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三線マンが行く!!<世界一周編・A-side>

三線マンが行く!!<世界一周編・A-side>

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2009.04.16
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カテゴリ:ヨルダン
マレーシア、ブルネイ、トルコ、シリア、ヨルダン、
ここ8ヶ月の間に5カ国、イスラム国家を旅してきました。

基本的にこれらイスラム諸国は宗教的な理由からアルコール類を飲まない
ということは皆さんもご存知だと思います(トルコは別)。

酒を飲まない。

と、いうことは、

=夜、街が静まり返るのが非常に早い

ということです。

特にマレーシアとブルネイは、チャイナタウン以外の場所で
日が暮れてから人通りの少なくなる時間が早いこと早いこと。

8時前には殆どの店がシャッターを降ろしてしまい、買い物どころか、
食事さえも大したものが食べられない…なんてこともざらです。
クアラルンプール等の大都市にはクラブや洒落たバーもあるにはあるのですが、
平日は閑古鳥が1万羽くらい鳴いているような状況。
ある日同じ宿に泊まっている仲間でクラブに行ったら、
3軒ハシゴして、3軒とも客が我々だけだったという悲しい事件もありました。

トルコも同様で、飲屋街は朝の4時くらいまで賑わっているのですが、
それ以外の場所では7時を過ぎたあたりから一斉に店じまいを始め、
8時には寒風吹き荒び、枯れ葉舞い飛ぶ…といった有様です。

一般的なイスラム教徒は、家族を非常に大切にする傾向があるので、
きっと、仕事が終わったら真っすぐ家に帰って家族でご飯を食べて、
一家団欒のひとときを過ごすのでしょう。

ところが、

その方程式に反するかのように、夜の長い国があります。



シリアとヨルダンです。



今まで訪れた5カ国の中で、一番敬虔なムスリムが住んでいるこの2カ国。
シリアは国民の80%以上、ヨルダンは90%以上がイスラム教徒という、
いわば「ムスリム・オブ・ムスリム」とでも言うべき2カ国ですが、
いずれの国も夜の10時を過ぎても11時を過ぎても、街には老若問わず、
髭面の男たちがワラワラと、時には男同士で手を繋ぎながら彷徨っています。

しかも、その大半はオヤジたちで締められています。

「一体、家にも帰らず遅くまでコイツらは何をしとるんだ?」
という疑問を、シリアに入ってからずっと持っていました。


ところが、先日。

遂にそんなオヤジたちの終着駅を発見しました。

それは「ジャブリ・ハウス」と呼ばれる、カフェのような場所です。
そこで、何をしているかというと、みんなお茶やコーヒーを片手に、
シーシャ、つまり水パイプをふかして、夜の歓談を楽しんでいるのです。

DSC_1797.JPG

いい年のオッサンから、還暦をとうに過ぎたかのようなおじぃちゃんまで、
店内は多くのオヤジでだらしなく穏やかに賑わっており、
そこかしこで真っ白い煙が「ブハァ~」と吐き出されています。

DSC_1795.JPG

酒も飲まない、モチロン、大麻やオピウムもタブー(見つかったら最悪死刑)
イスラム諸国で、シーシャはいわば大切な大衆娯楽であり、嗜好品。
イスラム文化を語る上ではなくてはならないもので、
古くから広く人々に親しまれてきたといわれています。
トルコでは値段も高く(一回800円程度)、どちらかというと
贅沢の部類に入るようですが、シリア、ヨルダンでは値段もぐっと下がり、
より一般的な嗜好品として気楽に楽しまれているようです。
その為、街中でも水パイプが売られているのをよく見ることが出来ます。

DSC_1921.JPG

皆それぞれにカラフルで細やかな装飾が施されて、飾ってあるだけでも
十分にインテリアとしての価値を発揮しそうな優美な水パイプ。

DSC_1926.JPG

お土産にひとつ買って帰りたいくらいです。


さて、実は私、普段タバコは吸わないのですが、シーシャは吸います。

というわけで、私もジャブリ・ハウスにて
オヤジたちの仲間入りをしてみることにしました。

DSC_1793.JPG

店の中に流れる、やる気のない緩やかな空気。
普段はどうかわからないですが、少なくとも、今の時間は
どのオッサンからも、ダメ人間的なオーラがムンムンと漂っています。
大理石張りの壁がきれいな店内の空いている席に適当に腰を下ろします。


はぁ…


死ぬ程落ち着く。



私も徐々に、オッサンへの階段を駆け上がっている証拠でしょうか?

コーヒーを飲みながら待っていると、2、3分程でテッペンに炭を乗せた
巨大な水パイプと吸引用のチューブが目の前にドデンと置かれます。

DSC_1786.JPG

パイプの上には受け皿があり、その中央に、リンゴやマンゴー等の
フレーバーで香り付けしたタバコの葉を詰めた素焼きの小さなパイプを置き、
銀紙を被せ、それに小さな穴をたくさん空けて、
上に真っ赤に焼かれた炭を乗せてあります。

DSC_1789.JPG

直接葉っぱに火を着けるのではなく、炭の熱を利用してタバコの葉を燃やし、
煙は一旦パイプの下に溜まった水を潜ってから口に入ります。
水がフィルターの役割を果たす為、普通のタバコよりもずっとマイルド。
匂いも、タバコのような饐えたような不快な臭いではなく、
各種フルーツのフレーバーの甘い匂いで、どちらかというとお香のよう。
一般的に男性の為のものですが、女性でも十分に楽しめるかと思います。

吸い口を口にあて、肺いっぱいになるまで煙を吸い込む。



ゴポゴポゴポゴポ。


パイプの中の水が音を立てます。

DSC_1788.JPG

別にカラオケをしているわけじゃありません


そしてほんの少し息を止めて、ゆっくりと吐き出す。

真っ白い煙と、リンゴの甘ったるい臭いがそこらに広がると同時に、
周囲の雰囲気も手伝って、酒やタバコとは違った
一種の陶酔感のようなものが胸の奥からじんわりと頭に伝わっていきます。

あ、先に断っておきますが、麻薬でも何でもないですからね!!

そして啜る、甘苦いアラビアコーヒーがまた美味い。


ゴポゴポゴポ…ブハァ~…ゴポゴポゴポ…ブハァ~



そんなことを繰り返していると、言葉は通じないのですが、
色んなオッサンが珍しがって話しかけてきます

何だかわからないけど、コーヒーのおかわりを奢ってくれたじぃさん

訳の分からないオヤジが絡んできたかと思うと、ポケットから片手一杯の
天然石とシルバーの指輪を取り出し、「1000SPで買わないか?」
アラビア語で持ちかけてきます。日本語と身振りで「いらないよ~」というと、
勝手にどんどん値段が下がっていき、いつの間にか、最初の5分の1の、
200SP(400円くらい)になってたりしますが、あまり質も良くないし、
何より、別に欲しくもないので「いらないったら、いらないよ~」と
手を振るも、何を勘違いしたのか「もうこれ以上はまけられんぞ!!」
みたいなことをアラビア語でいいながら、しつこく買え買えと迫ってこられ、
紀元前から脈々と受け継がれるアラビアの商人根性を見せつけられたり。

兎に角、退屈する暇もありません。

ノス(ハーフサイズ)で150~400円程度、約2時間程楽しむことが出来ます。
そして気がつくと、いつの間にか日付も変わろうかという時間。

コーヒーでギンギンに冴えてしまった目ん玉をむき出しながら、
「まいったな~、また今晩も寝れないじゃん」と、
ボリボリと頭を掻きむしりつつ、安宿へと戻っていくのです。


困ったことに、エジプトに入るとシーシャが更に安い値段で楽しめるそうです。
そして、観光地ではそれ+アルコールも入手可能です。
この先暫くは、家に帰るに帰れないムスリムお父さんたち
ダメ白人旅行者に混じって、春の夜長を楽しむ毎日が続きそうです。



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Last updated  2009.04.17 02:04:14
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