌いしていて読まず嫌いだったのですが、
読んでみるとこれがけっこう面白い。

ちょっとの間読みふけっていると、乗客を降ろして
少し寂しく客席が空いたバスは、再び動き出しました。






5分程走った頃でしょうか。





「ヘイ、ジャポン!!オマエは何処に行くんだ?」

何故か、今更車掌が聞いてきました。

「ん?アレッポだよ」



「オ~!!○%@$**♪^@!!」



手で頭をおさえて、アラビア語で何やら慌てふためく車掌。

運転手に何事かを伝えると、おもむろに路肩に停車するばす。



「アレッポ行きはさっきの場所で乗り換えだ!!降りろ!!













「は?」









ちょっと待て。


「降りろ」


って何だ?





「オマエこそ何言ってんだ?このバスはアレッポに行かないのか?」

「そうだ、このバスは直接ダマスカスに行くバスだ。
 オイ、ジャポン!!何でさっき聞いてなかった?

「シリア語なんてわかんねーよ!!オマエこそ何で
 俺が外国人だと知っていながら、英語でおしえてくれなかったんだ!!」


と、食い下がってみるも、


私は知っています。





こういう連中には、何を言っても時間と体力の無駄




怒るだけ損というものです。




しょうがないので、バスのカーゴからバックパックを引っ張り出す。
路肩に荷物を引きずり出すと、何事もなかったかのように
メルセデス社製の大型バスは、大きさの割には静かに走り去っていきました。

周りを見回しても、そこには一面の畑が広がるのみ。



見事に「ほっぽり出された」という単語が似合う私。











シリア。
















空気がうめぇなー。












DSC_1289.JPG
















途方に暮れていてもしょうがないので、
とりあえず、バスが走ってきた道をクソ重たいバックパックを背負って
トボトボと引き返すことにしました。

どこからともなく、羊の「メヘヘヘヘェ~」と鳴く声が聞こえてきます。




俺、何やってんだろ?




車さえナカナカ走って来ない道を一人歩く。


ある旅人が言っていました。

世界3大信用出来ない人種は、
 インド人、中国人、アラブ人だ」

と。


インド人と中国人の「信用出来ない度」に関しては、
お釣りが来る程十分に苦しめられているので、
今更何が起きようと、腹は立っても別段驚きもしないのですが、
まさか入国して数時間で、アラブの洗礼を受けるとは思ってもいませんでした。


「さて、どうしたもんか。とりあえず、もうちょっと歩いてみて
何もなかったら、アレッポまでヒッチハイクでもしてみるべか。
国境から70kmくらい…って言ってたから、そんな遠くもないだろう」

と、半ば覚悟を決め掛かっていたところに、人を満載にした
乗り合いタクシーが偶然通り掛ったので、手を挙げてつかまえて、
「アレッポ!!アレッポ!!」と連呼したところ、ヒゲの運転手が
親指を後ろ向きに突き立てて「乗りな」と合図したので、
素早く乗り込み、何とか事なきを得ました。



もしあのままタクシーも来ず、ヒッチハイクをしていたら
どうなっていただろう?「シリア人が中近東では一番親切で人がいい」という
ウワサも度々耳にするから、案外タダでアレッポまで行けたかな?
いや、アレッポに行かず、その人の家にでもお世話になっていたか?
それとも、拉致でもされてたか?



吉と出るか、凶と出るかわからないですが、
とりあえず親指を立ててみなかったことをほんの少しだけ後悔しつつ、
バカみたいに飛ばしまくる運転手のせいで、スゴい早さで後ろに
スッ飛んでいく景色を眺めながら、そんなことを妄想していました。



旅はこれだから面白い!!









とでも思っていなければやってられません(笑)。




本当は、今日パムッカレの見聞録を書こうかと思っていたのですが、
明日改めて書かせて頂こうかと思います。


今夜はビールが、別格にうめぃぜ。

DSC_1319.JPG


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Last updated  2009.04.10 04:43:40
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